こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。
前回に引き続き、もう少しチャレンジテストの問題点を書いていきますね。
⑤ 中3のチャレンジテストは、学校の団体戦
チャレンジテストの結果が悪ければ、いくら学校の定期テストの点数がよくても内申点は低くなってしまうことはお話しましたが、これは中1と中2の内申点の決め方なのです。では中3はどうなるのかというと、学校の平均点が大きく生徒の内申点に影響を与えます。中1と中2は個人戦で、中3は団体戦となっているのです。簡単に説明しますと、チャレンジテストの平均点が、A中学校は府の平均点を大きく上回り、B中学校は平均点を大きく下回ったとします。すると、A中学校は全生徒の内申点の平均が「4」になるように調整し、B中学校は「2」になるようにつけなければなりません。もちろん、A中学校の方がレベルが高いのだから、不公平をなくすという意味では理解できます。しかし、大きな問題がいくつかあります。それは、まずB中学校の生徒は優秀な点数をとっても「5」をつけてもらいにくいことです。B中学校の生徒数が4人とし、内申点の平均を「2」となるようにつけていった場合、1人を「5」にするには他の3人を「1」にしなければなりません。3人の中の1人が「1」をつけられるほど悪い成績ではないとすると、この優秀な点数をとった生徒を「4」にしなければなりません。つまり、同じ点数であったとしても、通っている中学校の平均点の差で異なる内申点になってしまうのです。これでは、なんのためにチャレンジテストを導入したのかわからなくなってしまいます。さらに、もっと問題なのは学校の平均点を上げる簡単な方法があることです。それは、成績のよくない生徒にチャレンジテストを受けさせなければよいのです。さすがに学校の先生が直接そういう指導をすることはないでしょうが、いくつかの中学校では生徒同士で「お前が受けると平均点が下がるから来ないでくれ」といったようなことが起きています。また、平均点の高い中学校では、よい内申点をもらいやすいので、そのために転校している子どももいるいう報告も受けています。
⑥ チャレンジテスト対策とその時期やテストの多さ
このようにチャレンジテストの結果は、高校入試の合否を大きく左右するものですから、中学校によっては学校全体でチャレンジテスト対策をしている学校もあります。廊下や教室に、「チャレンジテストまであと〇〇日」と張り紙をして、熱心に対策に取り組んでいる、まるで予備校のような学校もあります。通常授業の中で、過去のチャレンジテストの問題を開設したり、模擬テストを実施したりしています。一方では、特に対策など何もしていない学校もあります。また、この6月に3つもテストが実施される学校もあります。実力テスト・チャレンジテスト・期末テストです。それぞれが高校入試に必要な内申点に関わる試験で、範囲も傾向もバラバラです。こんな厳しい日程で試験をすることなんてまず公立中学校でするべきではないと思いますし、子どもたちの負担が増えるだけで何のためにこれほど多くのテストをするのか意味がわからないです。それにチャレンジテストをなぜ6月という時期にするのかもわからないです。クラブ活動している生徒の多くは、夏休み前ごろに引退し、そこから受験に向けて勉強を頑張ります。6月といえば、最後の試合や大会に向けて一番クラブを頑張りたい時期です。大学のセンター試験でも、各大学の入学試験が行われる直前の1月に行われます。そのときには、学力もピークになっているから問題ありませんが、6月というのは多くの子どもが本格的に受験勉強をする前ですので、まだまだ学力が上がり切っておらず、そんな状況の中で入試の内申点を左右するような大事なテストが行われるのは、どう考えてもおかしいと思います。夏以降の勉強のモチベーションの低下にもつながってしまいます。
⑦ わかりにくい
これまで、いくつかチャレンジテストの問題点を挙げてきましたが、結局この制度はわかりにくいのです。中学生やその保護者の方はもちろん、学校の先生も理解できてない人がおられるのではないでしょうか。もともと内申点というのが文部科学省のHPでは「生徒の平素の学習状況等を評価し、学力検査で把握できない学力や学力以外の生徒の個性を多面的にとらえたり、生徒の優れている点や長所を積極的に評価し、活用していくというもの」とあるように、テストの点数だけではないため少し評価がしにくいものであり、それをそのままの形で無理やり公正化しようとしたため、さらにわけがわからなくなっているのです。私も最初にチャレンジテストに関する資料を読んだときに理解できませんでした(笑) ですから、学校側からも保護者や生徒たちに対してきちんと説明がされておらず、間違った解釈をしている方や、よくわからないけど大切なテストらしいから頑張らないといけないという方がほとんどではないでしょうか。これが、すごく問題です。高校受験というのは、子どもたちにとってはとても大きなものです。公立中学校に通っている子どもにとっては、人生で初めて自分で進んでいく道を決めるのです。それほど大事な高校受験を、本人や保護者にその仕組みを正確に伝えずに、ただ大事な試験だから頑張れというのはおかしいと思います。学校の成績は「4」なのにチャレンジテストのせいで「2」になってしまったとき、先生はきちんとそれを生徒や保護者に伝えれるのでしょうか、生徒や保護者やそれで納得できるのでしょうか。大切な高校受験だからこそ、その制度はシンプルでだれもがわかりやすいものにする必要があると思います。曖昧なところを、できるだけなくさなければなりません。
このように、チャレンジテストについては多くの欠点があります。これからますます多くの批判や不満などが、現場の先生や生徒・保護者の方からでてくるでしょう。その結果、それほど遠くない将来に制度の見直しが行われるでしょう。もちろん私もそれを望んでいますが、それまでの間はこの変な制度の中で受験をしなければならない子どもたちがたくさんいます。わずか数年で変更しなければならないようなよくない制度のせいで、一番かわいそうなのは子どもたちなのです。もっと慎重に議論を重ねて、よりよい入試制度になることを強く望みますし、そうなるよう活動していきたいと思います。
ONE-SのHP
前回に引き続き、もう少しチャレンジテストの問題点を書いていきますね。
⑤ 中3のチャレンジテストは、学校の団体戦
チャレンジテストの結果が悪ければ、いくら学校の定期テストの点数がよくても内申点は低くなってしまうことはお話しましたが、これは中1と中2の内申点の決め方なのです。では中3はどうなるのかというと、学校の平均点が大きく生徒の内申点に影響を与えます。中1と中2は個人戦で、中3は団体戦となっているのです。簡単に説明しますと、チャレンジテストの平均点が、A中学校は府の平均点を大きく上回り、B中学校は平均点を大きく下回ったとします。すると、A中学校は全生徒の内申点の平均が「4」になるように調整し、B中学校は「2」になるようにつけなければなりません。もちろん、A中学校の方がレベルが高いのだから、不公平をなくすという意味では理解できます。しかし、大きな問題がいくつかあります。それは、まずB中学校の生徒は優秀な点数をとっても「5」をつけてもらいにくいことです。B中学校の生徒数が4人とし、内申点の平均を「2」となるようにつけていった場合、1人を「5」にするには他の3人を「1」にしなければなりません。3人の中の1人が「1」をつけられるほど悪い成績ではないとすると、この優秀な点数をとった生徒を「4」にしなければなりません。つまり、同じ点数であったとしても、通っている中学校の平均点の差で異なる内申点になってしまうのです。これでは、なんのためにチャレンジテストを導入したのかわからなくなってしまいます。さらに、もっと問題なのは学校の平均点を上げる簡単な方法があることです。それは、成績のよくない生徒にチャレンジテストを受けさせなければよいのです。さすがに学校の先生が直接そういう指導をすることはないでしょうが、いくつかの中学校では生徒同士で「お前が受けると平均点が下がるから来ないでくれ」といったようなことが起きています。また、平均点の高い中学校では、よい内申点をもらいやすいので、そのために転校している子どももいるいう報告も受けています。
⑥ チャレンジテスト対策とその時期やテストの多さ
このようにチャレンジテストの結果は、高校入試の合否を大きく左右するものですから、中学校によっては学校全体でチャレンジテスト対策をしている学校もあります。廊下や教室に、「チャレンジテストまであと〇〇日」と張り紙をして、熱心に対策に取り組んでいる、まるで予備校のような学校もあります。通常授業の中で、過去のチャレンジテストの問題を開設したり、模擬テストを実施したりしています。一方では、特に対策など何もしていない学校もあります。また、この6月に3つもテストが実施される学校もあります。実力テスト・チャレンジテスト・期末テストです。それぞれが高校入試に必要な内申点に関わる試験で、範囲も傾向もバラバラです。こんな厳しい日程で試験をすることなんてまず公立中学校でするべきではないと思いますし、子どもたちの負担が増えるだけで何のためにこれほど多くのテストをするのか意味がわからないです。それにチャレンジテストをなぜ6月という時期にするのかもわからないです。クラブ活動している生徒の多くは、夏休み前ごろに引退し、そこから受験に向けて勉強を頑張ります。6月といえば、最後の試合や大会に向けて一番クラブを頑張りたい時期です。大学のセンター試験でも、各大学の入学試験が行われる直前の1月に行われます。そのときには、学力もピークになっているから問題ありませんが、6月というのは多くの子どもが本格的に受験勉強をする前ですので、まだまだ学力が上がり切っておらず、そんな状況の中で入試の内申点を左右するような大事なテストが行われるのは、どう考えてもおかしいと思います。夏以降の勉強のモチベーションの低下にもつながってしまいます。
⑦ わかりにくい
これまで、いくつかチャレンジテストの問題点を挙げてきましたが、結局この制度はわかりにくいのです。中学生やその保護者の方はもちろん、学校の先生も理解できてない人がおられるのではないでしょうか。もともと内申点というのが文部科学省のHPでは「生徒の平素の学習状況等を評価し、学力検査で把握できない学力や学力以外の生徒の個性を多面的にとらえたり、生徒の優れている点や長所を積極的に評価し、活用していくというもの」とあるように、テストの点数だけではないため少し評価がしにくいものであり、それをそのままの形で無理やり公正化しようとしたため、さらにわけがわからなくなっているのです。私も最初にチャレンジテストに関する資料を読んだときに理解できませんでした(笑) ですから、学校側からも保護者や生徒たちに対してきちんと説明がされておらず、間違った解釈をしている方や、よくわからないけど大切なテストらしいから頑張らないといけないという方がほとんどではないでしょうか。これが、すごく問題です。高校受験というのは、子どもたちにとってはとても大きなものです。公立中学校に通っている子どもにとっては、人生で初めて自分で進んでいく道を決めるのです。それほど大事な高校受験を、本人や保護者にその仕組みを正確に伝えずに、ただ大事な試験だから頑張れというのはおかしいと思います。学校の成績は「4」なのにチャレンジテストのせいで「2」になってしまったとき、先生はきちんとそれを生徒や保護者に伝えれるのでしょうか、生徒や保護者やそれで納得できるのでしょうか。大切な高校受験だからこそ、その制度はシンプルでだれもがわかりやすいものにする必要があると思います。曖昧なところを、できるだけなくさなければなりません。
このように、チャレンジテストについては多くの欠点があります。これからますます多くの批判や不満などが、現場の先生や生徒・保護者の方からでてくるでしょう。その結果、それほど遠くない将来に制度の見直しが行われるでしょう。もちろん私もそれを望んでいますが、それまでの間はこの変な制度の中で受験をしなければならない子どもたちがたくさんいます。わずか数年で変更しなければならないようなよくない制度のせいで、一番かわいそうなのは子どもたちなのです。もっと慎重に議論を重ねて、よりよい入試制度になることを強く望みますし、そうなるよう活動していきたいと思います。
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