人類は5千年前に台湾を経て南太平洋の島々に移り住んだことが、ピロリ菌の遺伝子解読と言語の比較で推測されるというニュースがあった。
年代は違うかもしれないが、倭人が中国南部から台湾を経て大和へ渡って来たというルートもあると、言語の比較や日本の神教に独特な鳥居の由来研究から推測されるという話を読んだことがある。
天孫降臨について、南太平洋から黒潮に乗って九州へ来た人々があって、高千穂は彼らが水平線上に見た最初の山頂だったという解釈もある。
朝鮮半島から北九州や山陰へ渡来した人々があることも疑いない。
先住民は東と西へ追いやられ、アイヌは少数残ったがクマソは絶滅した、と。
神話と対応付けながら古代史について断片的解釈を読んだり聞いたりしたが、神話や古代史に特に興味があった訳でない。
しかし、岩波新書で「アマテラスの誕生(溝口睦子 2009)」にヤマト王権で皇祖とされていたのはタカミムスヒであって、7世紀末になってアマテラスとの交代劇があったとある。
これはピロリ菌と同じ位の驚きだった。
どこの神社にも複数の神が祀られており、八百万の神の名には憶えようという気を失わせるものがある。
それにしてもタカミムスヒは全く聞き覚えがない。
「ムス」とは「産む」という意味で、ムスコ、ムスメは同根の言葉らしい。
多くの神は農耕を専らにし国造りしてきたという意味で土着の地方豪族の先祖である。
タカミムスヒは朝鮮半島経由で渡来した神で、鉄器の技術や文字文化の導入に係わる、いわば征服者の系譜と思われる。
天孫降臨の神話も北方ユーラシア大陸由来だったらしい。
神話には多くの矛盾があり、日本書紀は本説の他に異説も述べているが、辻褄合わせに年代を気ままに伸縮するなどし、却って意味不明の部分を残している。
地方毎に作られた神話を繋ぎ合わせて統一国家の正統性を得ようとしているが、実態に即していないのであろう。
土着の神の中で最も勢力があり、広く人気があったのは朝鮮との繋がりのある出雲系のオオクニヌシである。
これが統一国家のために国譲りしている。
アマテラスは元来、伊勢地方の神であって、天よりは海洋の世界と深い繋がりがあるようである。
それが壬申の乱の後に、何故か皇祖神に位置づけられるようになってきたらしい。
乱暴を働き地の世界にいられなくなったスサノオは、天の世界に戻ってアマテラスにも恐怖を与え、両者の間でウケヒという意味不明の占い競争を行っている。
二神は剣や玉を交換して子孫を産み比べるのであるが、それは神々の系譜を書き換えるために創った神話だったのかも知れない。
現実の世界では、ヤマト王権は高句麗や新羅に出兵して惨敗し、朝鮮半島から完全に撤退したことが対応するだろう。
度重なる政権抗争と内乱を経て、大王の出自に係る神々への言及も変える必要が出来て、タカミムスヒを忘れ去る契機になったのではなかろうか。
統一国家の政権を権威づけるために天の世界に言及することは変わらないが、中国の文化に学んで天子の概念を得、北方由来の天孫降臨ではない、新たな天孫降臨の神話を著したのではなかろうか。
年代は違うかもしれないが、倭人が中国南部から台湾を経て大和へ渡って来たというルートもあると、言語の比較や日本の神教に独特な鳥居の由来研究から推測されるという話を読んだことがある。
天孫降臨について、南太平洋から黒潮に乗って九州へ来た人々があって、高千穂は彼らが水平線上に見た最初の山頂だったという解釈もある。
朝鮮半島から北九州や山陰へ渡来した人々があることも疑いない。
先住民は東と西へ追いやられ、アイヌは少数残ったがクマソは絶滅した、と。
神話と対応付けながら古代史について断片的解釈を読んだり聞いたりしたが、神話や古代史に特に興味があった訳でない。
しかし、岩波新書で「アマテラスの誕生(溝口睦子 2009)」にヤマト王権で皇祖とされていたのはタカミムスヒであって、7世紀末になってアマテラスとの交代劇があったとある。
これはピロリ菌と同じ位の驚きだった。
どこの神社にも複数の神が祀られており、八百万の神の名には憶えようという気を失わせるものがある。
それにしてもタカミムスヒは全く聞き覚えがない。
「ムス」とは「産む」という意味で、ムスコ、ムスメは同根の言葉らしい。
多くの神は農耕を専らにし国造りしてきたという意味で土着の地方豪族の先祖である。
タカミムスヒは朝鮮半島経由で渡来した神で、鉄器の技術や文字文化の導入に係わる、いわば征服者の系譜と思われる。
天孫降臨の神話も北方ユーラシア大陸由来だったらしい。
神話には多くの矛盾があり、日本書紀は本説の他に異説も述べているが、辻褄合わせに年代を気ままに伸縮するなどし、却って意味不明の部分を残している。
地方毎に作られた神話を繋ぎ合わせて統一国家の正統性を得ようとしているが、実態に即していないのであろう。
土着の神の中で最も勢力があり、広く人気があったのは朝鮮との繋がりのある出雲系のオオクニヌシである。
これが統一国家のために国譲りしている。
アマテラスは元来、伊勢地方の神であって、天よりは海洋の世界と深い繋がりがあるようである。
それが壬申の乱の後に、何故か皇祖神に位置づけられるようになってきたらしい。
乱暴を働き地の世界にいられなくなったスサノオは、天の世界に戻ってアマテラスにも恐怖を与え、両者の間でウケヒという意味不明の占い競争を行っている。
二神は剣や玉を交換して子孫を産み比べるのであるが、それは神々の系譜を書き換えるために創った神話だったのかも知れない。
現実の世界では、ヤマト王権は高句麗や新羅に出兵して惨敗し、朝鮮半島から完全に撤退したことが対応するだろう。
度重なる政権抗争と内乱を経て、大王の出自に係る神々への言及も変える必要が出来て、タカミムスヒを忘れ去る契機になったのではなかろうか。
統一国家の政権を権威づけるために天の世界に言及することは変わらないが、中国の文化に学んで天子の概念を得、北方由来の天孫降臨ではない、新たな天孫降臨の神話を著したのではなかろうか。