午前六時
院内に明かりが灯された。
漸く長い夜が明けた。
看護師による血圧、体温、その他のチェック。
「おなら出ましたか？」
「転失気ですか...」と言いそうになったが
「古典落語は知らないだろうな」と思いその言葉を呑み込んだ。
「まだです」
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看護師が昼の部と交代。多少年齢が上った。
担当医の回診。
「痛みますか？」
「特に耐え切れないと言うほどは...」
術跡をチェック
「問題は無いですね」
「起き上がって宜しいですか？。寝たきりだと腰が痛くて」
「いいですよ」
転倒防止のベッド柵を左手で掴み体をよじるようにして起き上がった。
腹筋に力が入ったために傷跡が少々痛んだ。
「あっ！」看護師がびっくりしたように 叫んだ。
？！何か、まずいことをしたか？？？
「 えっ？？？」
「こんな人初めて見た」
「はっ？..........？？？」
「術後すぐに、自力で起き上がった人は今までおりません。」
そうだった。ベッドは電動で高低、頭部、脚部の角度が変えられたのだ。
忘れていた。
声には出さなかったが「ハードボイルド小説では珍しく無いのだが」と阿呆な思いが脳裏を過ぎった。
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男性看護師に付き添われ、尿道カテーテルと点滴を引き連れて洗面所まで歩行
体調は悪くない。
その後、部屋移動。本来の病室に戻った。
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昼食。三日ぶりだ。
全粥食 おかゆ
おかゆ・クリームコロッケ煮、ほうれん草人参煮・オクラとカリフラワーの甘酢煮・かき卵汁・梅びしお
完食
