DEEP SEAα

ココロの軌跡

Beautiful Colors

歌を忘れた金糸雀

2007-05-19 | 遠い日の海(過去エントリー)
ニュース番組を見ていたら、この国の誇るべき童謡や唱歌がどんどん忘れ去られてきているという、特集をしていた。

「美しい国日本」は何処に行ってしまうのかと。

街頭でのインタビューを見ていても、童謡も唱歌も知らない人が殆どだった。



私の母はとても歌が好きな人なので、私はずっと歌を聴いて育った。

そのせいもあって知らない童謡や唱歌、叙情歌は殆どない。

日本独特の情景を表す数々の美しい言葉も、殆どを歌で覚えた。

そして、感性を磨けたのも歌があってこそだった。


それが失われてしまっているのが今の世の中なのだという。

なんだかとても寂しい気持ちになって、テレビのスイッチを切ってしまった。




私は感受性が強すぎて随分辛い思いをしてきたけれど、歌を唄う時だけはその厄介な性分が役立った。


声楽を叩き込んでくれた一人の恩師は、テクニック以上にその感受性(感情移入)をいつも誉めてくれたからだ。



それは私の頼どころだった。



個性的だと言われ続けて生きてきたけれど、心癒される歌が残るこの国の民族ならば、世代が違う人達でも通じる物がきっとあるだろうと希望を持ってきた。



今夜、そんなこと無理なんだな…と感じた。


母親が子守歌を唄わなくなり、学校の教科書から童謡や唱歌が削除されてしまったこの国の、一体何処が美しい国なのだろう。


誰が、何が、美しさを感じる心を伝えると言うのだろう。


どんな素晴らしい物事でも、受け入れる心がなければ只の現象に過ぎないのに。


由紀さおりさん、安田祥子さん姉妹は、偉いなとは思うのだけれど…… 。



価値観…… 。



合うわけないなと、凹んでしまった夜だった。

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天に近い場所

2007-05-18 | 遠い日の海(過去エントリー)

私はベランダが好きだ。


以前、住んでいた所にはバルコニーのような広めのベランダがあって、とても気に入っていた。

ベランダにはたくさんの植物を置いた。

色とりどりのherbや、好きな花々、摘んで口に入れるミニトマトなど…… 。

そして、私専用の椅子とサンダル、灰皿も置いた。



穏やかな陽射しが降り注ぐ午前中に、煙草をくゆらせながらボーっとコーヒーを啜ったり、夕焼けの宵には薔薇色の空をいつまでも眺めている日が常だった。


真夏の暑い日、突然の雷雨の時には、裸足になってデッキブラシをかけるのがとても好きだった。


サマーベッドを持ち込んでオイル塗り塗り脚を灼いてみたり、星が瞬く真夜中には、ビールと蚊遣ブタを持って、プチトマトやハーブを摘んでは口に投げ入れ、流れ星を見上げていた

気がつけば何本もビールが空いていて、すっかり酔っぱらいになった夜も数知れないw


真冬にはベランダの直ぐ脇の部屋に寝そべって本を読んだり、灰色の天空から舞い降りてくる綿雪を飽きることなく見続けていた。



少しでも気を抜けば簡単にバランスを崩してしまいそうな境遇の中で、スレスレの所でも壊れずに済んでいたのは、あのベランダでの時間のお陰かなと思ったりしている。


地上から離れていた分、それだけ空へと近い素敵な空間。


誰にも気兼ねせず邪魔もされない、極上のリラックススペースだった。



あぁ‥、楽しかった









だけど… 残念ながら今の住まいにはベランダがない。



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由縁

2007-05-18 | 遠い日の海(過去エントリー)
信仰を持つと言うことにあたって、長い間悩んだ時期があった。


許される範囲での限界まで片っ端から調べ、頭が雲丹になる程本を読んだ。

答えを出すまで何年もかかった。

だから、決めてからは一度として迷った事も揺らいだ事もない。



そうして、今の私がある。


私が仏教に帰依しようと最終的に決めたのは、中尊寺前貫首の千田孝信師が説いて下さった、藤原清衡公の衆生済度、毛羽鱗介の果てまでも浄土へと導きたいとの願いだった。



【山川草木悉皆成仏】


それを知った時のあの深い感動は今もなお褪せる事無く、私の核となっている。



藤原氏が愛したこの奥州に生まれ落ちた事を誇りに思っているのは、いつも記している通りだが、円仁、清衡縁の中尊寺という場所で、仏教徒のスタートを切れたということは、身に余る光栄だと常々思っている。


そんな事を、親しくして頂いているある庵主さまにお話したところ、その志を自坊の霊園の石碑に記したと仰った。


もう、何年も前になるが…… 。


そこには、ワンちゃんやネコちゃんが眠っているのだと言う。


「あなたのおかげで素敵な石碑ができましたよ」


そう仰って頂いた時には、清衡公のお手伝いが出来た気がしてとてもうれしかった。


だから、その石碑は「私もお手伝いして出来上がった石碑だ」と、勝手に思っている。 (笑)



信仰を持てるということは、本当に素晴らしい。


仏縁に心から感謝している。

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rendzvous

2007-05-13 | 遠い日の海(過去エントリー)
TVはあまり視ない私が、毎週楽しみにしているのが「日曜美術館」。




今、その30年展が地元で開催されているので先日出掛けてきた。






楽しみにしていたのは、上村松園や狩野芳崖、黒田清輝、岡本太郎、田中一村などだったが、何せ展示の数が半端じゃなく、然もその作品はどれも秀逸なものであるからその迫力に圧巻されて目が回る程だった。




地方に暮らす私は、これ程の大作を一斉に目にする機会にこれまで恵まれなかったので、昨年から指折り数えて開催日を待っていた。





展示されている作品はどれも素晴らしいものであるには違いなく、美術に関してはまだまだ知識も経験もない私でも、どうにか感性では理解出来たように思う。




お目当ての作品も期待を裏切らない素晴らしいものだった。




そんな中で私に予想外の事が起こった。


ある作品の前で目が釘付けになり、金縛りにあったように動けなくなってしまったのである。





それはピカソの「青の時代」の作品。



グイと惹きつけたその作品は、乾いたスポンジが水を吸収するが如く、私の感性に深くしみ込んで来る気配がした。


ピカソの青は悲壮感の青と言われるそうだが、あの青は深く湛えられた深海の如く、人知を越えた神聖な領域に踏み込んでいる様な感覚が、私の中に溢れた。


気を抜くと涙が出そうな程、心が震えた。


やはりピカソはピカソであった。






そして、そのピカソと並んで展示されていた、我が郷土のピカソと称される松本竣介の作品。


これまで難解だった松本の絵の素晴らしさが、漸く理解できた瞬間だった。






胸にしっくりとくる感覚や新たな気付きというのは、何にも例えようもない満足感があって、私の知識欲を駆り立てる。


私のような無学な者でも、なんとなく解ったような気になって知りたい気持ちで貪欲になっていく。




優れた芸術品に触れられた後の私は、とても満たされた気持ちになる。

何度も思い返しては咀嚼し、自分の血肉にしようとするのだから……。






そんな訳で、身も心も充足できる恵まれた一時だった。


このような機会に恵まれたことを素直に感謝したいと思う。






恵まれていると言う点で少々触れるが、絵画や彫刻等とはあまり縁のなかった私に、一から手ほどきしてくれたのは、その分野で秀でた一族の中に生まれ育った夫である。


新たな世界を展開してくれたことに、心から感謝している。

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いい人

2007-05-11 | 遠い日の海(過去エントリー)
「いい所ですね。

何より人柄が素晴らしい。」


観光客によく言われる。



当然リップサービスも混じっているのだろうが、その後続く余所の悪口などを聞いていると、案外そんなもんかと思ったりもする。




何でもあるTV番組で、全国一いい人が多いのは、ここの県だとゆう結果が出た事もあるそうだ。



ふ~ん。




確かに自然は素晴らしい。


宣伝下手という点が幸いして、手付かずの自然が多く、食べ物も水も空気もメチャクチャ美味い。

空も海も青い。





でも… いい人が多いの?


だとしたら、余所はよほど腐った人間ばかりなのか?…と思ってしまう。




何を以て(いい人が多い)と言うのだろうか?




先日、県の北部に暮らしている人に、「盛○って昔と違って嫌な感じの人が多くなりましたね。狸ばっかですよ」とハッキリ言われた。



「えぇ。あなたは多分正しい。」







(いい人)と称されるいい人に私は逢った事がない。




(いい人)と言われている人ほど、猜疑心が湧いてくる。





だから私は自分もいい人と言われるのが嫌だ。




いい人ばかりだ‥と言われる、この土地の人間も嫌いだ。




何がいい人なもんか。





私はいい人なんかと言われたくない。





一生、ヤな奴で居続けたいとずっと思っている


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