大川原有重 春夏秋冬

人は泣きながら生まれ幸せになる為に人間関係の修行をする。様々な思い出、経験、感動をスーツケースに入れ旅立つんだね

被災障害者の就労/働きたい気持ちに応えたい (福島民友新聞社説)

2013-05-27 19:00:00 | 原子力関係
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で被災し、避難生活を送っている障害者が避難先で仕事に就く機会を得ることができず、生きがいを失っているケースが目立っていることが、県内の21障害者団体でつくる「JDF(日本障害フォーラム)被災地障がい者支援センターふくしま」(郡山市)の調査で分かった。

 震災から2年がたった今年3月に発足した同センターには、仕事を探している障害者からの相談が数多く寄せられている。働きたくても働くことができない人がいるのは障害者に限らず残念でならないが、とりわけ社会的弱者であり、被災前まで仕事に気持ちよく汗を流していた一人でも多くの障害者の勤労意欲に応えたい。

 同センターによると、長期避難を覚悟せざるを得ない双葉郡8町村では、昨年12月現在で県内に避難している身体、知的、精神障害者は合わせて2761人で、県外避難者は827人に及んでいる。震災前は農業や縫製などの仕事に就いていたが、避難先で仕事が見つからない人が大勢いるという。仕事をすることができないことが、症状の悪化につながることも心配される。

 同センターは、県からの委託を受けて被災障害者の相談支援などに当たっているが、障害者も各地に点在して避難しており、全員を支援しきれていないのが現状という。簡単にはいかないだろうが、行政と連携を強めながら、障害のある人の声を丁寧にすくい上げてほしい。

 新しい被災障害者支援の取り組みも始まっている。日本盲人会連合は、本県と岩手、宮城の3県の視覚障害者が自らの被災した体験を話す「語り部プロジェクト」をスタートさせた。災害時には避難や情報収集に周囲の助けが不可欠であることを訴えるのが狙いという。弱い立場にいる人たちと周囲が震災にどう立ち向かったのか、語り継ぐことは大きな意味を持つはずだ。

 就労の場につなげるのは困難だろうが、つらい経験を乗り越え、生きていることの喜びを実感できる取り組みとも言えるだろう。あきらめずにもう一度チャレンジするための力となり、働く意欲の維持にもつながるに違いない。

 県内の障害者の雇用状況(昨年6月1日現在)は、県は法定雇用率の2・3%を達成しているものの、民間企業は1.8%に対して1.64%で届いていない。被災した企業も多いが、民間もさらに障害者の雇用に積極姿勢を示してもらいたい。

 せっかく就いた職業をなくすことの悔しさは障害者も健常者も同じはずだ。新しい被災障害者雇用の在り方にも知恵を絞らなければならない。働く意欲のある障害者に手を差し伸べながら、ともに生きる社会づくりに向け一歩ずつ前進したい。

2013年5月25日 福島民友新聞社説

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