エイジレス・ライフシフターの「社会暮らしのキーファクター」である『社交性』の範疇の一つ「バウンダリースパナー」の重要性について考えてみたいと思います。
組織内や社会コミュニティの中で、「気の合うグループ」や「利害を共有する内集団」に起きがちな「仲間内化」とか「サイロ化(タコツボ化)」は、人間社会ではよく聞く話です。
それぞれのグループや、サイロ化しているチーム・組織・団体などを、上手く繋ぎ合せて風通しの良い組織を構築するには、コミュニケーションデザインをしっかりと設計しなくてはなりません。
コミュニケーションデザインで重要な要素の一つは、情報アーキテクチャ(Information Architecture. IA)、つまり、「情報を分かりやすく構築する技法」を知っておくことです。
IAの第一人者である、ピーター・モービルは『アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅』中で、
『ネットワークにおける人と人とのインタラクションを分析する尺度は「活動性」「媒介性」「近接性」と定義し、これらの尺度は個人、組織、企業のいずれのレベルでも適用可能である。またこれらは、トポロジ最適化のためにコンピュータネットワークに適用したり、ファインダビリティ改善のために情報システムに適用することもできる。
なぜなら、「バウンダリースパナー」はたちまち、図書館やGoogle検索で探し出せるドキュメントになることがあるからだ。』と述べています。
バウンダリースパナーとは「境界連結者」と訳され、ネットワークにおいて異なるクラスター(サイロ?)間をネットワーク的に結びつけるハブの役割をするノードを指します。
この概念は組織におけるコミュニケーション・ファシリテーションにも共通するものです。
そして、モービルは次のように続けています。
『ノードは人でもコンテンツでもかまわないし、終端としても経路としても、データとしてもメタデータとしても機能しえる。記事や書籍やブログは単に目的地であるだけではない。時にそれらは、ユーザーを著者に引き寄せる逆引き参照としても機能するからである。何かを書くということは、ただその内容を伝達するためだけでなく、自分個人のファインダビリティを強化するためでもあるのだ。』
例えば、組織におけるコミュニティ(部門、グループやチーム)には、ある種の閉鎖性がありサイロ化する傾向があります。
つまり、人間は、仲間意識を共有している集団の中に、異分子たる他所者が入る事を無意識的に「拒絶」する意識が働く傾向があります。「村意識」とも言える感覚です。
組織の中でこのような「クラスター」化したコミュニティが並存している状態を「サイロ化(蛸壺化)」と呼びます。
組織内の「サイロ」は確固な境界をもったものとして扱われがちです。
しかし、ネットワークの観点から見れば境界は「バウンダリースパナー」の存在によって容易に乗り越え可能なものとなります。
エイジレスライフデザインの知見の一つです。