母の初盆。
実家へ行く途中、車の中で突然、歌が口をついて出た。
♪ さよならも言えず 泣いている私の踊り子よ
ああ 船が出る 天城峠で会うた日は
絵のようにあでやかな 袖が雨に濡れていた
赤い袖に 白い雨 ♪
なぜこの歌が口をついて出たのか?
普段私が全く歌わない歌・・・?
これは生前父が良く歌っていた歌だ。
確か三浦洸一さんの『踊り子』という歌。
もしや父がお盆だから近くまで来ているのか?
そうだ!今日はお盆なので父や母が
よく歌っていた歌を歌ってふたりを偲ぶのも良いな。
今度は母が好きだった歌を歌って母に捧げよう。
何を歌おうか?
『踊り子』は雨の日の歌なので雨つながりで
母がよく歌っていた『むらさき雨情』を歌ってみよう!
♪ 命を惜しむ私ならあなたについて行かないわ
(中略)むらさきの雨 雨に・・・(後略) ♪
ひとしきり大声で歌い終えると「上手い!」と言って
自分で盛大な拍手。
隣で運転をしながらその様子を見ていた(聴いていた)夫が
「お前は幸せな人間じゃあのー」とあきれたように一言。
この歌はきっと亡き父母に届いたはず!
(いつも都合のよいように勝手に解釈している)
あの世で父母が再会し
声を張り上げ歌合戦でもしてくれていたら嬉しいな。
そういう場面を空想してみたりした。
久しぶりの実家。
母が仲良くしてもらっていた隣のマスちゃんの
家にも行ってみた。
マスちゃんと話していたら母の事がいろいろ思い出され
不覚にも、突然、涙が出そうになった。
母とマスちゃんと二人で蔵の前に並んでもらい
写真のモデルになってもらったこともあったっけ。
あの日の母の笑顔・・・あざやかに浮かんだ・・・
母の初の盆・・・