現代人は 暖衣飽食と自由きままな生活の中で 煩悩に翻弄され 物欲中心の生活を 血眼になって追い求めている風潮があります
「価値」規範の喪失は 正しい心が眠ってしまい 悪いことをしているという意識が不明になる状態を仏法では「惰眠」と言いますが それが「煩悩」の所産であることさえ気がついていません
「道徳心」や「宗教心」という名の錨を 時代の荒波にもぎとられた現代人の心は どこに漂流しようとしているのでしょうか
伝教大師のお言葉「道心の中に衣食あり」という御教えが 現代ほど必要な時代はありません
さて 煩悩は 身体や心を悩ませ かき乱し 惑わせ 心を汚しますが この「煩悩即菩提」という聖句は 迷いがあってこそ悟りに到達するものであること
つまり 「煩悩」と「菩提」は相即不二という教えであります
しかし 煩悩から生じる欲望の芽を摘み取り 悟りを拓くことは 誰もが容易にできるものではありません
日常の信心の中でその教えを頂けるのは 人の持つ果てしのない煩悩を やさしく あたたかく 見守って下さる諸仏 特に観音さまであると私は信じています
その御心にそうためには 己の業を深く自覚し 仏祖に対する強い信心と絶えざる発心が 煩悩と菩提の相即不二の世界に導く道であることを強く銘記し 日々精進を重ねたいものです
[ 梶谷清隆師 比叡山時報より ]
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