想い事 家族の記録

難病の父と生きる
鬱病
ふたり暮らし

生かすために、引き裂いた。護るために、手を離した。それでも、あなたたちは、私の祈り。

2025-03-19 19:25:17 | 日記
「オシャレカフェを夢見た結果、やっぱり蕎麦だった」


面会で一日潰れる?  ――いやいや、そんなことはさせない!

そう心に誓い、家を出た。
何故なら、昨夜、とっておきの情報を手に入れていたからだ。

病院から徒歩10分の場所に、なんとも洒落たカフェがあるらしい。
ジビエ料理がウリらしいが、そんなものはどうでもいい。
獣肉など、ノーセンキュー。
ごめんなさい。
私のお目当ては、無農薬発芽酵素玄米のランチとハーブティー。

いつも院内の数字のコンビニ飯か蕎麦屋の二択だから、
今日はちょっと違う選択をしてみよう。
何しろ、面会まで5時間もある。
余裕である。
開店時間は10時半。絶妙なタイミング。

バスを降り、地図アプリを起動し、意気揚々と歩き出そうとして、
何気に調べたら、

「営業日:金・土・日」

……ん? 今日は、火曜日。

「ふっ…」

思わず漏れた乾いた笑いの意味が、
自分でもよくわからなかった。

いや、もうこういう流れには慣れている。
これが、私の日常。もはや、宿命というべきものなのだろう。

しかし、ここで終わるわけにはいかない。
もう一軒、頭をよぎった蕎麦処がある。
ここは変わり種の蕎麦が豊富で、
更科、丸抜き、田舎、三色蕎麦など、魅力的なラインナップが揃っている。

「よし、じゃあ今日はそっちに行ってみるか!」

そう思い立ち、念のため定休日をチェック。

「定休日:木曜日」

…今日は、火曜日。…大丈夫だけど。

カレンダーに怪しげな青文字が。
「臨時休業の可能性アリ」の匂わせ演出である。

もう騙されない。

私は、静かに携帯を閉じた。
どうも、世界が全力で私を騙しにきている気がする。
(被害妄想?)

ここで私は決断した。「安全策を取ろう」と。
結局、いつもの温泉街の蕎麦屋へ向かうことにした。

「別に悔しくなんかないし。
私は蕎麦が好きだからね。
ほんとに好きなの。強がりとかじゃないからね!」

そう自分に云い聞かせながら、いつもの蕎麦を注文。



十割蕎麦。

しかし、毎回不思議なのだが、家で食べる十割蕎麦は何だかもったりするのに、
蕎麦屋の蕎麦は驚くほどおいしい。
そしてもちろん蕎麦湯までしっかり堪能。
こうしてお腹を満たし、面会までの四時間は院内の休憩スペースで
春の桜パフェを食べながら過ごすことにした。



…やっぱり甘いものは正義だな。

それから、約四時間あまり、
編集作業に没頭していると、
電話が鳴った。
今いる病院からだ。

「今日、面会ですよね。時間過ぎてますが」

…誤解があったようだが、私は四時間前からここにいるよ?
どちらのミスか判らなかったが、一時間早く繰り上げしてもらい、
面会は無事、終了。


そして、今日は、ここで終わらない。
「ただでは転ばん」と誓ったからには、
温泉にも立ち寄るのが当然の流れである。
しかし、今日はいつもの格安共同温泉ではなく、
ちょっと贅沢にホテルの日帰り温泉をチョイス。
値段は倍だが、その価値はある。
広くてキレイな空間、選び放題のシャンプー…! まさに極楽。
こうして面会後の二時間を温泉で優雅に過ごし、ようやく家路についた。


結論:カフェには振られたが、結果オーライの充実した休日だった。


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嵐の前の湖のようだった。表面は静かで澄んでいるのに、その奥では、いつ決壊するとも知れぬ激流が渦巻いている。

2025-03-17 19:47:22 | 日記
「気づけば、追いこまれていた件」


日に日に蓄積する疲労と焦り。

かつて無双状態だったメンタルも、今やすっかりおとなしくなり、
気づけば無意味に空を眺めて時間を溶かしている。
マズイ。
気がつけば、予定以上にぐっすり寝ている。
マズイ。
そして、電力会社から「電気代払えや」というお知らせが届いていた。
マズイ。
その上、落ち着いていた血圧が、急上昇した。
マズイ、マズイぞ…。
せっかく、減薬も少しずつ進んでいたのに、
元の木阿弥となった。

仕事だけは何とかこなしていたが、相変わらずの人手不足。
シフト表を見ると、昼間のSさんがワンオペで5時間…狂気の沙汰である。
まさか、これ、私が早朝勤務を終えた後に
「もう5時間よろしく!」の伏線じゃないよね…?
恐る恐る確認すると、店長が入るから大丈夫とのこと。
良かった。セーフだ。

──と思ったら、休みの日にメールが届いた。
「急な深夜勤が入ったから、朝は無理。
奥さんをなるべく早く向かわせるから、それまで延長よろしく」

はい、伏線回収。無事に回収されました。
ありがとうございます。

とはいえ、5時間じゃないだけマシ。
そう自分に云い聞かせ、カウンターに立ち続けるも、
意識がぼんやり…マズイ。いろいろマズイ。

休日にちゃんとリセットしなかったせいで、完全に追いこまれている。
よし、退勤したら、予定外だけど里山の温泉に行こう! リフレッシュしよう!

――そんな矢先。

「新人さんが、また1人辞めました」

うん。知ってた。
そして、新たな新人さんが補充された。
その人が、どうやら私のシフト時間を希望しているらしい。
ということは、私の勤務時間が午前中に移る可能性が…?
もしそうなれば、朝にお弁当を作る余裕が生まれる!
やった! 最高!

…と思ったのも束の間。
「新人さんの指導、お願いできますか?」
「イヤです」
──と云えたらどれだけ楽か。

「はぁ…なんで?」と天を仰ぐ。
力が抜ける。
私はけっこう適当な人間なので、
このままでは私の適当さが新人さんにバレる。
マズイ。非常にマズイ。

そんなこんなで仕事を終え、いざ温泉へ! と意気込んで循環タクシーを予約。
…したはずが、
待っている間に本日の体力・気力・希望のすべてを使い果たし、
まさかのキャンセル。

結局、おふとぅんダイブをキメて秒で落ちた。
マズイ。これはかなり追いこまれている。

そして明日は、貴重な休み…のはずが、父の面会。
朝早く出て、面会は15時過ぎ。帰宅したらもう1日が終了。

…これ、次の休みこそ、本気で完全リセットキメなくちゃマズイのでは?



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貴方の手を取れば、私はこの庭に囚われる。けれど私は風に散る花でありたかった。だから、貴方を選ばなかった。それでも、貴方の痛みが、今も胸を刺し続ける。

2025-03-13 04:12:00 | 日記

「謎の高額引き落とし事件 通帳ミステリーの真相に脱力した件」


おかーさんのために奔走するはずが

埼玉滞在中、私は決めていた。
「今回はおかーさんのために何かしてあげよう!」
今回のミッションは以下の通り。

* 誕生日プレゼントとしてランチをごちそうする
* 壊れた携帯カバーを直す
* ベッドの棚部分にカーテンを設置する
* 眼鏡店に連れて行き、眼鏡の微調整
そして…
* 通帳の謎の引き落とし事件を解明する

そう、この日のメインイベントは 「消えたお金の謎を暴く」 ことだった。


高額引き落としのナゾを追え

おかーさんが通帳を見ながら困惑していた。
「1月26日に高額な引き落としがあるけど、全然覚えがないのよね…」
おかーさんは 「全く心当たりがない」 と云い張っていた。
そこで、通帳に記載されている 謎のアルファベット&記号
「KD◯I‐〇〇‐〇〇」 を手がかりに調査開始。
調べてみると…
・固定電話?
・a◯Pay?
・a◯じぶん銀行?
どれもおかーさんには無縁らしい。
「これはもう直接ショップに行くしかない」
ということで、買い物ついでに所沢のショップへ。


見間違い発覚!そして新たなナゾが…

店員さんに通帳を見せると、衝撃の事実が発覚。
「これ、KD〇Iじゃないですね」
… え!?
よく見たら、「7bk00…」

完全に見間違えたーーーー!!!(恥)

おかーさんは、老眼。
私は、弱視。
ふたりで見えないくせに、眼鏡もかけないから
こういうことになる。
そして、何よりも、先入観があったのだ。
おかーさんは、この謎の引き落とし前日に、
a〇ショップで機種変をしていた。
その翌日の異変だったから、てっきりa〇絡みだと信じこんだ。
しかし、よく見たら、「7bk00」。
「やらかした。しかしだ、これなら調べ上げれば真相が暴ける」
かえって、いい方向へ転んでくれたので、
希望が見えてきた。

気を取り直して、今度は 「7bk00」の正体を追え。

調査の結果…
「これ、セ◯ン銀行のATMだ…」

「おかーさん、コンビニでお金を下ろしたり、送金したりした?」
「そんなはずない。だってコンビニでお金とか、下ろさないわよ」
でも、よくよく考えれば、
息子の不祥事で、彼女が何度もコンビニでお金を下ろしている事実を
私は知っている。
…覚えていないか、混乱しているか、どっちかなのでは?
そして、通帳に記帳された記号から、操作した店舗が明らかになった。
それは――、家から一番近い、コンビニだった。
つまり、カードを持ってコンビニ行き、
暗唱番号まで知っている人物が、お金を下ろした(操作した)?
しかし、さらに記号を探って行くと、
お金を受け取った先が、
何故か、愛知県〇〇市。

ここで、私の思考は完全に停止した。
頭の中で、色んな仮説が乱立し、
最も可能性が高い、推論。

我が娘が、絡んでいる?

何故なら、おかーさんの近辺で、愛知県〇〇市に住んでいるのは、
娘しかしない。
それは、つまり。

何らかの事情でお金に困った娘が、
私には相談できず、おかーさんを頼った。
あの大金を受け取って、おかーさんは(何故か)その事実を忘れてしまっている。

それしか、考えられない。
だって、愛知県って。
〇〇市って。
確定やん…。

「――終わった」

身体が、震えはじめた。
ついに、我が娘まで、ばあちゃんに金銭の要求をするようになってしまったのか?
一体、何があったんだ?
でも、真面目に働いて、無駄遣いもしないはずのあの子が、

…信じられない。

しばらく震えていたが、意を決して、
私は、おかーさんに事実を伝えた。

結果報告。
1月26日、最寄りのコンビニより、カードを使って〇〇万を、
愛知県〇〇市在住の人間に送金。


「本当に、覚えがないの? 送った相手だけど、それって」

その時、おかーさんが、突然、主張を覆した。

「ああ、思い出したわ。それ、兄ちゃん(長男)よ!」

私は全く知らなかったのだが、
兄ちゃんこと、私の元旦那が、今、愛知県〇〇市に移住しているらしいのだ。
それは、以前私が、
「もう彼のことは聞きたくないので、話さないで欲しい」
とお願いしていたので、おかーさんは話さなかったことなので
仕方がないことだった。

真相。
あちらに引っ越した彼が、就職に行き詰まり、
おかーさんは、生活費を送金した。
そして、その事実を、すっかり忘れていた。


勝手にドラマチックな展開を想像した結果

私もおかーさんも、最悪のケースを色々考えてしまい、

「もしかして不正引き出し!?」
「誰かが暗証番号を知ってるのか!?」

と、無駄にサスペンスを繰り広げていたけど、
最終的に出てきた答えが 「息子への仕送り」。

…いや、記憶の片隅にもなかったんかい!!

そんなこんなで、無事に謎が解け、
おかーさんも私も 「なんだよ…」 と力が抜けた。
そして、もう最後は 笑うしかなかった。







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護る為に閉じこめた。壊さぬように、傷つけぬように。けれど、君は結界を砕いた。鳥籠を壊し、迷いなく飛びたっていった。

2025-03-12 13:18:39 | 日記

「気遣い神レベル&美少年 9歳児が将来モテる未来しか見えない件」


9歳児の気遣いがエグすぎた

埼玉の元義実家へ遊びに行った。
おかーさんに会うのも楽しみだったけれど、
もうひとつ、楽しみにしていたのが、 義弟君の長男・Y君(9歳)との再会。
久しぶりに会った彼は 満面の笑顔でダッシュしてくるかわいさ。
しかも 、
「今度4年生になるよ! 僕ももう10歳、ついに二桁だよ!」 って誇らしげに云う。
9歳児が”ついに二桁”とか云う?
語彙がすでに大人びてるんですが?
しかし、それは 彼の驚異的な気遣いスキルの序章に過ぎなかった。


9歳児、まさかのドリンクサービス付き

義実家に到着すると、Y君はまず 亡くなったおじいちゃんの仏壇にお線香をあげる。
「礼儀正しい子だな~」と感心していたのも束の間。
私がクッキーを食べ始めたのを見て、
「ショウちゃん、飲み物は何がいい?」とサッとオーダーを取ってくれる。
気配りができすぎている。
そして極めつけがこれ。

夜、お風呂に入っていたら、
突然、ドアがバーン!
と開き、そこには 冷たい麦茶を持ったY君が立っていた。

「喉が渇くと思って」

君は、天使なのか?
察知能力まで神がかっていた。
まあ、風呂のドアを躊躇なく開けるあたりは子供だが、
そんなことは、どうでもいい。
私は、お湯につかりながら、冷たい麦茶を飲めたのだから。


天使な9歳児、鋭すぎるツッコミを放つ

親戚が私を見て「すごく痩せたね〜!」と云った時、Y君がすかさず、
「その云い方、前は太ってたってことになるよね?」
と、冷静にツッコミ。
うん…。9歳にして、そんなロジカルな指摘ができるんだ。

でもやっぱりかわいさ全開で、夜は一緒にアイスを食べることに。
彼のチョイスは 、ダッツのバニラ。
「やっぱりバニラが王道だよね」と云うと、
「そう、王道のバニラ味!」とニコニコ。
… かわいすぎてしんどい。
さらに、「こっちのティラミスも味見する?」と差し出すと、
「スプーン、なめちゃったけどいいの?」
… 清潔意識、高すぎる9歳児。

その後は、
「君のバニラと、ショウちゃんのテラミスと、
ばあちゃんのストロベリーを合わせて食べてごらん」
と提案すると、素直に従う。そして、
「うん、バニラとストロベリーは合うね、悪くない」
親指を立てるY君。
「だけど、三つ合わせるのは、ちょっと違う」
「そうか、バニラはマルチテイストだから、他とも合うが、
さすがに三つとなると、味が乱れるか。相乗効果を期待したんだけどな」
「そうじょうこうか?」
「お互いの良い味をくっつけて、もっとおいしい味になるってことよ」
Y君は、キラキラした眼でうなずいた。
…かわいい。かわいいがすぎる。
久しぶりに、心癒される時間を満喫できて幸せだった。

お小遣いを全力拒否する9歳児

さて、夜になると、
Y君は「ショウちゃんと寝る」と云う。
思わず身悶える私。
ショウちゃんは嬉しいぞ。
せっかくだからとお小遣いを渡そうとすると、
Y君「いや、いいよ。いらない」
と遠慮する。
「遠慮しないでいいんだよ」
何度か押し問答した末、ようやく受け取ると、
「ばあちゃん、お小遣いもらった!」
と超うれしそうに報告しに行く。
めっちゃ喜んでるやん!
欲しくてもすぐに手を出さない、奥ゆかしい9歳児だった。

そんな気遣いモンスターなY君だけど、
やっぱり子供らしさも、全開で、
:お母さんはまだ「ママ」呼び。
:ポケモンの歌を全力で歌う
:ポケモンのキャラを熱弁する
:気づいたらいつの間にか寝ている

そのギャップが、またかわいすぎて、たまらん。


そして彼、極めつけに美少年である。
とにかく、 顔がいい。
透き通るような肌、大きな眸、端正な顔立ち。
サラサラな髪。
彼は、保育園時代髪が長かった時、
見た目が完全に乙女だった。
ただでさえ 気遣い神レベル なのに、
見た目まで美少年とか反則では!?
これで将来モテないわけがない。
間違いなく ハイスペックすぎる男性に育ってしまう。

もうね、 将来、婿に欲しい。









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ぼくの手は、貴女の為に汚されることさえ赦されなかった。触れたら壊れてしまうものだったのか。それとも、最初からぼくは、選ばれることのない影だったのか。

2025-03-05 22:53:44 | 日記
雪国の掟と、大根おろしの最期


「今年最後の雪かな~」と思った矢先の大雪。
咲きかけの福寿草も、容赦なく雪に埋もれる。
春の訪れを待つ植物たちにとっては、まるで試練のようなこの光景。

銀世界も見納めかと思いながら、寒い早朝を歩いていると、
見えてきたのは雪かき中のご婦人。
「おはようございます」と挨拶を交わしながらも、
心の中では別のことを考えていた。

――この雪、まさか国道に投げたりしないよね…?



実は、うちの近所では雪かきの流儀がなかなか豪快なのだ。
もう本当に迷いがない。力強く、そして潔く、豪快に、

どんどん国道へ雪を放り投げていく。

それは、暴力的であり、狂気じみた光景だった。

もちろん、その雪は走る車に踏みつぶされる運命にある。
「これぞ自然な雪処理システム!」とでも思っているのかどうかは知れないが、
見ているこっちはヒヤヒヤだ。

以前、投げられた雪が車のバンパーに炸裂した瞬間を目撃したことがある。
さすがに運転手ブチギレ案件では…?と身構えたが、
意外にもそのまま走り去っていった。
慣れてるのか、それとも悟りを開いているのか。
雪国ドライバー、さすがである。

で、先ほどのご婦人は…?と振り返ってみたら、
きちんと道の端に雪を寄せていた。
おお、良識派! と、安心した。

さて、職場に到着し、シフト表を確認すると、
あるべき名前の部分が真っ赤に塗りつぶされている。
あの、ドタキャンの申し子、天使みたいだった子の名が…!
しかも、血のような真っ赤なマジックて。

「ついに解雇通達されたのか? 」

やはり、フェアリーは淘汰される運命にあった。
この社会の厳しさに、めげることなく、
彼には強くなってもらいたい。
とりあえず、まずは、心身共に立ち直って欲しい。
彼の未来に幸あれ、とそっと祈ることしかできなかった。

そして、食材管理問題。

仕事に取りかかろうとした矢先、またしてもこいつと眼が合った。
――解凍済み大根おろし(長期滞在組)。
ずっと冷蔵庫に居座り続けるこの大根おろし。
しかし、そろそろ決着をつけなければならない。

前に新店長に「解凍した食材ってどのくらい持ちます?」って聞いた時、
「袋に書いてある期限内ならOK!」と即答されたけど、
いや、それって冷凍保存前提の話では?
解凍した食材が半年も持つわけないと思うんだが? 
今日は意を決して、壁に貼ってある「使用期限サーマルシール一覧表」とやらをチェック。
該当の大根おろしナンバーを登録してみたところ、出てきた消費期限は――

「解凍後3日以内」

やっぱりアウトやん!
なんで今までスルーしてた?
ていうか、新店長、絶対料理しない。
料理をする人間なら、容易に想像がつく事だ。
きっと奥さんがご飯を用意してくれて、それを当然のように食べてるんだ。
「たまには肉が食べたい!」とか云いながら。

「解凍した食材はサーマルシールを発行し、期限内に使うように」
忌々しいと思いつつも、メモを貼りつけ、
大根おろしをゴミ箱に叩きつけた。

――さようなら、大根おろし。君のことは忘れない。














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