そこに何も無いのであれば、時間や空間も無いのではないか。
空の時間とか、虚の空間とかが有ると考えるときは、その“有る”は事や物が“有る”ということとどう違うのか。
仏教や形而上学が考えることであって、われわれが考えても空転するばかりだと思うと、いつも割り切れないものが残ってきた。
それが最近になって、たまたまブライアン・グリーンによる“ひも/M理論”の解説を読んで、「おや?」と思った。
ブライアン・グリーン著 2004、青木薫訳2009
「宇宙を織りなすもの:時間と空間の正体」
第13章 宇宙は“ブレーン”のなかに有るか (草思社)
従来、ひも理論の研究は近似方程式を用い、時空は10次元だとしてきた。
しかしウイッテンは、正しい次元は11次元で、基本構成要素は必ずしも1次元の“ひも”に限らず、多次元で有っても良い、というM理論を提唱した。
2次元の場合は膜(Membrane)であるが、p次元の場合はpブレーン(p-brane)と呼び、ひも理論と合わせて“ひも/M理論”と呼んでいる。
多次元になるほど重くなり、それを作るためには大きなエネルギーが要る。
ビッグ・バン直後の超高エネルギーの灼熱状態の時期には、長大な“ひも”や大きな膜あるいは3次元のブレーンが生じて宇宙に漂い、それが今日まで残っている可能性も有るのではないか、と。
そして、今われわれが生活し経験している3次元の空間は、そのようなブレーンの一つである可能性も有るのではないか、と。
ヒッグスの海と言い、何もない筈の空間を暗黒のエネルギーが満たしており、真空の場に量子の“ゆらぎ”が生じるのは、それが空虚な空間ではなく、ブレーンという実体だからだ、と。
11次元の時空にはいろいろなブレーンが漂っていて、それらが偶々衝突し、そのひとつが、この宇宙のビッグ・バンだったのではないか、とも。
われわれの生きている世界が3次元のブレーンだという説はブレーン・ワールド・シナリオと呼ばれ、いろいろな問題を提起し,新しいものの見方をもたらしているようである。
もし“ひも”や3次元のブレーンが極微でなくてよいとしたら、何故それが観測できないのか。
それは光子や電子が開いた“ひも”の振動であって、その“ひも”の端子はブレーンの中に拘束されているためだと考えられている。
“ひも”はわれわれのブレーンの全域で自由に運動できるために、このブレーンは透明で、われわれには見えない。
そして、その端点はブレーンに付着して離れられないために、追加次元に入って行けないので、われわれが光子や電子によって追加次元を見ることも出来ないのだ、と。
重力子は閉じた“ひも”の振動であるから、重力についての研究を通して追加次元や“ひも/M理論”の検証が行えるようになる可能性は有るのではないか、と。
筋が通っていて、何となく分かった気についなりそうだ。
肝心の方程式やその意味は全く分からないことだけが本当の理由ではないかも知れないし、単純に分かったと言うのは早過ぎるような気もする。
これからどんな考え方が出てくるか見当がつかないし、直ぐにでも予期しない説が出てきそうな気がいよいよするのである。
空の時間とか、虚の空間とかが有ると考えるときは、その“有る”は事や物が“有る”ということとどう違うのか。
仏教や形而上学が考えることであって、われわれが考えても空転するばかりだと思うと、いつも割り切れないものが残ってきた。
それが最近になって、たまたまブライアン・グリーンによる“ひも/M理論”の解説を読んで、「おや?」と思った。
ブライアン・グリーン著 2004、青木薫訳2009
「宇宙を織りなすもの:時間と空間の正体」
第13章 宇宙は“ブレーン”のなかに有るか (草思社)
従来、ひも理論の研究は近似方程式を用い、時空は10次元だとしてきた。
しかしウイッテンは、正しい次元は11次元で、基本構成要素は必ずしも1次元の“ひも”に限らず、多次元で有っても良い、というM理論を提唱した。
2次元の場合は膜(Membrane)であるが、p次元の場合はpブレーン(p-brane)と呼び、ひも理論と合わせて“ひも/M理論”と呼んでいる。
多次元になるほど重くなり、それを作るためには大きなエネルギーが要る。
ビッグ・バン直後の超高エネルギーの灼熱状態の時期には、長大な“ひも”や大きな膜あるいは3次元のブレーンが生じて宇宙に漂い、それが今日まで残っている可能性も有るのではないか、と。
そして、今われわれが生活し経験している3次元の空間は、そのようなブレーンの一つである可能性も有るのではないか、と。
ヒッグスの海と言い、何もない筈の空間を暗黒のエネルギーが満たしており、真空の場に量子の“ゆらぎ”が生じるのは、それが空虚な空間ではなく、ブレーンという実体だからだ、と。
11次元の時空にはいろいろなブレーンが漂っていて、それらが偶々衝突し、そのひとつが、この宇宙のビッグ・バンだったのではないか、とも。
われわれの生きている世界が3次元のブレーンだという説はブレーン・ワールド・シナリオと呼ばれ、いろいろな問題を提起し,新しいものの見方をもたらしているようである。
もし“ひも”や3次元のブレーンが極微でなくてよいとしたら、何故それが観測できないのか。
それは光子や電子が開いた“ひも”の振動であって、その“ひも”の端子はブレーンの中に拘束されているためだと考えられている。
“ひも”はわれわれのブレーンの全域で自由に運動できるために、このブレーンは透明で、われわれには見えない。
そして、その端点はブレーンに付着して離れられないために、追加次元に入って行けないので、われわれが光子や電子によって追加次元を見ることも出来ないのだ、と。
重力子は閉じた“ひも”の振動であるから、重力についての研究を通して追加次元や“ひも/M理論”の検証が行えるようになる可能性は有るのではないか、と。
筋が通っていて、何となく分かった気についなりそうだ。
肝心の方程式やその意味は全く分からないことだけが本当の理由ではないかも知れないし、単純に分かったと言うのは早過ぎるような気もする。
これからどんな考え方が出てくるか見当がつかないし、直ぐにでも予期しない説が出てきそうな気がいよいよするのである。