巻頭写真 『ボーフォー大修道院』(パンポル)
荒海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れよう
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前回に続いて西へ進む
逆三角形大きく切れ込んだ『サン・ブルウック湾』に沿って西へ
逆三角形の下の角に『Saint-Brieuc サン・ブリウック』という町がある
ここは都会
バスターミナルの工事現場もあれば
ブルターニュらしい
黒々として重そうな大聖堂もある
『Cathédrale Saint-Etienne 聖エティエンヌ大聖堂』
しかし
やはり海の前なので
湾の先端が両岸からかなり低く町の中心近くまで切れ込んでいて
そこを港に使い
わざわざ低い位置まで降りてこない国道が高架橋で上を横切っている
『Port de Légué レゲ地区ボート・ハーバー』
そして当然ビーチもあるし
「サン・ブリウック」を出て北西に進むと
『Saint-Quay-Portrieux サン・ケ・ポーリユー』という町
例によって
港と海岸とと別荘と
『Ile de la Comtesse 伯爵夫人島』
この優雅な名前の瀟洒な島が
干潮では陸続きとなるお約束
ハーバーはというと
見て下さい並んでいるポールを
上の方まで色が黒いでしょう
満潮の時間には水位がそこまで上がるのです
だから桟橋は固定できないので「浮き桟橋」で
岸壁にはタラップで上がる
港の出入口もこの通り
干潮時には航行できません
そんなこんなでこの町も通り過ぎて
もう少し北へ登って国道を「Plouha プルゥア」西に降りると
町の外れに
『Kermaria ケルマリア』という重文の礼拝堂が建っております
『Chapelle de Kermaris an Iskuit ケルマリア・アン・イスキット礼拝堂』
1200年代の初めに
十字軍帰りに地元の有力貴族の手で建立されたらしいこの礼拝堂は
教会として機能しているわけではないので閉まっています
でも
こういう時のお約束は
一番近くのお家に行って尋ねると「鍵」を貸してくれるのです
入り口は横にある「ポルシュ(ポーチ)」から
そのポルシュの左右に
往時の色彩を感じさせる彫刻が並んで出迎えてくれる
ポルシュの天井も彩色が残る
内部に入ると
身廊の天井は木製
左右の壁の上部にもフレスコが残る
このフラスコは
リドゥレー・スコット監督の英米独合作映画
『死者の王国』
のテーマとなったことで知られている
『死者の舞踏』
何気なく置かれている彫像も良い感じ
『Saint-Eloy 聖エロワ』
この聖人は「鍛冶屋」の守護聖人
『Archange Saint-Michel 大天使 聖ミカエル』
いずれも
年代的にも中央から遠い地方文化という観点からも
素朴極まりない表現が実に素晴らしい
平面図十字架の頭部「外陣」と南側横木「翼廊」の部分を後ろから見る
北側横木に当たる翼廊は造られていない
と言うより
翼廊はもともとは造られなかったようだ
この「ポルシュ」も最初の建立時より後だと思うが
翼廊よりは前だろう
手前に十字架だが
一枚岩で切り出したゴツい十字架はブルターニュの特徴で
感動の分岐点などにもよく見られる
お地蔵様みたいな物
ポルシュ外側のの上部の角に「テラス」状のものがあって
ユニークだ
ポルシュの奥
堂内に入る扉の上の壁には『聖母子像』
そして本来なら入り口がある西側はただ壁だけ
南側側面の全景
では
ここを発ってすぐ北側5〜6kmの『パンポル』という港町へ向かおう
『Pampol パンポル』
は「マルゥイーン」海賊の拠点の港の一つだった
町に入る直前に修道院の廃墟がある
『Abbaye de Beauport ボーポール大修道院』
ここもフランスの重要文化財
Nef 修道院聖堂の身廊部
正面扉口(ポータイユ)の方向を振り返って
逆方向
奥の祭壇方向に向いて
Grande Réfectoire 大食堂跡
反対側の壁
Salle de Duc 公爵の間
この大修道院を立てたのは
前の「ケルマリア礼拝堂」を立てたのと同じ地元の公爵家だが
その公爵の主君に当たる『ブルゴーニュ公爵』のための広間が
用意されていた
普通修道院には暖房用に暖炉はないが
ここは特別に二つもある
Salle capituraire (Salles des Capitres)入口
Salle capituraire 参事会運営会議の間
Gisant de l'Abbé Hubert ユベール院長の寝姿
名高い大修道院長だったアベ・ユベールの石棺
まるでお地蔵様のような優しげなお顔の石像もあった
その部屋の中にあったある時代の修道院長
おそらく石棺の蓋のビビんだと思われる
この辺りにたくさんあるローズ色の玄武岩を使い
黒い石や黄色い石を巧みに使って
色彩のコントラストが計算された建物だった
Cloître 回廊の一部跡
回廊部の手水
手足を清める水場があったようだ
回廊は聖堂(協会)と大食堂との間にあったが
内側のアーチの部分はほんの僅かしか残っておらず
その外側の壁の部分が残るのみ
僅かに残る回廊内側のアーチ列
こんなレリーフがあった
誰もがそこだけ触るのだろう色が黒くなってしまっている
回廊の跡は緑豊かなお庭になっていて
外からは想像ができない秘密の庭園といった趣
別棟には大小二つの酒庫もある
Grand Cellier 大酒庫
ブルターニュは
隣のノルマンディーと並んで葡萄の生育北限を超えている
今の時代なら栽培できるが
昔は葡萄は育たなかったので多分シードル(リンゴ酒)だろう
どこの修道院でも
ワインや蜂蜜その他銘菓などの「名物」を作っていて
現金収入源にしていた
今回の巻頭の写真は
この修道院の教会に隣接する貴顕賓客を泊める迎賓館のような建物で
その裏側が
正面側にも小規模ながら庭園のように設えられている
聖堂の位置からでも海はすぐそこ
当時は
敷地が海までそのままつながっていたという
さて
ここの町『Paimpol パンポル』にも行ってみよう
港の周りにレストランが多く集まっていて
とても賑やか
18世紀に「マルーアン海賊」商売で財をなした船主の家々が並び
楽しい港町です
前回から今回にかけて
三角形に切れ込んだ「サン・ブリウック湾」に沿う様に6〜70km
その間に中小の岬が50位あってご紹介し出したらきりがないのでやめました
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