写真は6番寺安楽寺。お遍路初日に撮ったお気に入り。
お遍路の初日は、経験すること全てが新鮮だった。
不思議な出来事が早々に起こった。
朝7時、徳島駅に到着。
到着してすぐに、これから旅の足となる自転車(MTB)を15分程度で組み立てた。
日曜なのにサラリーマンと学生、それと観光客でいっぱいの徳島駅前。
深夜バスの疲れがあったのか、腹も減ってなかったので朝食はとらなかった。
まずはお遍路用に地図を購入して1番寺の霊山寺までのルート、プランを立てたかったので、自転車を駅地下の駐輪所に停めてから本屋を探した。
朝7時過ぎ、どの本屋も営業してないし、コンビニも見つからない。駅前なのにコンビニが無いのか??と嘆きつつ、徳島駅に再び向かう。
徳島駅で缶コーヒー飲みつつ休憩。
休憩中、仕事終わりの様子のタクシーの運転手さんが話し掛けてきた。
「自転車でお遍路か?今、お客さん乗せて八十八箇所のお寺を一週間で廻ってきたとこやけど・・
(会話中略)
がんばってな~ 霊山寺まではこの道を・・・」
と、こっちが聞いてもいないのに色々と親切に教えてくれた。
その他にも2、3の人から声をかけられた。「がんばってね~」って。
まだ出発もしてないのに随分と親切な人ばっかりだった。これがお遍路の接待文化なんでしょうか?
白装束の人達も結構いるし、お遍路文化は徳島の風土に染み付いてる様子だった。
昨夜、深夜バスに乗りこみ、これからどうなるんだろうと不安に思っていた気持ちは、新鮮な空気と、街の人々の人情に触れてわくわくしてきた。
もう一度駅前をぶらぶらして、地図を探したけど、本屋は開いていないし・・・。まあ、地図は途中で買う事にして、そろそろ行くか!と駐輪場から自転車を運び出して、8時頃に「さあ出発!」と腰を上げた時、70代くらいのおばあちゃんが近寄ってきた。
ついさっき、別のおばちゃんから親切な言葉を頂いたところだったので、特に警戒心も無く、自然と「なんですか?」とおばあちゃんに聞いてみたところ、
「きぼうのぼうという字を教えて下さい・・・のぞみと書きます」と話し掛けられた。
「えっ?」なんだ?と当惑しながらも、有無を言わさず差し出されたメモ帳に「望」という文字を書いた。
おばあちゃんは、
「ありがとう。交通事故に遭って頭を打ってから、物忘れがひどくて、手紙を出そうと思ったんだけど、漢字が思い出せなくて・・・」
と何度も頭を下げて去って行った。
朝早く、おばあちゃんはなぜその手紙を駅から出さないといけないのか?
なぜ自分に声を掛けてきたのか?
大きな自転車を引いて、でかいザックを背負ったおかしなかっこうなのに…
色々疑問に思ったけど、これが旅なのかね?と思いつつ1番寺霊山寺に向かって出発した。
出発地点からして不思議な出来事。
日常ではない非日常、それこそ旅。お遍路にふさわしいスタートだったのかもしれないと思った。
続きは>>お遍路を自転車で・・・39で。
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