記憶のスクラップ・アンド・ビルド

当然ながら、その間にタイムラグがあり、
それを無視できなくなることこそ残念です。

宇宙が膨張するとはどういうことか

2016年02月01日 10時03分12秒 | Weblog
素朴な疑問として、物体でなく、空間が膨張するとはどういうことか。
どんな速度も光速を超えられない筈だが、空間の膨張速度は超えてもいいのか。

雑誌 Newton 2016/3 の記事:
宇宙空間が膨張するとは、どういう意味か

が、そんな疑問に応えてくれました。
しかし、まだ腑に落ちない部分があるので、少し整理してみます。

アルバート・アインシュタインの一般相対性理論によれば、宇宙は大きさや形を変えたりする実体。
1922年、アレクサンドル・フリーマンはこの理論によって宇宙空間が膨張したり収縮したりできることを指摘。
1929年、エドウィン・ハッブルは観測によって遠い銀河ほど速く遠ざかることを明らかにした。
天文学者や宇宙論研究者たちにとって宇宙膨張は疑う余地のない事実になっている。

雑誌が列挙していた宇宙膨張をめぐる疑問:
1 宇宙はどこに向かって膨張しているのか。宇宙の外側をどのように考えているのか。
2 地球上も宇宙の一部。我々の身体も膨張しているのか。
3 時間を逆にたどれば、宇宙の大きさが0だった時があり、その前には何が有ったのか。

天文観測によると、地球から500万光年離れる毎に、秒速約100㎞ずつ速度が増える。
ちなみに、天の川銀河の直径は約10万光年。500万光年離れた銀河が1秒間に遠ざかる距離は銀河の直径の9460兆分の1。

太陽と地球の間の距離は約1.5億km。地球は太陽から秒速320nmで遠ざかることになる。
原子の大きさは0.1nm程度なので、1秒間に原子数千個分遠ざかる計算になる。
(実際、空間の変動はそれだけ小さいからこそ、いままで重力波が観測できなかった。)

しかし物体については同じ計算は通用しない。
太陽と地球の間で働く重力や、原子の中で原子核と電子の間で働く引力は、宇宙膨張作用が引き離そうとする力より圧倒的に大きい。
従って、太陽系も、そして地上の人間を構成している原子も膨張したりしない。
(空間膨張作用は、重力や電磁力などの物体に作用する力に加算する力と言えるかどうかも分からない。)

遠い銀河ほど速く遠ざかることは、銀河の移動を観測して分かったのではない。
銀河から届く光の波長が赤方偏移することから知られ、一般にはドップラー効果で説明されてきた。
しかし、運動する音源の場合と違って、観測する波長が方向によって長かったり短かったりする訳でない。
遠くの銀河ほど速く遠ざかるのは見かけでのこと。
どこの銀河であれ、その近くで観測すれば宇宙空間はほとんど同じ速度で膨張している。
どこの銀河であれ、近くを通過する光は遥かに高速で銀河を追い越していく。

ハッブルの公式で、銀河までの距離に大きな数を代入すれば光速を超える後退速度が求まるが、それは見かけの距離。
宇宙空間の膨張速度がアインシュタインによる制限速度に違反する訳でない。

そのように納得したところで改めて疑問に思うのは:
ハッブルの公式に無限大の距離を代入して解釈することは、そもそも間違っているのではないか。
無限大や無限小を考慮するなら、空間の膨張は時空の膨張として議論すべき。
宇宙の果てや宇宙の始まりは、ドップラー効果による赤方偏移の解釈を延長する範囲を超えているのではないか。
ビッグバンの時に宇宙の中心で生じた光が、宇宙背景放射として何故どうやって今の地球に届いたのか。

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