土屋龍一郎のブログ

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ラジオ朗読2「われら」

2005-09-04 01:45:33 | Weblog
 やっぱりNHKの深夜番組でロシアの作家ザミャーチンの「われら」を解説していた。部分的に朗読しながら、ロシア文学の教授のような女性が時代背景と作品の徹底的な分析と解説をしていた。
 この放送を聴いたのは中央高速道路を走っていて途中で予想もしなかった吹雪にあって視界も利かず、音もなくフロントガラスにくっつく雪と格闘してた時だ。車内の空気はヒーターで澱んで、それなのに外の空気も取り込めない息苦しい時だった。
 時々、電波が吹雪で乱されて放送自体がロシアからの電波を偶然拾っているような錯覚に陥った。

 まったく知らなかった作品だったし、だいいちにロシア文学なんて長くて重くて、きっとどこを読んでも白夜みたいな不毛な苦しみしかないような気がしていたから、ドストエフスキーだってちゃんと読んだことは無かった。けれども最近のインターネット世界は(おそらくザミャーチンもこんな風に作品が検索されるとは夢にも思わなかっただろう)とても便利で3日後には手元に新刊が届いていた。

 この「われら」は1920年に書かれた未来小説で、支配と宇宙船建造という今でも未来小説の題材になりそうなシチュエーションを取り上げている。この作品のおかげでザミャーチンはレーニン批判者のレッテルを貼られた、というからまことに前時代作品だ。怪しすぎる登場人物と映像化したくなるような建造物や室内の描写が面白い。