表現155)I chalked it up to his inexperience and immaturity.(それは、やつの経験のなさと未熟さのせいってことでね。)
今回は最近ちょっと気になった英語表現を取り上げることにしました。自分では~使ったことはないですね。まあ、そのような表現を使う機会がなかったので考えたこともなかったんですが、ある時に仕事のメールでこの表現(chalk it up to)が使われていたので、「ん?これはどんな風に使われるんやろ?」と思い調べてみたものです。文脈で意味(~のせいにする)はわかりましたが、何でそんな単語(chalk)が使われているのかに興味が湧き、調べてみたわけです。皆さんも興味があるでしょ?ある方は読み進んでくださいね。
この表現の中核になる単語、動詞は、もちろん、chalkですよね。「でもそれって、チョークちゃうん?」そう、おっしゃる通り。黒板(今はホワイトボードの世界ですが)、そう、あの懐かしい黒板に白い粉を散らばらせる、憎っくきチョーク(chalk)のことです!何度きれいな紺のスーツにまだらの模様を付けられたことか(泣)、あ、それはともかくとして…そのチョークが動詞として使われているわけです。ちなみに、チョークが名詞の時は、a piece of chalkと、数えられるように、a piece of, two pieces ofのようにpieceを使うことをお忘れなく。知っている?Sorry…
さて、この動詞のchalkですが、その訳を見ると以下のように書かれています。
【他動】
〔チョークで図形など〕の輪郭を描く、
〔得点などを〕チョークで書く、図取りする
~を白亜と混ぜる
〔顔を〕蒼白にする
(「英辞郎on the WEB」/SPACE ALCより)
「はあ、ただ黒板にチョークで何かを書くって意味じゃないんか~。」そう、結構具体的に何をするかの意味が入っていますよね。「しかし、今回の意味が入っていない。」その通り!これじゃあ今回の表現の意味がわからない。そこを説明するのが僕の役割!ということで、説明をしましょう。まずは、上の日本語訳の二番目に注目してください。「〔得点などを〕チョークで書く」のところです。実はこの表現、さかのぼること相当前(正確な時代はわかりませんが)、イメージとしては今の近代的できれいなお店が主流でない時のお酒を飲むバーがあった時代、その当時のバーの慣習が起源となって生まれた表現であろうことがいろいろ調査した結果わかりました。とは言っても、確実ではありませんので、念のため。「でも、ん?バーでチョーク?わからへん!」いやいや、これだけでわかったら僕がわざわざ説明する意味がありませんので、ちょっとお待ちを(冷汗)。まずはそのヒントを物語風に書いてみました。さて、皆さんは読んで分かりますでしょうか?では、どうぞ。
「むかしむかし、西洋の酒場では黒板があり、それはいろいろな記録をするために使われていたそうな。ある客が来た。常連のようだ。バーボンを注文する。すると、バーテンダーはそこにある黒板に、チョークを使って「一杯」を意味する1という記号を書く。独特な書き方だ。しばらくすると、その客がまた一杯注文をした。するとバーテンダーはまたおもむろに黒板に向かい、無言でそこに書いてある1の記号を2に変える。客はまた注文をする。バーテンダーはまた黒板に手を伸ばし、チョークを使ってその記号を3に変えた。客はもう十分に飲んだようだ。バーテンダーに「Check, please.」と言う。バーテンダーは黒板を見て言う。「Three glasses. So, two twenty.」客はそれを払おうと財布を見た。が、お金がない。客はバーテンダーに向かって言った。「Put it on my tab.」(つけにしておいてくれ。)「Got it.」(わかった。)とバーテンダー。客は静かに席を立ち、バーから外の暗闇へと消えていった。」
さて、chalk it up toのchalkの使い方、この物語からわかりました?「ん~、だから~?!」という声と、「あ、なるほどね(納得!)」という声の両方が聞こえそうな(笑)。
では、お分かりの方も多いとは思いますが、その答えを解説しましょう。この物語で、chalkは客が支払わなければならない酒のグラスの数を黒板に書くために使われました。客はお金がなかったため、その数字の酒分のお金を「つけ」にしてバーを去った。つまり、chalkは、客に支払いの責務を記録するために使われたということになりますよね。言い換えると、バーテンダーは、客の飲んだ請求金額(it)をchalkで書くことにより、その客に対して(up to)支払いの責務を「負わせた」ということです。ですから、chalkは「何か(it)を、何か(誰か)に負わせる」という意味合いを持つようになり、それが転じて、「それ(it)を~の(up to)せいにする・負わせる(chalk)」、あるいは、いい意味では「~のおかげにする」という意味になったというわけです。どうでしょう、わかってもらえたでしょうか?それならいいんですが(冷汗)。
では今回の表現を含んだ会話を見てみましょう。
Jane: I heard that Tom made a big mistake in dealing with an important client. Is it true, Nao?
(トムが大事なお客さんに対して大きなミスをしたって聞いたけど。ホントなの、ナオ?)
Nao: Yeah, that’s true. He totally blew it.
(ああ、本当だよ。やつは完全にやっちゃった(失敗した)ね。)
Jane: You got so mad at him, didn’t you?
(かなり怒ったでしょ、彼に。)
Nao: Not really. I chalked it to his inexperience and immaturity. He is a good kid, so I just gave him some advice. That’s all.
(いや、そんなことないよ。それは、やつの経験のなさと未熟さのせいってことでね。いいやつだからさ、あいつは。だから、ちょっとアドバイスをしてやったくらいだよ。それだけ。)
Jane: Good for you, Nao.
(なかなかやるわね、ナオ。)
あ、心の広いところを見せちゃったみたいですね(笑)。では、今回はこの辺で。また新しい表現見つけて書きますね。僕の書く気を支えてくれるのは、それを読んでくださる皆さんがいるおかげです。I chalk it up to your readership. I mean it. Thank you, guys! Nao
今回は最近ちょっと気になった英語表現を取り上げることにしました。自分では~使ったことはないですね。まあ、そのような表現を使う機会がなかったので考えたこともなかったんですが、ある時に仕事のメールでこの表現(chalk it up to)が使われていたので、「ん?これはどんな風に使われるんやろ?」と思い調べてみたものです。文脈で意味(~のせいにする)はわかりましたが、何でそんな単語(chalk)が使われているのかに興味が湧き、調べてみたわけです。皆さんも興味があるでしょ?ある方は読み進んでくださいね。
この表現の中核になる単語、動詞は、もちろん、chalkですよね。「でもそれって、チョークちゃうん?」そう、おっしゃる通り。黒板(今はホワイトボードの世界ですが)、そう、あの懐かしい黒板に白い粉を散らばらせる、憎っくきチョーク(chalk)のことです!何度きれいな紺のスーツにまだらの模様を付けられたことか(泣)、あ、それはともかくとして…そのチョークが動詞として使われているわけです。ちなみに、チョークが名詞の時は、a piece of chalkと、数えられるように、a piece of, two pieces ofのようにpieceを使うことをお忘れなく。知っている?Sorry…
さて、この動詞のchalkですが、その訳を見ると以下のように書かれています。
【他動】
〔チョークで図形など〕の輪郭を描く、
〔得点などを〕チョークで書く、図取りする
~を白亜と混ぜる
〔顔を〕蒼白にする
(「英辞郎on the WEB」/SPACE ALCより)
「はあ、ただ黒板にチョークで何かを書くって意味じゃないんか~。」そう、結構具体的に何をするかの意味が入っていますよね。「しかし、今回の意味が入っていない。」その通り!これじゃあ今回の表現の意味がわからない。そこを説明するのが僕の役割!ということで、説明をしましょう。まずは、上の日本語訳の二番目に注目してください。「〔得点などを〕チョークで書く」のところです。実はこの表現、さかのぼること相当前(正確な時代はわかりませんが)、イメージとしては今の近代的できれいなお店が主流でない時のお酒を飲むバーがあった時代、その当時のバーの慣習が起源となって生まれた表現であろうことがいろいろ調査した結果わかりました。とは言っても、確実ではありませんので、念のため。「でも、ん?バーでチョーク?わからへん!」いやいや、これだけでわかったら僕がわざわざ説明する意味がありませんので、ちょっとお待ちを(冷汗)。まずはそのヒントを物語風に書いてみました。さて、皆さんは読んで分かりますでしょうか?では、どうぞ。
「むかしむかし、西洋の酒場では黒板があり、それはいろいろな記録をするために使われていたそうな。ある客が来た。常連のようだ。バーボンを注文する。すると、バーテンダーはそこにある黒板に、チョークを使って「一杯」を意味する1という記号を書く。独特な書き方だ。しばらくすると、その客がまた一杯注文をした。するとバーテンダーはまたおもむろに黒板に向かい、無言でそこに書いてある1の記号を2に変える。客はまた注文をする。バーテンダーはまた黒板に手を伸ばし、チョークを使ってその記号を3に変えた。客はもう十分に飲んだようだ。バーテンダーに「Check, please.」と言う。バーテンダーは黒板を見て言う。「Three glasses. So, two twenty.」客はそれを払おうと財布を見た。が、お金がない。客はバーテンダーに向かって言った。「Put it on my tab.」(つけにしておいてくれ。)「Got it.」(わかった。)とバーテンダー。客は静かに席を立ち、バーから外の暗闇へと消えていった。」
さて、chalk it up toのchalkの使い方、この物語からわかりました?「ん~、だから~?!」という声と、「あ、なるほどね(納得!)」という声の両方が聞こえそうな(笑)。
では、お分かりの方も多いとは思いますが、その答えを解説しましょう。この物語で、chalkは客が支払わなければならない酒のグラスの数を黒板に書くために使われました。客はお金がなかったため、その数字の酒分のお金を「つけ」にしてバーを去った。つまり、chalkは、客に支払いの責務を記録するために使われたということになりますよね。言い換えると、バーテンダーは、客の飲んだ請求金額(it)をchalkで書くことにより、その客に対して(up to)支払いの責務を「負わせた」ということです。ですから、chalkは「何か(it)を、何か(誰か)に負わせる」という意味合いを持つようになり、それが転じて、「それ(it)を~の(up to)せいにする・負わせる(chalk)」、あるいは、いい意味では「~のおかげにする」という意味になったというわけです。どうでしょう、わかってもらえたでしょうか?それならいいんですが(冷汗)。
では今回の表現を含んだ会話を見てみましょう。
Jane: I heard that Tom made a big mistake in dealing with an important client. Is it true, Nao?
(トムが大事なお客さんに対して大きなミスをしたって聞いたけど。ホントなの、ナオ?)
Nao: Yeah, that’s true. He totally blew it.
(ああ、本当だよ。やつは完全にやっちゃった(失敗した)ね。)
Jane: You got so mad at him, didn’t you?
(かなり怒ったでしょ、彼に。)
Nao: Not really. I chalked it to his inexperience and immaturity. He is a good kid, so I just gave him some advice. That’s all.
(いや、そんなことないよ。それは、やつの経験のなさと未熟さのせいってことでね。いいやつだからさ、あいつは。だから、ちょっとアドバイスをしてやったくらいだよ。それだけ。)
Jane: Good for you, Nao.
(なかなかやるわね、ナオ。)
あ、心の広いところを見せちゃったみたいですね(笑)。では、今回はこの辺で。また新しい表現見つけて書きますね。僕の書く気を支えてくれるのは、それを読んでくださる皆さんがいるおかげです。I chalk it up to your readership. I mean it. Thank you, guys! Nao