私がヨガやベリーダンスのクラスをしていると、窓の外に人影が見える。いつも来る84歳のきよみさんだ。声をかけて入ってもらう。”私も心臓が悪くなければ踊りを教えてもらうんだけどねー”きよみさんは足腰がしっかりしているので、身の回りの事もできるし、いつも近所を一人で散歩している。お住まいは介護ステーション”むーみん”介護士や看護師が
常駐しているので安心だ。栄養学を踏まえて、食事も作ってくれる。クラスが無い時はお話を聞かせてもらう。22歳から25歳まで従軍看護婦でハルピンに行っていたそうだ。私が”苦労されたんでしょう?”と聞くと、”戦争はそりゃあ大変だったけど、帰ってきてからも苦労したよ。”きよみさんには一人息子がいるそうで、”ぼくちゃんがいくつの時何々、ぼくちゃんと何々したんだ。”などなど。84歳になっても”ぼくちゃんが時々会いに来てくれるんだよ。”と語る。きよみさんは遠慮しながら入ってきて、ありがとうと言って帰る。毎日来てほしい。いっぱいお話がしたい。先週末、隣部屋のおじいちゃんが亡くなった事をおしえてもらった。苦労や幸せ、乗り越えてきた人生に御線香を上げさせて頂いた。介護士さんが貼ったのか壁には本人の笑顔の写真がたくさん貼られていた。
坂口せつ子
2005年6月2日木曜日
高崎市民新聞連載より転載
常駐しているので安心だ。栄養学を踏まえて、食事も作ってくれる。クラスが無い時はお話を聞かせてもらう。22歳から25歳まで従軍看護婦でハルピンに行っていたそうだ。私が”苦労されたんでしょう?”と聞くと、”戦争はそりゃあ大変だったけど、帰ってきてからも苦労したよ。”きよみさんには一人息子がいるそうで、”ぼくちゃんがいくつの時何々、ぼくちゃんと何々したんだ。”などなど。84歳になっても”ぼくちゃんが時々会いに来てくれるんだよ。”と語る。きよみさんは遠慮しながら入ってきて、ありがとうと言って帰る。毎日来てほしい。いっぱいお話がしたい。先週末、隣部屋のおじいちゃんが亡くなった事をおしえてもらった。苦労や幸せ、乗り越えてきた人生に御線香を上げさせて頂いた。介護士さんが貼ったのか壁には本人の笑顔の写真がたくさん貼られていた。
坂口せつ子
2005年6月2日木曜日
高崎市民新聞連載より転載