スリランカ
ほぼ正午スリランカ、コロンボ空港に到着。シャトルバスでターミナルビルヘ。
このツアーにはスリランカの半日観光が付いていた。
日本への便まで十一時間。その為の配慮だろう。だがたぶん土産物屋巡りだろう。
いったん入国?することになるのだが・・・・・トランジットの手続きを先に済ませるのか、それとも再出国してからそれをするのか?
旅程表にはそこのところが詳しく書かれていない。
四人で協議。まずトランジットカウンターを訪れることにした。
入国審査ゲートの脇の階段を上って二階へ。
E君とY子がトランジットカウンターへ。私とM美は荷物番。
「時間が早すぎるのであらためて来い」とのこと。
それでは入国しようと階段へ。ガードマンが通せんぼ。指示された方へ行くと出国ゲート。
途中のエレベーターは?。よく分からない場所へ出た。
「やはりあの階段を降りるしかないようだ」四人でゾロゾロと階段へ。拙い英語力で押し問答。やっと階下へ。
無事に入国審査を終えて次は税関。
E君が個室に向かった.。私はオープンチェックで時間が掛かるので先に通過することに。すんなりOK。
旅行者の現地係員らしき男(もちろん日本人ではない)が大勢いた。
「アイランド バケーション(ツアー会社)?」その中の一人が訊いてきた。
「イェース」
・・・三人がなかなかやって来ない。
税関の入り口までは十メートルも離れていない。が、全くなかの様子が視えない。
カメラバッグの上に立ち上がった。ブラインドの上から覗き込んだ。やはり見えない。
「あっーびっくりした。凄く背の高い人かと思った。日本人旅行者がのけぞった。
スリランカ人の空港職員(かなりの長身)も同じようなリアクション。
カウンターに入って仲間に「自分よりデカイ奴かと思った」と言っている。
(言葉は分からなかったが表情とジェスチャーでほぼ話の内容は想像できた)
私の方に向かって何か喚いた。どうやら「カウンターの上に登って覗いてみろ」と言っているようだ。
だが、カウンターの位置からは高さが充分でも陰になって中は見えない。
・・・・・・
漸く三人が顔を見せた。
「トイレに行ったのだと思ってずっと待っていたのに」
「オープンチェックで時間を取られるから先に行くって言っただろう」
ツアーの全員が揃ったようである。現地係員の後についてバスに乗り込んだ。
すぐに発車。スリランカは日本と同じ左側通行。運転席も右側にある。独立前は英国領だったからその名残樹だろう。
この係員はガイドも務めた。なかなか日本語が達者である。
ガイドによるとスリランカで有名なものは紅茶と「コノー木 ナンノ木 気ニナル木」と歌われた日立の樹だそうだ。
(CMの木はモンキーポッド ハワイで撮影)
肉は鶏肉が最高級で牛肉は並のようです。宗教上の理由で豚肉は駄目とかいろいろあるらしいですが。
その他には何を言ったのか記憶に残っていない。
ほぼ一時間が過ぎてバスが停車した。小さな寺院の前だった。
「ココヲ ケンガク シマス ジカンハ ダイタイ ジュウゴフンクライデス シャシンハ トッテモ ダイジョウブ デス」
カメラバッグを持ってバスを降りた。しかし撮りたくなるようなものは何もなかった。
※見出し画像はこの寺院の天井 三脚・補助光無しでの撮影。
国立博物館
次はスリランカの国立博物館である。撮影は出来ないとのことでカメラバッグは車内に置いて入館した。
スリランカの歴史・伝統・文化を展示してあるのだが興味を惹かれるものはそうありはしない。
唯一楽しめたのは仮面のコレクションだった。
多少なりとも自分の趣味が満たされた所為かもしれないがこれは見応えがあった。
館内には個室は無かった。ガイドに尋ねると「建物 ノ 裏ニ アル」と言う。
徒歩数分。「このー木、何の木・・・」の木陰を通り、朽ちかけた高射砲の傍にそれらしきところが。
ここを利用するときはそれなりの覚悟が必要である。特にご婦人方は・・・。
鯨の骨格標本があった。『blue whale』とあった。青鯨? 帰国後、シロナガスクジラだと分かった。
海の中で視ると青く見えるのかもしれません。
※クロカワカジキの英名は Blue marlin"(ブルーマーリン)です。
博物館の出口には物売りの老人がたむろしていた。
木の実と貝殻で作った粗末なネックレスが商品だった。
「ニシャクエン ニシャクエン」数本のネックレスと掌の中の百円玉を二枚見せながら叫んでいる。
知人の子供達(三歳から五歳・五六人)への土産には適当かもしれないと思った。
一束を受け取ると老人は『イイ カモ』と思ったのだろう。すかさずもう少々手の込んだ一見豪華そうな一連を加えて「シェンエン シェンエン」と叫んだ。
「じゃあ 要らない」 もう一連増えた。
Y子が不機嫌そうな顔をして睨んでいる。
「やめてヨ。そんな物どうするのヨ」
「エッ!?」
「・・・・・・」
「お土産に安上がりでいいかもしれないと思ってね」
「✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖!!!!!!!!」
老人はY子に「商売の邪魔をするな」とでも叫んだのだろう。語気を荒げてバスの方へ押しやった。
財布を覗くと千円札が無かった。
「細かいのが無いからいいや」手にしたネックレスの束を老人に返そうとした。
老人は受け取ろうとせずにさらにその数を増やした。この調子だと限りなく増えて行きそうである。
適当なところで手をうって十ドル札を渡した。
※購入したいくつかのうち、もっとも凝った造りのひとつ。日本で購入したらそれこそ千円はしそう。
バスに乗り込むと不機嫌な顔のY子が待っていた。
「何を怒ってる?」
「そんなもの買って!」
「いいだろう別に、どうして俺がお前にそんな風に言われなければならない」
実はY子は他の女性への土産に私が購入したものと想い不機嫌になった。
『たしかに、あげるのは女性だが幼児だ』
「ねえ、ぽーさん見せて」とM美。
次にバスは大きな土産物屋の前に留まった。
紅茶と民芸品と宝石の店である。
大きな像の置物。像使いが乗っている。ちょっと手が触れた。像使いが音を立てて床に落ちた。
無理矢理ふっかけられて売りつけられるかと思ったがそれは無かった。
紅茶は確かに安い(日本での価格と比べてだが)ようだ
※この紅茶はけっこう高かった。紙袋入りの安価なものもあった。E君は職場用にと、それをそこそこの数を購入。
皆、目の色を変えて買い込んでいる。大きな袋をいくつも抱えているのはたぶん新婚さんだろう。(バスの中には数組のそれがいた)
宝石は私にはよく分からないが「そう良い物は置いて無い」とM&Y。
土産物に高級な宝石があるはずがない。すぐに飽きてバスで待機。しかし数組はいつになっても戻ってこない。
「置いて先に行こうぜ」と誰かの声。もしかしたら私だったかもしれない。ジョークですが。
「絶対にカレーだよ」とバスに乗り込む前からY子は断言していた。
その期待に反して夕食は中華料理だった。
たしかに「スリランカまで来て中華料理でも無いだろう」と思ったのはけっして一人や二人ではないはずだ。
だがこんなことは何処にでもある。日本でも山奥の旅館でカツオの刺身を出されたことがある。
海の傍に住む私にとっては鮎とか岩魚の塩焼きの方が嬉しいのだが、そこの旅館ではカツオを出すことが最高に近いもてなしだったのだろう。
と、好意に解釈したのだが・・・はっきり言って大したものは出なかった。
まず強制的にドリンクをオーダーさせられた。
そして量も「エッ!。もうこれで終わり?」と誰かが声をあげた。
・・・パッケージツアーのおまけのようなものであるから期待すべきではありませんね。
中華レストランを出ると外は雨だった。
記念写真を撮ろうとしているのは新婚さん。
「シャッターを押して頂けます?」私がカメラバッグを持ち歩いていたからだろうが・・・・
レンズ付きフィルムを渡されても張り切れない。
コロンボ空港
まずはお決まりの手荷物チェックである。カメラバッグはやはりオープンチェック。
台の上にバッグを乗せて蓋を開いた。カメラはちらっと視てOK。
粗悪なネックレス。検査官は一瞥しただけである。『しょうもない物を』とそんな表情。少々気恥しかった。
次は問題のバッグの蓋だ。このアルミバッグは蓋にも収納部分がある。
ケース入りの折り畳みミニ三脚。やはり注目度は一番だ。
いつものようにケースから取り出す。使用状態にセット。
「ジス イズ トライポッド フォー キャメラ」へたな英語で言った。
「オー キャメラスタンド」
※当ブログに何回か登場しているミニ三脚。黒いケースがあったがその後面倒になり入れるのをやめた。たぶん何処かにあるはずだが。
赤ラインがケースの形状。
普通はこれで通過できるのだが今回は少々違った。
検査官はそれを高く掲げて他の検査官に何か喚いていた。
大部分の検査官が注目。私の三脚は畳まれて彼の腰へ。ホルスターから抜く真似をして西部劇?。
検査官仲間が大声で笑っている。
これで終わったかと思ったら彼はケースに収納した。それを持って席を離れた。
「まさか! 没収!」
X線検査機に流れ込んで行くバッグの上に乗せた。私も興味があったのでモニターを覗き込む。
白く写し出されたそのシルエットは間違っても拳銃には見えない。
検査官が戻って来た。私にミニ三脚を渡しながら「ア ユー キャメラマン?」
「イエース アイム フォトグラファー モスト フェーマス イン ジャパン」少々見栄をはって答えた。
第一ゲートを通過。トランジットカウンターへと向かう。
その前に第二関門。ここでもオープンチェック。
スリランカ人は私以上にジョークが好きなようだ。・・・・・・無事通過。
航空券をボーディングパスに換えて入場。
出発までにはまだ二時間以上もある。免税店を覗いて時間を潰すことにした。
一押しは錫製品であった。けっこう高かった。不要なのでスルー。
「カレーがあるぞ。どうする本場の味を賞味するか?」
M&Yがすぐにのって来た。レストランに入った。
「カレー?」
肯いた。メニューにはチキンとビーフとあったがビーフのみしかなかった。やはり値段が同じなら高級な・チキンの方が先に売れるようだ。
ここは前金制だった。カレー二つにミネラルウォーターで十三ドル五十セント。
十ドル札と五ドル札を出したら一ドルとキットカットチョコレートが返って来た。
スリランカでは硬貨は用いられすチョコレートが通貨となっているようだ。
そうば言えば何処かの国のゴルフ場でも金の単位がチョコレートだと聞いた憶えがある。
目の前にプラスチックのトレーが置かれた。その上には小さなカップにデザートのフルーツ。
皿の上にはサフランライス。その上にはカレールウ。
「エッ、これだけ?」飯の上のルウはほんの僅か。スプーン一杯程度。
思いは他も同様だった。顔を見合わせた。
・・・・・・・
奥からウェイターがカップに盛られたカレーを持って来た。どうやら暖めていたらしい。
席について早速賞味と行きたいところだがまずは撮影。当時はインスタグラムは無かったが。
トレーの上にチョコレートも並べた。スピードフラッシュの調子が悪く多少手間取った。今回の撮影はこれで終わりだろう。
カップのカレー全部をライスの上にあけた。
「エッー!」時ならぬ女二人の声。
「なに?」
「すっごーく辛いわよ、とても食べられないよ」
「大丈夫、私は辛口が好みだから」
「でも、本当に辛いわよ」
一口味わった。確かに辛口ではある。だが何処かの漢方薬のような『激辛カレー』ほどのことはない。程よい旨味もある。
「よく食べられるわね」そういう二人の皿は持て余したようにまだだいぶ残っている。
「確かに辛いけど、でもまだまだだな。過去最高に辛かったのはいきなり髪の毛根にズンと来たよ」・・・全てをたいらげた。
トライスターがコロンボを飛び立った。
機内はすぐに暗くなった。
十一時間後は成田である。
つぎは、この前に行ったパラオ編の予定ですが・・・。