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ブルターニュ紀行 9 <サン・ジャン・デュ・ドワ から シャトー・ロザンボ そして モッレ> 教会と城と街を巡る

2021-02-22 00:43:35 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : 『Château Rsanbo ロザンボー城』

荒海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れよう


バルルネーズから北東にほんの少し行くと
『サン・ジャン・デュ・ドワ』という村があって
そこの教会がちとばかり面白い

『Eglise Saint-Jean Baptiste 洗礼者聖ヨハネ教会』

人口700人居るかどうかという村にしては
規模が大きい

なぜなら
村の名前が『Saint-Jean du Doight 指の聖ヨハネ』という
不思議な名前で
なんと
ここに聖遺物『聖ヨハネの指』があるのだという

結論から先に

『Reliquaire du Doight de Saint-Jean-Baptiste 洗礼者聖ヨハネの聖遺物 』

金と銀を使った聖遺物が入った容器
中にはイエスに洗礼をした羊飼いヨハネの指の骨の破片が
入れてあると
信じられている


上の「聖遺物櫃」を収めるための容器

要するに「イワシの頭」な訳ですが
そう言ってしまうと身も蓋もないですからね




本体は正面も裏側もほぼ同じ形で
正面側には
鐘楼が脇に立っている


南側側面には
翼廊の入り口と並んで礼拝堂が一つ張り出している

献堂された『聖ヨハネ』の像は
羊飼いヨハネの姿のお約束通り毛皮を身にまとう


これまたお約束で
横に『Enclos アンクロ』が付随している

これはブルターニュの信仰と文化との伝統の一つ

文字通り「囲まれた」という意味で
低い仕切り壁で囲まれて
中にブルターニュの十字架を発展させた『Calvaire 道行きの十字架』
墓地と共同納骨堂などがある敷地の事

『Arc triomphal de l'Enclos アンクロの勝利の門』

囲いの一角には
「最後の審判」で天上の楽園に行く勝利を目指して死者が潜る門『勝利の門』がある


門をくぐった内側の上で「至上の神」が見下ろしている

敷地内には

『Oratoire du sacre 聖別祝祭の祈祷所』

これはキリスト教の祭礼の際の有力者の休憩所であり
葬式の際の野辺送りの場であった

さらに納骨堂がある

『Ossuaire de paroisse 教区納骨堂』

墓地のスペースには限りがあるので
25年とか50年とかの契約が終わる時に契約更新をしてくれる子孫がいなければ
掘り起こして納骨堂に収めるのです

この『Enclo アンクロ』は
ブルターニュでは特に伝統的に守られてきた構造で
『Calvaire 道行きの十字架』
という
イエスの処刑までのプロセスを彫刻群で飾った十字架彫刻群を競って
今でも素晴らしいものが何箇所も残っています


※  ※

では「サン・ジャン・デュ・ドワ」を立って
海岸に近い橋からまた内陸の方に15kmほど下って
お城を一つ訪れよう

『Château de Rosanbo ロザンボー城』

14世紀の古城の基礎の上に16世紀に屋敷を建て
17世紀に拡大されて現在の規模となった
『Bô ボー』川の峡谷を見晴らす高台にあり

ブルトン語で「ボー川の上にある岩塊」と言う意味の名前がついたそうです











鳩小屋

もちろん食用鳩ですよ

同 内部

『Charmilles クマシデの並木』



このトンネル状の並木は2500mも続いている

内部は一部屋だけご紹介



フローリングが古色蒼然とした輝きを持っている






※  ※

前日の横切ってきた
『Morlaix モッレ』の街まで引き返そう

海のそば迄ほんの5〜6kmで最大4km幅はありそうな『モッレ河』
が街のあたりではまだ狭いとはいえ
両岸は高くその下に街がある
ブルターニュ北岸の町々と同じように
だから国道や鉄道が高架で横切る



これは19世紀半ばの鉄道橋
道路はもっと大回りして町の中心部上は通らない

この町でいちばんの名物は
『アンヌ公爵の家』
と呼ばれる16世紀の家なのです


写真が傾いているわけではなく家が傾いているんです
500年の時の流れで片方に傾いでしまった
中の部屋はしっかり水平な床に作り直してあるのですよ
古い木造家屋ではごく普通の光景なんです
それより
外観は以外と他にもありそうな木組みの家ですが
この「モッレ」だけの独特の家
『Maison Pondalez (Lanterne) 明かり取りの家』

教会の祭壇上の天井だけ他より高くしてあって
テッペンの周囲に開口部があって光が入ってくる
そんな造りがあります
「Tour Lanterne 越し屋根の塔」と言いますが
これは
家の中に広い空間が最上階まで吹き抜けているのです




「モッレ川」が街を出ると急に広くなり始め
5〜6kmで幅が4kmほどまで広がり
海に注ぐに当たって東の岸の一部が堤防のように張り出して
出口自体は1kmほどにせばまる
つまり港として最適なわけです
「Morlaix」は特に「麻」の貿易で財をなした大商人が
好んでこのような家を建てた

外観は普通の家に見えて
中は広々
明かり取りの中央吹き抜けの一方の角に螺旋階段を持ち


樫の木で
真ん中の「通し柱」は上まで継ぎ目なしの一本柱
この家は4階建てで
16mの通し柱はびっしりと彫刻が
元材からそのまま掘り出して飾られている


4面の壁の内側に部屋があり
大家族と奉公人とが一緒に暮らせて
貿易会社としての執務室や商品の倉庫も兼ねられる規模がある

周りの壁の柱や梁にも彫刻が





これは階段から途中の部屋に入るところの壁の柱



通し柱の最上部

そして階段の各階のの位置に
階段から直接入れる部屋を通り抜けなくてもそれ以外の部屋に行けるよう
渡り廊下がある


そして
暖炉自体がまだ贅沢で城の王公の居住部分などにしかなかった15世紀に
まるでお城の大広間のような大暖炉をつくる





裏側の地上階は厨房であった



階段の内側はこんな感じ


正面の玄関口は
頑丈な花崗岩の柱で支えられている



この町の名物のもう一つは
意外なことに「鉄道高架橋」なのです
19世紀半ばの石造だから美しくないと言えば嘘になる



『Port et Viaduc de Morlaix モッレの港と高架橋』
Félix Benoist 1865

その高架橋のすぐ下に教会が一つある
『Eglise Saint-Mélaine 聖メレーヌ教会』


15世紀後半に立てるときに
将来のこんな光景は想像もしていなかったはずだろうが
決して低くない鐘楼の尖塔と高架橋を見比べてみると興味ふかい
何しろこの橋は58mの高さを単線の線路幅だけで300m近くの長さで
壊れることなく建っているのですからね







やはり高架橋は絵になる




高架橋と港は表裏一体





『旧 タバコ工場』正面

旧タバコ工場 中庭

なんだかカルメンが出てきそうなノスタルジーですね

では今回はこのくらいにしょましょう
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