鈴木の「窓に西陽が激しく当たる部屋」melow

メジャーとマイナーの漂流者・鈴木。
常に両極を嗜好するわたくしの徒然ブロ&グー。

ワインでわかる物理

2006年11月12日 | 【鈴木の部屋】
鈴木には
「死んでもわかりません」
と胸を張って断言できる教科がある。
物理だ。
またそれは、鈴木が人生で唯一追試を通達されたことのある、思い出深い教科でもある。

高2の放課後、ごくわずかな人数で行われた物理の追試験。
鈴木が自分の中の「ダルダルな本性」に身をゆだねて生きるようになったのはこの時からであった。
まずはこれを見て頂きたい。↓
・近隣3市の水泳大会でトロフィーを頂いた
・夏休みの創意工夫展で作った「砂鉄分類機」が市長に表彰される
・小学校の卒業文集において「歯が光ってる人〓2」に選ばれる
・高校進学早々行われた学力テストで、得意の英語は「学年順位6位」であった
・予備校の英語教師が速攻で読み上げる「△※‰×#☆○※△¥~!?」みたいな英語に対し、突っ込みを入れるような速度で訳すことができた(なんと意訳)

…これは鈴木の、高2までの輝かしい功績の一部である。
続きましてこれを見て頂こう。↓

独り身
自宅ずまい
いい歳
家事の手伝いほぼしない
かなりの夜型
寝ると起きられない
ユニクロの折り込みを楽しみにしている
…自堕落な人間が想像できたと思うが、今の鈴木である。

さて。
教室に入るやいなや追試の常連たち数名に
「あれ、何でいるの?」
と不思議がられながらも
「いや~ちょっと~…」
と席に着く鈴木。
伏せ目がちなものの、出席日数が全く足りず進学も危ういと噂されてたサッカー部マネージャーが、堂々と構えていたのをよーく覚えている。これはまるで…

追試のアシンメトリーや!!

…さてさて。
適当な答えを出しにいっては戻ってくる追試のプロたちを横目に、鈴木は最後まで解ろうとねばっていた。頭を抱えているので机がおでこにつきそうな状態である。
しかし…
問題用紙を白痴のように眺め続けている自分にふと気がついた瞬間、抱えこんでいた頭をゆっくりと持ち上げ、遠い目で黒板を眺めることしばし……
「あーこれ、ムリだ」
そう思った。
「出来ないこと、みーつけた」
そう思った。

日本語なのに読めども読めども意味不明。一体出題者は何を出せと言うのか??そしてどうして出さなければならない?出して一体なんになる?この世で生きていくのに必要なものって何?これじゃないですよねぇ?
結果「私の人生に、物理は一切必要無し!」と割り切った鈴木はもはや悟りの境地である。
しっかりとした足取りで教壇に座っている白髪・ロン毛の先生に近づき
「ぜったいわかりません」
と言い放ち、気分は「これでいいのだ」状態。この上ない爽快感を熱く感じていた。
プロたちは一様に「エエッ!」と驚いたがまるでコント。やっと同じ世界の住人になれた…と失礼ながら思った。
爽快な転機となったこの「ギブアップ宣言」。さわやかさで言うならヤマザキの「新食感宣言」にも匹敵したであろうよ…。

ちなみに鈴木、中堅大学に進んだが、その卒論でも「これでもまじめにやったんです」「だから卒業させてください」なる嘆願をしている。
憐れみと恩赦で手に入れた最終学歴である。

さてさて、先日千葉の友人宅に遊びに行った。持っていったのは赤ワイン。
川島なお美が絶賛するという千円台のワインである。
友人宅のワインオープナーはT字タイプであり、普通に開けようとしたら罠にはまり、引けど引けどコルクは全く抜けようとしてくれない。もはや夜もとっぷり暮れ、便利なあの人型オープナーを買いにゆく店もない。
二人がかりで押さえと責め(抜き)に入ったが開けられず、大格闘の末にコルクを中に押し込む手段をチョイスした。
すでに20分は経過していただろうか…ここでも気合いで押し込んだ瞬間、コルク分のワインがブシュッ!っと吹き出したことは言うまでもない。
さあ、ワインとの寝技で流血した指のことなど忘れ、やっとのことで開封できたワインをグラスに注ぐ!
…しかし中に押し込んだコルクが、瓶を傾けると栓ポジションに流れ着き、ハマり、チョロポタでしか注げない事態に直面した2人。
度重なる試練である。
しっかし勢いづいている鈴木はヒラメイタ!
友人が注ごうとしてはボゴボゴ停滞している瓶の口へ「おはし」を一本スイ~と挿入。コルクは見事箸に押されて瓶の中へ…………
その瞬間。当たり前だがなお美のワインは
「ボガゴッ!!!!」
っというかなり大きい音を立てて、箸を持つ鈴木の手にどっば~っ!!っと流れ出してきたのである。
「ギャー」

栓がなくなりゃ流れ出す…
あたりまえだが惨事が起きるまで気がつくことができなかった。
ボトルを傾け続け「いいねそれ」とわたしの行為を見続けた友人もまた友人であるが、ワインが凶暴な鉄砲水となり手を襲いグラスを越え、敷いていたランチョンマットを赤々と染めることになろうとは。
「物理ってこれだー」と覚醒としたのは言うまでもない。

ちなみにこのワインの暴発は「動脈みたいだった」と形容するにふさわしい激しさであった。

そののち友人はファミコンに興奮し、今度はグラスを倒すなど、部屋を赤く染める出来事が続いた。
まあ「ぼがごっ!!!」のインパクトには霞むような記憶具合である。

生活の中に物理が生きていることを、はじめて実感できた出来事であった。
それにしてもT字オープナーでどうやったら上手く栓を抜くことができるのか、教えてほしいものである。