Naoの誰でもわかる!英語の話

英語を勉強している人へ、面白い、ためになる話し、知識・情報などを、誰もがわかるように書いていきます。

英語力が「伸びる?伸びない?」わけを考える(8)

2014-12-01 | Weblog
①「英語を日常の言語にする」(Part 8)

 英語の修得に関して「…海外に行けば英語なんてすぐに話せるようになる…赤ちゃんが英語を習得するように英語をただ聞いていれば英語は話せるようになる…」という考えに対して、僕は「…その甘い考え方が日本人の英語力をいつまでもアジアで最下位にしている原因…それは、はっきり言います。大きな間違いです!」と言いましたよね。「英語の環境作り」の話をする前に、その点をまずクリアにしておきたいと思います!(「それを長いこと待っていたんだけどな~…」すみません!(ペコリ))
 僕はアメリカで30年も40年も住んでいる日本の女性をたくさん知っています。イリノイ州に滞在中は、彼らと友達であったとともに、大学院での研究論文のためにリサーチしたこともあります。第二次世界大戦後の日本、アメリカ占領軍の軍人と日本の基地(例えば、横須賀とか)で知り合い、恋に落ち、あるいは、みそめられ、結婚し、渡米した人たちです。昔はwar bride(戦争花嫁)などと言われていました。彼らの多くは英語の勉強をしていたわけではなく、片言でのコミュニケーションながら、出会った軍人の優しさや誠実さにひかれ、結婚して渡米しました。彼らは全くの異国の地で、英語もろくにわからないなか家族を作り、それでも、それなりに幸せな生活をしておられました(もちろん、離婚した方もおられましたが…)。僕が会った旦那さんたちは皆優しく、いい人たちでした。家族間の言語はというと、もちろん、英語です。「ほら、やっぱり海外に行けば、そこで生活すれば英語なんてすぐに話せるようになるんだ!」おっと~、ちょっと待ってくださいね(汗)。
 確かに彼女たちは旦那さんと、また、子供さんたちとも英語でコミュニケーションされます。テレビ番組も楽しんでおられるように見えます。でも、その英語力はというと、文法力、構文力、語彙力、表現力等、リサーチの結果(するまでもなくわかりますが…)、きわめて低いことがわかりました。日常のコミュニケーションを取るには足るくらいのスキルはおありでしたが、いわゆる「仕事で使えるレベルの英語」ではありませんでした。Broken Englishという言葉がありますが、そんな感じの英語です。つまり、文法的にはむちゃくちゃながら、単語、音、文脈で相手には何を言っているかがわかるというレベルの英語です。彼ら自身、そのことがよくわかっていらっしゃったので、僕がちょっとフォーマルな会合で話をしてくれるよう依頼すると、「ナオキさ~ん、私英語できないから話すの嫌だわ~」と、皆さん、ほぼ例外なく言われました。英語を人前で話したくない、書きたくないと言われるのです。その原因は…そう、自分でも英語ができない、ちゃんと話せないと思っておられたからです。
 アメリカで30年も40年も住んでいても、それだけでは英語力は伸びないこと、これでわかってもらえたでしょうか?前にも言いましたが、英語の環境にいたとしても、その中から正しい語順、構造、使用法等英語のGrammarを理解する、それを自分で使ってみる等の努力をしない限りは、いわゆる「高い英語力」は身につかないのです。日常の言語活動(生活上のコミュニケーション)では時間の制約があるため、ともかく話している相手に自分の伝えたいことを伝えることが優先され、知っている単語・表現を、使える文型に入れて話すことになります。ですから、意識しない限り、その中では英語力の伸長は見られないというわけです。よく、英語が全くできない人が海外に行ったら英語が話せるようになる(なった)といった話を聞きます。それは「英語が話せる」が、どの程度のレベルのことを言っているのかによっては、まんざら間違いではないです。買い物したり、切符を買ったり、レンタカーを借りたり…決まった言い回しを覚えて使えばその目的を達成することはできます。また、それに対する回答も、それなりにはわかる(予想できる)ので、問題はないでしょう。でも、その程度の英語力が目標の人は、きっとこのブログを読んでいないと思います。でしょ?
 結論。成人した大人の脳は、ただ英語の環境にいるからといって、英語の脳を作ることはない!(End of Part 8)