福島避難家族 半数離れ離れ 県アンケート
2014年4月28日東京新聞
福島県は二十八日、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故のため県内外に避難している県民を対象に実施したアンケート結果を発表した。震災発生当時は一緒に暮らしていた世帯のうちほぼ半数の48・9%が、家族が二カ所以上に離れて暮らしていることが分かった。
避難指示が出ている自治体ごとの調査はこれまでも行われているが、県が全体の状況を調べたのは初めて。避難後、心身の不調を訴えるようになった人がいる世帯も67・5%に上り、避難の長期化が大きな負担になっていることも判明した。
第一原発がある地域では大家族が一緒に暮らしていた世帯も多いが、仮設住宅が狭いことや、仕事や進学のため若い世代が自分で家を借りたり、購入したりする例が増えている。家族離れ離れの暮らしが進む実態が浮き彫りになった。
家族の分散状況は「二カ所」が33・3%、「三カ所」が12・1%、「四カ所」が2・9%、「五カ所以上」も0・6%に上る。「世帯でまとまって一カ所(一人暮らし含む)」は44・7%。
県は六万二千八百十二世帯を対象に郵送で行った。避難先が不明で戻ってきた世帯を除く五万八千六百二十七世帯のうち、二万六百八十世帯(35・3%)が回答した。
◆13万人超 今も帰れず
福島県では、東京電力福島第一原発事故から三年が過ぎた今も、約十三万二千五百人が県内外で避難生活を続けており、避難先は北海道から沖縄県まで全都道府県に広がっている。
第一原発から二十キロ圏内を中心とした十市町村では、政府による強制的な避難指示が続いており、住民は自宅に戻ることができない。
長期間不在となった家屋は荒廃が進み、避難先で住宅を購入するなど新たな生活再建に踏み切る人も増えた。
また避難指示がない地域でも、放射線への不安から自主的に避難している人は依然多い。
四月一日には初めて田村市都路地区の一部で避難指示が解除された。四月二十六日には川内村の一部でも、避難指示の解除に向け三カ月の長期滞在が認められたが、実際に自宅に戻る申請をしたのは一割にすぎず、元の生活に戻るのが難しくなっている現実を示している。