しずくな日記

書きたいなあと思ったときにぽつぽつと、しずくのように書いてます。

安息日

2013-08-25 22:03:51 | 日記
夏休み最後の日は、思いがけず涼しかった。

朝から入ってたはずの予定が、
手帳にも書いてたのに自分の勘違いで今日ではなくて、
ポンと、予定のない空白の一日になった。
・・・ラッキー?
最近、こんな日が珍しい。

日曜日がお休みの日、という感覚が薄れてしまって久しい。
残っている仕事をしに行く日、という感覚だから、
今日のような「安息日」は、自分でも不思議だったけど、
そろそろ休む日は休まないとダメなんだな、ということも自覚できるようになってきた。



自転車がパンクしてしまってたので、近所の自転車屋さんに行くも、
なんと閉店してしまっていた。
あれれ、どうしよう・・・とネットに頼ると、
駅の反対側、少し行ったところにあることがわかった。
駅前は再開発で、最近どんどん様子が変わってきている。
一ヶ月ひと昔、ぐらいな勢いだ。


駅の反対側に、暮らしていたことがある。
おんなじ駅エリアで引っ越しをして、今、暮らしている場所にいる。
今の場所は住宅街だけど、
駅の反対側は昔は結構怪し気なところで、
客引きのお兄さんが夕方になるとうろうろしているようなところだった。
私は女性だから関係なかったけど。
安い、という理由だけでそこに暮らしていたのは、もう10年以上も前のことだ。

普段、用事がない場所だったのもあるけど、
なんとなく駅の反対側に行くことは避けていた。
20代の頃はそれなりに苦労した。
なんだかいろいろを思い出すからかもしれないな。

引っ越しの日、不動産屋のご夫婦が、
お餞別のように、近くの中華料理屋さんでお昼をごちそうしてくださった。
そこも相当怪しい不動産屋さんだったけど、
田舎から出てきて苦労していた私には、とても親切に接してくださった。



駅の反対側を、10年以上ぶりに歩いた。パンクした自転車を引き摺って。
なんだか、今のダメな自分を引き摺って「帰ってきた」みたいな気もした。

お世話になった不動産屋は今でも営業しているようだった。
物があふれて、怪しさが増していた。

昔はひしめくようにあった風俗店的な怪しいお店は、
再開発のせいか一掃されていた。わずかにスナックやカラオケ店が残っている。
代わりに綺麗な美容院や飲食店ができていた。道も広くなってた。
とはいえ、昔住んでたマンション付近はそんなに変わっていなかった。
商店街のような雰囲気も変わらず、個々の店はそれなりに営業を続けている。
住んでいたマンションを見上げる。
こんな小さな小さな部屋に、よく暮らしていたものだ。


七夕の前後に、商店街にはひらひらと道沿いに飾りが飾られる。
それが舞う夏の風景が、今も記憶に残っているけど、
それが夏の終わりの今、まだくっつけてあって、ちょっとうら寂しい感じがした。


自転車屋さんは、10年も20年もきっと変わってないんだろうなあという感じのお店だった。
わずか数分で、パンクを直してくれた。こういう街の商店はなくなってほしくないな。

それから明日からの忙しい毎日に備えて、伸びちゃった髪を切りにいくことにした。
夕飯の材料を買って、家に戻り、しばし眠った。
こんな日曜日もいいなと思った。それこそ、昔の自分に戻ったようだった。


それにしても涼しいのはいいけど、夏で、カッと暑くないのは少しさみしいもの。
夜になって、外では秋の虫さえもう鳴いている。

夏休みの間にしたかったことの7割くらいしか仕事ができていない。
夏に学校から離れていた時間は、教員になって今年が一番長かった。
友達とも母とも旅行に行けたし(同じ場所だけど・・・)。


でも良かった気がする。いろいろ考える時間ができたから。
明日からまた、洗濯機の中でぐるぐる回るような毎日なんだろうか。
10代、20代、30代の暮らしを考えてみると、でも今が一番いい。
今か、小学生の時のどちらか。
自由度が高いのがポイントだ。


昔のことを考えると、頭が痛くなる。いろいろ恥ずかしいのもあるし。
いつも、「こういう風になっていたい」とイメージし続けることは大事かもしれない。
一応、今は数年前になりたいと熱望していた職にはつけているから。
私はどうなっていたいんだろう、と、この夏はたくさん考えた。

このハードワークに心身ともに長年耐えられそうもないので、
教員を続けたいと思わないのは自分でも残念だけど、ガラス制作はしていたい。
でもそれじゃ、暮らしていけない。
実家じゃなくても、田舎にはいつか帰りたいかも、と最近は思う。
将来のイメージが、まだあやふやだ。
だからしばらく今のままなんだろう。


多くを望まなければ、好きなことをして生きていけるかもしれない、という淡い希望もある。
過去を振り返る時間があると、その先も考えてしまう。

今日は、そんな日だった。




























































夢の続きを

2013-08-23 22:19:15 | 日記
とっても暑かった昼間に比べたら、夕方はずいぶん涼しく感じられるようになってきた。

いろいろ大変だったこの5~8月の約4ヶ月間、
寝る時間も惜しんで勉強することになった。
実践報告書とプレゼン用原稿、こんなに頭を使ったのは久しぶりだった。
というか、今までが頭使わなさすぎたのかな。

とはいえ、追いつめられると固まってしまう自分を発見した。
発表2日前からはとある小学校を借り切って、
12名の発表者のリハーサルと発表原稿の修正が行われたけど、
もう疲れきってて、オブザーバーの先生から、
「ちょっと原稿から離れて、ぼーっとしてた方がいいから。煮詰まってるよ。」
と言われてしまうくらいだった。
もう、頭の中はグツグツ。煙が出てたかも。
先輩の美術科教諭の方々がいなかったら、完成しなかったのではないか、と思う。
優秀な先輩諸氏に大感謝。。。


上手に発表できたとは、とても言えない。
約40分間、実践報告をし、分析したことをしゃべらせていただいた。
でも、作ってきた原稿に頼りきりだった。もう緊張で頭が真っ白。
だって、自分よりもキャリアが長い先生たちが目の前で聞いているんだもん・・・。


この緊張するクセをなおしたいのだけど、オブザーバーの先生は、
「それも個性だから、別にいいのよ!!」と
励ましなのかあきらめなのかよくわからない発言。。。

なんだかんだ、滑舌の悪い私が、ヒヤヒヤしながら頑張ってしゃべった。
でも一番ヒヤヒヤしてたのは、私よりもオブザーバーの先生だったかも。


発表の骨子。
評価することで、子どもの力を伸ばせなかったら意味がない。
どうやって、適切に評価していくか、
段階別の手立てはどうしていったのかというところを強調しながら発表した。
聞いてくださった方々の心に、何か残るものであって欲しい。
他の先生の授業に役立てばいいけど。


というわけで、今は開放感に溢れている。
でもたぶん今だけ。
すぐに忙しい日々が始まっちゃう。



開放感ついでに、観たかったDVDを昨日観た。



「夢みるように眠りたい」(1986年)
    



モノクロ・無声映画(音楽や語り、効果音は時々入ってる)。
大正・昭和の日本文化が好きな人にはたまらないノスタルジックな雰囲気と、
幻想的であたたかなストーリーとで、
ラスト、うーん、ポロポロ泣いてしまった。静謐。
DVD、即買いしたけど19000円! 
高い。しかしそのくらいの価値はある映画だと思う。

佐野史郎さんの「ゆで卵もしゃもしゃ」も可愛くていい!

佐野さんはとっても綺麗な目をした探偵さん役。なぜかずっとゆで卵を食べてる。
繊細な役も変態さんな役も悪役もコミカルな役も妖怪役もなんのそのの佐野さん、
やっぱりこの人は懐が深い。


この役の時は30代前半だった佐野さんも、今は58歳。
実はうちの父とそんなに変わらない年齢だったりする。
素敵に歳を重ねているなあと感心するなあ。



というわけで、10月に松江で行われる朗読会に申し込みをしてみた。

佐野さんはライフワークとして小泉八雲の『怪談』をテーマにして自ら脚本を書いて、
朗読会をしているというのを、この前の島根の旅で知った。
抽選だから当たらないかもしれないけど、
もし当たったらお寺の境内で、佐野さん自作の脚本を、
佐野さん自身が目の前で朗読するのを聞けるという超豪華な企画。

っていうか10月に松江に行けるのか?!っていう大問題がまず残っているけど、
もし当たったら、是が非でも行くつもり。
そうなったら連絡票、速攻で終わらせてみせる!
昼から飛行機で行きまーす(笑)。


母と行けたらいいなーと思って、2人分申し込んでみた。
母が食道の精密検査でひっかかってしまったから、何もないということを願って。
そういう私も、白血球数が一気に昨年から800も下がり、
要注意・経過観察というなんとも悲しい検査結果に。


頑張って、頑張って、頑張った結果がこれですか・・。
得たものはこれですか・・・って嘆きたい・・。


そんな現実だし、
楽しみがないと、この暑い中で仕事頑張れそうにないから、
鼻先に素敵な人参をぶらさげてみたのでした。



映画の中で、
「夢の居場所を 教えてよ」と、ささやくようにヒロインが歌っているあのメロディーが頭から離れない。

人生も、いつも夢のように美しく幸せであって欲しいな。
欲しいのに。



*追記:DVDに、この映画の監督さんと佐野さんの対談が入っていたので聞いていると、
どうやらこの頃まだ、佐野さんは29歳だったそう。監督も20代だったらしいです。
また、最後に話題にしたヒロインによる歌の歌詞ですが、
普通の状態だと聞こえづらいのでヘッドフォンをつけて聞いてみたところ、
「夢をみましょう、夢の国」と言っているようでした。
聞き間違い、というか、映画の内容からイメージした聞き間違いでした・・・。
訂正しておきます(2013/8/25))



























自然と幻想 癒しの旅 その3

2013-08-17 14:00:48 | 日記
三日目。玉造温泉だけが予定。
これほどアクティブでない旅も、ある意味豪華だと思う・・・。

松江駅からバスで30分。暑い日だったので、昼間温泉郷を歩く人も少なかった。
玉造湯神社という、ものすごく古い神社へ行く。パワースポットだそうだ。
ここは本当にお社が古く美しく、神々しく、寒気がするくらいだった。
本当に寒気がした。あそこには良いかそうでないかわからないけど、
ものすごくパワーのある何かが確実にいる・・・・。

100円でお抹茶が飲める、地元の人が営む休憩所があり、
そこで煎茶とお漬け物までいただく。
その後、昭和で時が止まったようなお店でおそばを食べる。
メニューがやたら多い。大丈夫かなここ、と思ったけど、
ものすごく美味しい割子そばが出てきて、母が大喜びだった。
玉造温泉は約30年ぶりだった。幼い頃に記憶ではもっと華やいでいた気がしたけど、
ちょっと寂しかった。いろいろな意味で。
私の記憶が美化されていたのか、どうなのか。
しかし自然を満喫したい人や、ゆっくりと心を休ませたい人にはもってこいなのが玉造温泉だ。

とにかく自然と超常的な『何者かの力』を感じるのが「島根」(松江と出雲しか行ってないけど)だった。
一生懸命仕事をするのもすごく大切だけど、
夢を見る力がなくなってきているなと感じる今日この頃、
想像力を刺激する旅にとても心癒された。元々、ひどく夢想家だった自分を思い出した。


ちなみに旅から帰って佐野さん憑いてしまい(?)、
佐野さんの出演しているものをみてしまった。
この人の演技は、想像力を刺激する。大好きだ。
演技は怪しいというか相当妖しいけど、素は明るく謙虚な方のよう。

「インスマスを覆う影」と「乱歩」の一部分ををみる。
艶っぽい、という言葉は、男性なら佐野さんにこそ使いたい。
幻想的で、夢を見せてくれる稀有な俳優さんだと思う。


あと、松江から帰る際に電車内で読もうと「一個人」という雑誌の
古事記・日本書紀特集を購入。
これがまた豪華版で面白かった。
神話から歴史へ。神話の裏に隠されている事実。
幻想的であるけど、人間的でもある。


日本の魅力と、幻想への自分の渇望とに気付いた旅だった。
夢想家の自分を久しぶりに引っ張りだしてきたので、しばらくはぼんやりしてるかもしれない。
学生時代にハマっていた幻想文学をまた読もうかな。

もうすぐ仕事始まるけど!
夢想家の自分と、適度に仕事する自分を半々くらいで同居させることが、
もしかしたら心の状態としては一番いいのかもしれないなと思う。
うまく生きるのって、難しい(笑)。














自然と幻想 癒しの旅 その2

2013-08-17 13:29:29 | 日記
二日目。一畑電車でしんじ湖温泉駅から一路、出雲大社前まで。
約1時間、田園と宍道湖のほとりを走る、のんびりとした電車。


途中の川跡駅で乗り換えるのだけど、ここから人が一気に増えた。
300円で自転車ものせてよい電車なので(!)、自転車も車内に・・・。

JRに乗ってきた人と合流したらしかった。旅館の仲居さんが、
「今年1年は出雲のおかげで予約がいっぱいです。」とおっしゃっていた。
島根の地の人は、今年はあまりに出雲大社が混んでいるので行かないらしい。

出雲大社はつい最近(というか1週間前)に友達と行ったばかりだけど、
そのときは早朝だったせいか、ほんとに人がいなかった。
しかし今回は昼前だったこともありものすごい人! 
更に旅番組の収録もやっていて、モデルさんらしき美しい女性にテレビカメラが。
手にことりっぷを持った若者もたくさん。


母はコーヒーとぜんざい、私は抹茶かき氷で休憩してから出雲大社詣でへ。
木々の地肌が苔むしていて、どことなく神々しい。
日御碕や他の近場にも行けば良かったのかもしれないけど、とにかくもう暑かったし、
それに旅行に行く前、日御碕は夜を司る神様が祭られているという話がちょっと怖かったので、
足が向かなかった。そういう場所には自分は行かない方がいい気がして・・・・。
こちらの神様の伝説は本気っぽい(?)。
昔から私はそういう場所に行くと熱を出したり、変な夢を見たりする。
なんか連れて帰ってきたのかなーと毎回行ったことを後悔するのだ。
マイナスのエネルギーには、過敏に反応する(笑)。

そういう、「人の力が及ばない」ところというのは、でもとても魅力はある。
都会にずっといると、人間は傲慢になるのかもしれないからなあ。

また一畑電車に乗って松江に帰ってきた。帰りに神社の中を電車が通る現場をみた。
私、神社って、怖いけど大好き。澄んだ空気、人を寄せ付けない場所。
鳥居が入ったデザインのステンドシリーズを作っているくらいだ。


早く帰ってきたので、宍道湖周遊船「はくちょう号」に乗ることにした。
本当は最終便でサンセットクルーズが良かったけど、
そうすると個室に準備してくださっている夕ご飯の時間に間に合わないので、1つ前のクルーズに。
いかにも「船長」という、恰幅の良い、髭のおじさんが迎えてくださった。
淹れたての美味しいコーヒーを船内で飲みながらのクルージング。
宍道湖は湖だけども、意外にも波が高い。かなり揺れる。
嫁ケ島の哀しい伝説や、橋をかける際の「人柱」の話。
土着、という言葉が頭をよぎった。哀しいことも残酷なこともたくさんあったらしい。

文化がどこも似た色に塗り込められて行くような気がしているけど、
こんな時代にあって、その地にしかない伝説や風物などを大事にしている地は魅力的だ。
日本の文化の足下を見失わないように大事にしてほしいし、大事にしたい。
インターネットなどで世界が一つになっていこうとすればするほど、
その地域のアイデンティティーを見いだして行かないと、
どこもかしこも便利にはなっても魅力は削がれていく。
日本はまだまだ面白い「個性的な地」がたくさん残っているけど、
松江は『見せ方』がうまいと思う。
わが故郷、岡山もその心を学ばないとただの交通中継地点に成り下がってしまうぞ!

佐野史郎さんが小泉八雲さんの怪談をテーマにして朗読会などを年に1回、
松江で行っているということも聴いたので、ぜひ行ってみたい。


日が落ちて行く様子を船の中から見たのに、まだ夕日が見たいと思ったので、
レイクラインの最終便に乗ることにする。
最終便だけ、夕日がよく見える、ちょっと遠くまで走ってくれるのだ。
青とオレンジ色とその間の形容しがたい色を織り込みながら日が暮れて行った。
夕日にはいろんな表情がある。
今回の旅はなんて贅沢なんだろう。

夕飯は魚類中心の大変豪華なものだった。申し訳ない(笑)。
今回は、実家から2時間ちょっとの場所なのに旅費をかなりかけたけど、
こうなってくるともうプライスレスだ。




























自然と幻想 癒しの旅 その1

2013-08-17 12:46:17 | 日記
今年は島根との縁が深い年だ。
先日の友人との旅に引き続き、13日から15日まで母とも行ってきた。

60歳を越えた母との旅だから、あんまりたくさんの場所に行くというのではなくて、
のんびりと自然の中を歩く、ぐらいのゆったりとしたスケジュールを組んだ。
一日目は、朝から母がお弁当を作って遠足気分。
気持ちよいくらいの快晴、暑くなること必至だった。
特急やくもで岡山→松江。
松江から一日乗車券500円を購入して、
前回も大変お世話になった松江レイクラインに乗った。
一回の乗車で200円だから、いったい何回分乗っただろう、というくらい利用し倒した。

松江城周辺の観光名所を、巡ってくれるこのバス、
車内の椅子や壁が木造で、ゆったりしている。
そして私が乗ったレイクライン全てが女性の運転手さんだった。
だからというわけでもないのかもしれないけど、とにかくサービスがきめ細やかだった。
どこで降りれば一番行きたいところに近いのか、料金はどうするとお得なのかなど、
細々とした情報を車内アナウンスでくれる。とにかくとっても快適。

何台かに1台、座席に何かがついている『縁結びバス』と言う「当たりバス」があるらしいのだけど、
今回それには出会わなかった。ちなみ妹は数年前、友達と旅行に行って偶然乗れたらしく、
降車時に5円玉を使ったお守りをいただいたという。

そしてそのバスの大きな魅力その2は、佐野史郎さんの車内放送。
松江市出身の佐野史郎さんの、とっても爽やかな(!!)観光案内が聴ける。
元々、とても好きだった俳優さんなので聴きたくて何度も乗ったってこともある。
松江出身のいろんな方が観光産業に協力しているようで、
松江は愛されて大切に育てられ、魅力を増している街だ。


松江城のお堀を船で約50分ほどかけて巡る「堀川めぐり』にまた参加。
前回も乗ったけど、船頭さんの話を伺いながらのんびりと緑と水の青を見ながら進む。
これがほんとに気持ちいい。
気温は午前中とはいえ、35度を超えていたかもしれなかったけれど水辺は涼しく、心地良い風が吹く。

その後、松江城周辺を散策、おそばを食べ、小泉八雲記念館を見学。
小泉八雲=ラフカディオ・ハーンさんである。
あの『MUZINA』の、というか『怪談』の作者である。中学校の英語の巻末に載っていて、
その「ムジナー」の発音が気になって仕方なかったのでよく覚えている。(しょうもない覚え方・・・)

ラフカディオ・ハーンさんは元々、島根の英語教師として日本にやってきたという。
そうだったのかー同業者かー・・・とわけのわからない感慨にふける。
ハーンさんの暮らしていた日本家屋は『清廉』という言葉がとても似合う日本家屋だった。
ああいうところで、四季を感じながら暮らしたい、
そういう暮らしから自分が遠くなって、何かが削がれていってるかもしれないなと思った。


宍道湖は普通に美しいけれど、夕日がとりわけ美しい。
宍道湖のほとりの旅館に宿泊したのは、夕日をまたみたかったし、みせたかったから。
とはいえ、暑い中歩き回ったので、旅館に着く頃は結構疲れていてチェックインしてすぐに温泉に向かう。
16時過ぎだったので、まだ人がほとんどおらず。
お風呂から出てきても、日はまだ高かった。母は畳に横になって爆睡。
私は、部屋から見える夕景をぼんやりとみていた。
普通ならまだ職員室で働いている時間、夕日は毎日存在しているのだけど。
私はいろいろ損をしているのかな。


個室に通されていただいた夕飯があまりに豪華で・・・(笑)。
更に、母がうっかり、「娘が肉がダメなんですよー。」と仲居さんに話しちゃったものだから、
なんと!肉の代わりに松茸が出てきてびっくり。
次の日のご飯は全て肉なしメニューで作ってくださった。
アットホームで、何から何まで気を配っていただいて、
いくらこちらがお金を払っているとはいえ、なんだか申し訳ないような気がして、
食事時は食器や食べなかったものをできるだけまとめて持っていきやすくしたり、
チェックアウトするとき、部屋とかかなり片付けてみた(笑)。
おもてなしは、気配りと笑顔が大事だな。

人口が日本で2番目に少ないという島根。(ちなみに鳥取が1位)
そんな松江の魅力にハマってしまった一日目。















神様のいるところ 島根の旅 その3

2013-08-07 01:25:45 | 日記
起床は6:30とみんなで決めた。
朝ご飯は7:00。
8:01の八重垣神社ゆきバスに乗る。


こういう、私的な旅なのに妙に規律正しいところが教員だなと思う。
とはいえ、もう8月6日、帰る日だ。

奇しくも今日は広島の原爆投下の日。
私たちは、こんなにも平和を享受している。




八重垣神社といえば、縁結びが主。
一人が恋愛について今悩み中なので、行くべきだろう!

有名な鏡の池で、和紙にコインを乗せて、占いをやってみる。

面白いことに、100円で購入した和紙には、
神主さんによって前もって願い事が書かれているのだけど、
なぜか私のだけ、恋愛のではなかった。
念願達成の成就を占う紙だった。
順番に和紙をとったのにそうなるなんて・・・さては人を見てるな、神様!!
鏡の池には、たぶんイモリらしいやつがユーモラスな犬かきみたいな格好で泳いでいた。
パタパタ泳ぐその様が可愛らしかった。
私の紙は5分ほどで沈んだ。早く沈めば沈むほど、願いも早く叶うらしい。
自分の願いを心の中で再確認したけど、
とりあえず元気で仕事できて、
できれば自分の創作をする元気も残ってて欲しい、くらいのものだった。






で、確証を得たのはその後。確実に神様はいるな!!と思ったこと。



八重垣神社でもおみくじを引いたのだった。
もっといいのが出ないかなーと思って、軽い気持ちで。
ところが。

なんと、前日の出雲大社で出たおみくじと、書いてある内容がほぼ同じだったのだ。
こうなると、もう、ぞっとしてしまう。神様からのメッセージか。


・今年は苦労したわりには益が少ない。
・従って自暴自棄になりやすい。でもなるな。
・地道に今までの努力を続けること。
・それが今後の開運招福につながること。
・新しいことはとにかく控えて。
・病気は長引くので、油断せず養生しろ。


はい、わかりました!と言わざるを得ない。
友達もおみくじを引いているので、
内容は多岐にわたるはずであることはわかる、それなのに。
これじゃあ、まるで警告じゃないか!



自慢じゃないけど私はおみくじのくじ運は良いほうだ。
おみくじは毎年引くのだけど、『凶』は引いたことがない。
しかし今年はダメみたいだ。
「凶」ではないけど、小吉だった。ぎりぎりだ。

たしかにダメだ、療休とったし。



神様は、バカな人間のことを空の高いところから本当に見ているのかもしれない。
そして、藁をも掴む気持ちで祈っている気の毒な人間には、
そっと、何かアドバイスをくれるのかもしれない。

私にとっては、
それは『身体に気をつけて、地道な努力を続けよ。』というものだった。
ごく当たり前のことかもしれないのだけど、
言われないと意識できないのかもしれない。おバカな人間ゆえに。



その後、いったん松江駅まで戻ってから、
ぐるっと松江レイクラインという観光バスに乗って松江城まで。
このバスがすごい。音声案内が佐野史郎さん(松江出身)なのだ!!!
妙に爽やかな声の佐野史郎さんでびっくりしたー・・・イメージが・・・。

で、松江城の内堀を船で巡る『ぐるっと松江 堀川めぐり』に参加。
45分間、船頭さんの解説とともにお堀をめぐった。
これが気持ちいい!! 心が穏やかになる。
アオサギという首と脚の長い鳥がたくさんじーっとしている。
カモの親子ものんびり泳いでいて、
流れの中にぽっこり浮かんだ岩には、
甲羅干しのために、亀があがってやっぱりじっとしていた。
亀の上に子亀、の実物を初めて見た!!


本当に生き物たちがのびのびと暮らしていた。
その横を私たちが、
「ちょっとすいませんね^^」と船で通っていく感じ。

その後、松江城近くを散策しながら買い物。
私は作家さんものの、なんとも美しい緑青色の釉薬がかかったカップを購入。
家用と職場用。

そこで正午。もっともっとゆっくりしていたかったけど、
特急やくものチケットは14:59出発だった。それでも新横浜着は21時近くになるのだ。
松江駅で、とろろごはんを食べて和菓子をお土産にして、
コーヒーショップでくつろいでいたらもう出発時間。
電車の中では、次の旅の話題になった。
十和田湖か、再び奈良、または長崎。

このクラブ?、まだまだ旅は続きそうだ。



行きたいところはまだまだたくさんあった。
今回はあまりに時間がなかったので、次の一週間後の母との島根旅で、
乗れなかった一畑電車や、行けなかったところにも行ってみたいと思う。


しかしながら、祈る人間を憐れむ存在って、いるのかもしれないと思う。
それは本当に『神様』みたいな上位の存在なのかもしれないし、
私たちの無意識の中にある『上位』の意識なのかもしれない。
でもとにかく、何かに向かって一心に思うこと、願うことは大事なのかもしれない。

今日の広島平和式典のような祈りに満ちたものは、
常に迷いながら生きている私たちにはきっと必要なのだと思う。











神様のいるところ 島根の旅 その2

2013-08-07 00:37:11 | 日記
JR出雲市駅から松江までは約1時間。
ゆったり走る電車から緑色と青色だけが広がる風景を見ながら、いろんなことを考えていた。
出雲でお風呂に入って、それぞれ少し眠くなってしまったのもあるだろう、会話が途切れた。



私は小学生のときに島根に行ったきり、実はうん十年ぶり。
小学校低学年のとき、曾祖父・曾祖母・祖父・祖母・父母・妹・私、
それとまだ親戚の人がいたと思うけど、総勢11名くらいで玉造温泉に宿泊した。

いろんなことの記憶があいまいな私だけど、そのときの玉造の風景が世にも美しいものだった。

今回の旅では、玉造には行けなかったのだけど(第二弾の来週の島根旅では行く予定!)、
島根は緑が美しい。いろんな緑色が重なって、
ただの林でさえもその色彩の複雑さで見てて飽きない。
一枚の日本画を見ているようだった。

一番感動したのが、東横インに荷物を置いた後、17時から松江の街を横切って宍道湖に行き、
島根県立美術館から夕日をみたとき。
今回、ここが一番の感動スポットだった。

島根県立美術館は宍道湖に向かう側がガラス張りになっており、
美術館で絵を見ない人たちにもそのスペースが開放されている。
ゆったりと椅子に座って何にも遮られることなく夕日を眺めることができる。
歩いているとき、少し曇っているなとは思っていたけど、
18時頃からいきなり雨が降った。
美術館付近で夕日を見ていた人たちは30人くらいはいただろうか、みな美術館へ雨宿り。

これじゃあもう夕日が無理か・・・。日の入りは19:03。
がっかりしながらも椅子に座ってぼんやりと西の方を見ていたら、
いきなり晴れてきた。雨降りが突然なら、やむのも突然だった。
18:30過ぎ。
そこからは、私が今までみたことのない『天体ショー』だった。

雲間からオレンジ色の、今まで見たことがないような大きさの太陽が顔を出した。
太陽って、こんなに大きく見えるの??? 
見た目サイズは直径2・5センチくらいはあったのではないか。
それがゆっくり、ゆっくりと落ちて行く。
そして落ちて行くと同じスピードで、色が赤く濃くなっていく。
日が落ちる直前。
あんなに赤い太陽は初めて見た。
落ちるときは速い。ストーンと落ちて行った。
30分ほど、惚けたように空を見ていた。それは私だけでなく、
周囲にいた人、みんなそうだった。
美術館のガラス張りのホールはいつの間にか電気が消され、
代わりに、地元の子どもたちが作ったらしい灯籠に、
美術館のスタッフさんたちが灯を入れていた。

ぼんやりとまだ日の余韻が残って明るい西の空と湖の風景に、
灯籠が浮かび上がる。夢のような風景だなと思った。


我に返ると、お腹も空いているし、のども乾いていた。
夕飯は、絶対に海の幸にしよう!って3人で決めていた。
神奈川ではほとんど食べていない。正確には、もう食べることができない。


『荒木屋』という海鮮のお店へ。
のどぐろという魚が美味しい、岩ガキの塩辛もいいと聞き、
それらや、お魚のカルパッチョやらいろいろ注文して、
積もる話もあるので、ゆっくりと食べた。私はお酒は控えて。

ふたりともそれぞれ学校のことやもっとプライベートなことまで、
様々な悩みや話したいことがある。
私は主に自分の体調面だけど、
2人は若いだけあって(私より6歳ほど若い)、恋愛話に華が咲いた。
聞いていて笑える話ばかりで、
結局まだまだ仕事中毒な美術科教諭集団だった。。。


旅の空の下、気持ちも開放的になっているから、
長々と話してしまった。とはいえ、閉店の21時に合わせてお会計をして、
最後はしじみ汁。美味しかった・・・。

バスで帰るまでもなく、夜は涼しかったので歩いてホテルまで。
1人一部屋だったのだけど、
一人の部屋に集まって、しばらくは次の日の作戦会議&おしゃべり。
これが楽しいんだよね!! 修学旅行でも!!完全に生徒の気持ちだ。



自分の部屋にかえって、荷物の整理をしたりお風呂にもう一度入ったりしていたら、
零時を回っていた。00:30就寝。
何か夢を見た気がするのだけど、覚えていない。歩き疲れて、ぐっすり。



寝る前に、朝に引いたおみくじの内容が頭をよぎった。

うーん。やっぱり今年は無理しすぎたのかなあ。。。。「労多くして益少なし』か・・。
『自暴自棄』、もう辞めようかなと思ったから。

おみくじって、自分の無意識が内容を引き寄せてんだろうなあと思いながらも、
それでも神様っているのかなあと思わずにいられない。

なので、神様にお祈りするときには、昔、祖母に言われたとおり、
決められた礼(島根では、二礼、右手を下にずらして4回柏手をうつ、一礼)を尽くすだけでなく、
住所から名前を全部神様に告げとく、というのを未だやってしまう。
さすがに声には出せないので、心の中で。

でも、神様っているのかも。それは・・・・。





















神様がいるところ 島根の旅 その1

2013-08-06 23:50:35 | 日記
島根の旅を満喫して帰宅。
洗濯機を回しながら、旅の思い出はいつも通り、書いておこうと思う。



8月4日の20時出発のスサノオ2号に、渋谷マークシティー(5F!)から乗車して出発。
5Fにバス来るの?!と、おっかなびっくりだった。当然来てた。

車内1泊、ホテル1泊の旅。
4日は朝から16時くらいまで美術講座で粘土や石膏と格闘していたのでヘトヘト。

夜行バスは、大学時代に一度、関東へ行くために乗ったときに嫌な思い出があった。
朝6時頃に東京駅に着いたはいいけど、
気分が悪くなるし東京があまりわからないしで不安いっぱい、大変だったので、
今回も気分が悪くなったらどうしようという心配はあった。

足を延ばすところが狭いといえば狭いのだけど友達と一緒だったということで、
おしゃべりしたり、友達の家で採れたプチトマトをもらって食べたりしていたら、
21:35には消灯で真っ暗になってしまったし、
窓のカーテンも目張りされてるかのようにばっちり閉めてあった。
外の景色を見ることもなく2時間おきになんとなく目覚めたりしながらも、
翌朝5時に寄る蒜山高原パーキングエリアまでしっかりと眠ることができたから良かった。
夜行バスへの恐怖心?も、今回の旅で払拭できた。

7時40分には出雲大社へ到着。一日目の最初は出雲から。
人はほとんどおらず、近所の人が散歩している程度。
神社へ行くといつもおみくじを引くのだけど、そこでそのおみくじの内容が・・・。
『今年は労多くして益少なし。しかし自暴自棄になることなく、
今まで通り地道に努力を続けていくべし。新しいことはしないように。』
という感じの内容だった。
そのときはほー、と思っただけだったけど・・・。

朝なので、まだそこまで暑くもないので、
参拝を済ませた後、稲佐の浜まで歩いて行ってみることにした。

どのガイドブックを見ても、稲佐の浜については一押しで紹介してある。
古事記の国譲り神話の舞台でもあるこの場所、写真ではとても美しいところだったので、
ものすごく期待して行ったのだけど・・・・。
想像を絶するほどの量の木片やプラスチックのかけらのような「ゴミ」が浜辺に散乱していたのだった。
あまりの写真との差に、3人とも絶句した。

もう一度写真をよく見てみると、
どのガイドブックも(今回全員で4冊持っていた)、満潮のときに撮ったものらしく、
浜辺が見えていない。岩周辺に水がきている。
実際に見たときは、干潮の時間のようだった。けど・・・。


あとで寄った店の方に聞いてみたところ、
それらはつい最近、嵐があって、流れ着いてきたゴミらしい。
嵐の度にゴミが大量に流れ着くらしく、掃除が追いつかないという。

しかしながら、相当ショックな光景だった。
島根に行くことがあったら、ぜひ行ってみてほしい。
日本海は美しいというイメージが覆された瞬間だった。

ショックを受けつつも、日本海の沿岸を沿ってしばらく歩いてみた。
そしてなんとそのまま、あとでわかったのだけど10キロほど歩いてしまったのだ。
大回りして出雲市役所付近まで来たときはもうヘトヘトで、
コンビニでガリガリくんを買って食べる始末。
それでやっと正気を取り戻して、吉兆館という道の駅的な施設でしばらく涼む。
どうして毎回こんなに歩くんだろう・・・・。

気を取り直して、次は旧国鉄の大社駅を見学しに行く。
もう使われていない駅は、純日本風の木造瓦屋根の風情ある建物。
和風の灯籠型シャンデリアがあったり、SLが展示してあったりした。
趣のある美しい駅で、細かなところまで気を配ってある意匠がすてきだった。
面白かったのは、昔使われていた道具類に混じって、どうやらその駅で発行されたらしい、
特別な旅券のようなものが展示してあったのだけど、
そこに『八つ墓村ツアー』というのがあったこと。挿絵もおどろおどろしい。
モデルはあったものの架空の物語なのにツアーが存在するなんて・・・。
お化け屋敷的なツアーだったのか。
神門通りをそぞろ歩きしていると、とても和風建築なのだけど、
『ANTWORKS GALLERY』という木や金属などのアクセサリー、器や雑貨などがセンスよく
レイアウトしてあるお店に出会い、これまたセンスの良い女性の店主と、
商品というより地元作家さんの作品を見ながら、
おいしいおそば屋さんを教えてもらったりした。
私はここで、ガラス作品と、木のキーホルダーを購入。
きれいなものやセンスのいいものを見ると心地よい。

そこからやっと! 念願のお昼ご飯で、
先ほどの店で勧めてもらった有名なおそば屋さんである「荒木屋」へ。
12時前だったので、並ばずに食べることができた。
割子そば、歩いたせいもあっただろうけど、
ここ数年間で一番おいしかった食べ物だったかも!!
そばの実アイスが心と身体に沁みた。

出雲大社の近くからは一畑電車という電車が出ているけれど、
今回、私たちは宿泊する松江に行くには、
JR出雲市駅から行くのが良いので、バスで出雲市駅へ。20分ほどで到着。

出雲市駅から徒歩ですくの『ランプの湯』という日帰り温泉に入る。
14時すぎなので、まだまだ貸し切り状態!
のんびりゆったりとくつろいだあと、松江へ向かった。

朝も早かったし、今回は全て行動時間が普通より早め早めだったので、
混むことがなかった。
早め早めが、何事も大事。
それにしても、出発のときの都会感と、島根の自然の壮大さのギャップには
同じ日本とは思えない何かがあるな・・・。

つづく。