大川原有重 春夏秋冬

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引っ越し間に合わない可能性 4月発足前に

2012-02-05 16:00:00 | 政治・経済
<原子力規制庁>引っ越し間に合わない可能性 4月発足前により転載
毎日新聞 1月26日(木)13時8分配信

原子力規制庁が入居先を探している東京・霞が関周辺の候補地

 4月に環境省の外局として新設される原子力規制庁(仮称)の入居先が決まらず、発足時に引っ越しが間に合わない可能性が出てきた。原発の安全規制強化のために発足するだけに、早々に腰がすわらないと「やる気があるのか」との批判も出てきそうだ。【藤野基文、江口一】

 「場所選びにこんなに苦労するとは思わなかった」。原子力規制庁設置まで2カ月あまりとなる中、環境省幹部はため息をつく。同庁新設は、組織名さえ25日になって「原子力安全庁」から変更されるドタバタぶり。場所選びがうまくいかない主な理由は、他省庁の“冷淡さ”と、霞が関周辺の賃料の高さだ。4月1日には、原子力安全規制を担ってきた経済産業省原子力安全・保安院がある同省別館で新組織をスタートさせ、引っ越しは初夏以降になる可能性が濃厚だ。

 規制庁は、東京電力福島第1原発事故の教訓から、原発推進の経産省から原子力安全・保安院を分離し、内閣府の原子力安全委員会と統合させて発足する。文部科学省が持つ放射線モニタリングの司令塔機能を移管。核テロ対策なども所管する。総勢500人規模になる見通し。新たに危機管理センター(ERC)や「原子力安全調査会」も設けるため、最低でも6000平方メートル以上が必要という。

 環境省は入居先の条件に、有事に首相官邸へ徒歩で駆けつけられる▽耐震基準を満たす▽エレベーターが止まっても上がれる低層階にある▽セキュリティーがしっかりしている--などを挙げる。

 現在の環境省本省は、東京都千代田区霞が関の合同庁舎5号館23~26階と19階にあり、低層階には庁舎管理権を持つ“大家”の厚生労働省が入っている。環境省は一体感を出すため、まずは5号館の低層階を空けてもらえないかと厚労省に持ちかけた。だが大家のプライドからか「絶対にだめ」と断られたという。

 保安院が入っている経産省別館(11階建て)も検討したが、原発を推進してきた資源エネルギー庁も同居しているため「『看板を掛け替えただけ』と批判される」と断念。あくまで「仮屋」の候補という位置付けだ。

 「ならば玉突きで」と他省庁の建物も物色したが、「なぜ無関係の我々が動かされるのか」とことごとく反発された。

 では、民間ビルを借りるのはどうか。霞が関周辺はただでさえオフィス賃料が高い。09年の発足当初、官邸そばの民間ビルに入った消費者庁は年8億円の賃料の高さが批判を浴び、一部を縮小した。それでも4247平方メートルのフロアの賃料は年間5億4517万2000円に上る。「財政難の今、とても国民の理解は得られない」と環境省幹部。原発に反対するデモ隊を心配するビルオーナーもいる。

 引っ越し作業も大変だ。原発の安全性を監視する立場なのに、電話などの通信機器やコンピューターが「引っ越し中だから数日間、使えません、というのは絶対に通用しない」(環境省幹部)ためだ。短期間ながら規制庁業務をする場所が2カ所必要になる。

 発足に間に合わない可能性が高まる中、汐留エリアなど、霞が関に近接する地域も候補に広げる。いざとなれば自転車で移動できる、というわけだ。最終的には公募の手続きをとり、同庁設置に関連する国会での法案審議をにらみながら、「より安くていい物件を探す努力を最後まで続ける」(同)方針だ。

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