記憶のスクラップ・アンド・ビルド

当然ながら、その間にタイムラグがあり、
それを無視できなくなることこそ残念です。

添加物

2009年08月11日 09時58分25秒 | Weblog
ワインに亜硫酸塩を添加するのは邪道だと思っていたが、書店で立ち読みをしたら、ワイン製造に二酸化硫黄はほとんど不可欠で、世界中のワインの99パーセント以上に用いられているとあった。
殺菌、酸化防止、ポリフェノール抽出促進の機能があり、15世紀頃から既に硫黄燻蒸の方法が用いられてきた、と。
清水健一著「ワインの科学」(講談社;ブルーバックス)。

著者は亜硫酸無添加ワインを否定しないが、白ワインに関しては亜硫酸を使った通常のワインの方が、品質面で優れているという。
亜硫酸ガスは瓶のコルクを抜くと直ぐ蒸発して健康も味も損なうことがないと聞いたことがある。しかし、亜硫酸が賛美までされているとは知らなかった。
安いワインしか飲まないので、ワインを美味しいと思ったことはあまりないし、歳でもありアルコールを控えようと心懸けていたところなので、読んでも意味ないと思いながらページを捲ったのだが、いろいろ知らなかったことが沢山紹介されており、面白い本であった。
1980年頃、日本でもワインが普及し始めたばかりで、マスコミは日本だけがワインに防腐剤を入れ、本当の味を損なっていると喧伝していた。
自動車で使う不凍液が用いられているという指摘だった。
その正確な名前は忘れたのか、それが瓶のラベルに印刷してある亜硫酸塩だと誤解(?)してきたらしい。

著者は大変お酒が好きらしく、結局業界寄りの評価が多くなっているようで、ワインは健康に良いと盛んに強調している。
世間には、酒は少量なら「百薬の長」と云う人が多い。しかし、産業やら環境やら生活様式やら、いろいろ大きく異なる時代にあって、大昔の諺を単純に信じるのはいけない。
ワインは有機酸が多いので酸性だが、カリウム含量が多いので、体内に入ったら、アルカリ性になるとあった。世界の主要な酒の中でアルカリ食品はワインだけだと。
ワインのようなアルカリ食品は、偏食によって血液が酸性化するのを阻止するてだすけをする、と。
栄養学の先生たちの説を受け売りするマスコミ界では通説らしいが、どうも眉唾としか思えない。
われわれが中学や高校で教えられたホメオスタシスの働きは、何処へ行ってしまったのか。
体外で酸性の食品が血中のpHをどれだけアルカリ性に戻す働きをするか、果たして寄与率などの分析を生体内の変化として算出したのだろうか。

大麻やタバコだけでなく、酒も呑まない方が良い。
長い歴史を持つ文化から離れるのは寂しい気がしないでもないが、良い習わしだから続いてきたとは必ずしも言えないのではないか。

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