木工挽物という仕事

基本的には時代遅れの仕事
正反対の位置にいるブログから発信してみます
でもブログも先端じゃなくなりましたね

匂いと臭い

2011-07-29 21:35:25 | Weblog
前にここで話したかな? と思うと右上の検索窓にキーワードを入れて「このブログ内で」にしてクリックしてみる
あれ?楠の話ってしてなかったっけ
ちょっと前に白檀の仏像の台の製作話をした
それよりもうちょっとポピュラーな木で楠(くすのき)ってのがある
確か名古屋市の木にもなってるんじゃないかな
これも強烈なにおいを発する
一応香木とされてるからいい匂いだと思う

先月 この木を持ってきて大きな仏像の台を作ってくれという依頼があった
と言っても直径43cmくらいのものだが
しかも一週間くらいで何とかならないかという話
うちでは時間的に無理だったんで同業者の先輩に頼んでみました
一週間で何とかできるという話だったから

持って行って3日くらいたってから電話が鳴った
「真ん中の芯だけ加工したんだけど、あかんわ 近所の人に臭いと言われた
 加工続けられん」
先輩は長いことこの仕事をしてるけど昨年家が立退きになり新しい場所に変わったばかり
近所の人の意見を聞かざるを得ない立場だと言う
今までのところだったら何の文句を言わせなかったんだけどな と
実際仕事場を見ていい匂いだねという人もいたのだけれど
一人でも「臭い」と感じたらもう終わりなんでしょう
翌日半分以下加工済みの材料を持って現れた先輩の嘆き節につきあったわけです

人の感覚というものはそれぞれ違う
同じものを美しいと感じたり 人によっては醜く見えたりもする
昔の人は少しばかり我慢強かったからすぐにクレームをつけることはしなかったけど
今はその点迅速で呆れてしまうほどです
ただ実際に臭いと感じる人がいるのもまた現実なんで仕方ないことなんだね

今日も集金に行った相手の木工所の社長が
「廃材燃やすと途端にクレームの電話がかかってくる
 もう仕事出来んかもしれん」
と超弱気なお言葉
確かにクレームをもらうと一気に気持ちが沈む
僕たちも廃材の処理にはほんとに悩んだからね
こっちのクレームは楠クレームより納得せざるを得ないものだけど
それに対処できる資本があればいいけどそんなにもうかってるはずもなく
設備にお金をかけられない
また昔からの仕事が一つ減ってゆく ってとこかな
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