拝啓 大阪市長 橋下 徹 様
私が大阪で東京に誇れるものが、
「太陽の塔」と「梅田スカイビル」とあと考えてみても、
東京には同じレベルかもっとそれ以上のものがたくさんあり、大阪には他にありません。
ただ、唯一素晴らしいもの、それが「帆船 あこがれ」です。
その第一の「帆船あこがれ」が橋下市長の「基礎自治体がやるべき事業ではない」と見直しを指示され、11月の朝日新聞に「今年中で帆船あこがれ廃止へ」と言う記事がでていました。
是非とも、何とか残して欲しいのです。自治体が帆船を持つなど、世界でもごくまれなことです。そんな提案、発想すらよくこの大阪でできたものだと感動すらします。
大阪の財政の厳しさは良く理解しております。伝統の文楽さえ色々厳しい見直しがされている現状で、まさにこんな帆船が必要かと思われるのは良くわかります。
私は国として何が一番大切かと問われれば、間違いなく教育だと答えます。あらゆるものが人によって作られるものです。国の政治力、経済力、品格など全てすぐれた人材を育てることが出来れば発展します。未来を作れます。人材は国の一番の財産です。
橋下市長も同じく一番大切な事は教育だと思っておられると私は思います。
そして、詰め込みの創造力のない勉強だけの青白い子供ではなく、心も身体もつよい子供になる教育が理想だと思います。橋下市長もラグビーをされていたと聞きます。
この「あこがれ」に乗船するということは何よりも厳しい海と言う大自然と向き合い、知恵と勇気と行動力が求められます。帆船は一人では動かすことができないのです。クルーすべての力がないと動かせないのです。
高いマストの上での操帆作業、舵の操作、計器を使って船の位置を求めたり、甲板の清掃から全員の食事の用意。甘えは許されず、力を合わせる大切さ、弱いものを助けなければ一つのことを達成できないということなど、本当にたくさんのことを学べる場なのです。
世界中にもこんな立派な帆船を持っている自治体はほとんどありません。
だからこそ価値があり、とっても誇りであり、大阪人には何より必要なものではないでしょうか。財政の厳しい大阪には贅沢なものかもしれません。しかし、厳しい、貧しい中に誇りの持てるものがあるのは大切なことではないでしょうか。
大阪市が14億円かけて造った世界にも数台しかない大型帆船なのです。
今後、大阪の経済が大きく復興しても、おそらく二度と持てないものだと思います。持つ発想すら出てこないでしょう。
手放せば、また一極集中の首都圏の横浜あたりが、港横浜のシンボルに安くとられてしまうのが落ちではないのですか。
大阪の人間ならみんなが小さい頃には「あこがれ」に乗ったことがある、なんて伝説が出来たらどんなにいいでしょう。
ユーモアのあるのが関西人。あのノーベル賞の山中教授も関西人だからユーモアがあると、好感をもって評価されています。
今度は大阪人だから、海の男の勇気と行動力を持っていると言われるノーベル賞受賞者が出るかもしれません。
夢と誇りのある「帆船 あこがれ」を、是非今まで通り、今まで以上に大阪のシンボルとして生かしてくれませんか。
お願いします。絶対、手放さないでください。
民間ではなく自治体の大阪市が持っていることこそが素晴らしいことではないですか。
平成24年12月20日
桃 旗