あなたは知っているだろうか
やかましい鏡
というものがある
しかしあなたのために
世界を映す
わたしは静かな鏡でいよう
林檎を映すと
あなたは林檎をひとつ見たと思うけれど
わたしを映す鏡がないので
あなたはわたしに気づいてくれない
わたしは世界で一番
かなしい鏡である
月の光が窓よりもれる夜
ガラスの指で
自分の冷たい乳房に
触ることがある
おかしいことが
何一つ見つからないとき
ほんとうに笑いだすことがある
不機嫌な人間のかわりに
あなたのこころの底で
割れっちまいたいことがある
爪をたてわたしを登る
猫がだいすき
やかましい鏡
というものがある
しかしあなたのために
世界を映す
わたしは静かな鏡でいよう
林檎を映すと
あなたは林檎をひとつ見たと思うけれど
わたしを映す鏡がないので
あなたはわたしに気づいてくれない
わたしは世界で一番
かなしい鏡である
月の光が窓よりもれる夜
ガラスの指で
自分の冷たい乳房に
触ることがある
おかしいことが
何一つ見つからないとき
ほんとうに笑いだすことがある
不機嫌な人間のかわりに
あなたのこころの底で
割れっちまいたいことがある
爪をたてわたしを登る
猫がだいすき