
みみ爺、去年の暮れに脳のMRIと3DCTという最新のハイテク検査を受けたんだよ。そしたらなんと、見つからなくてもいいものが見つかってしまったんだ。未破裂脳動脈瘤というやつなんだよ。幸いにそいつはまだ小さいもので、すぐに破裂する確率は小さいらしいけれど、いつかは爆発する。それが早いか遅いかは医師でもわからない。爆発したらその時は、みみ爺の人生は一巻の終わりというわけだよ。で、そいつはある程度大きくなったら、破裂しないように手術が必要になるらしい。だが、手術によって後遺症が残るかもしれないし、悪くすると手術中にあの世行きになるかもしれないんだ。かなり危険な手術らしいんだよ。
「もう少し大きくなったら手術をしたほうがいい。しかし、すぐに手術してほしいという患者さんもいる。今すぐ手術するかどうかは患者さん自身がよく考えたうえで決めてほしい」
と医師は言う。帰り際に看護師がいきなり
「手術は受けますか」
なんてきくんだ。冗談じゃない。手術なんか今受けるつもりは毛頭ない。まだ手術は受けなくても大丈夫だ。と思う。医師の説明もたしかそんなニュアンスだった。
みみ爺、今年は64歳になるんだ。まだまだ若いつもりでも、体力が年々落ちていくのがわかるよ。あと何年峠を走れるかわからない。だから今年は頑張る。生きているうち、走れるうちさ。もっとも峠を上っている途中であの世ということもあるかもしれない。でも、それはそれで仕方がないさ。ああ、もっと早くから自転車旅をしていたらなあと、つくづく思うよ。

今年はなるべく楽に峠越えをしたいねえ。ギアーを軽いものに変えることにしたよ。今までもチェーンホイールはトリプルだったけど、インナー26Tが使えるスギノのクランクセットにしたんだ。それに合わせてBBも変えたよ。取り外した古いBBはだいぶ回転が渋くなっていたね。新しいBBはタンゲの110ミリだ。とてもなめらかに回る。チェーンラインもばっちり決まったよ。

スプロケットも変えた。ロー側が32Tだ。ランドナーというよりMTBだね。爺さまの峠越えにはこのくらいでいいかもしれないねえ。へへ。きっと軽くペダルを回せるだろうねえ。速く走る必要はない。のんびり、ゆっくり、楽しく峠旅ができればいいのさ。ああ、早く林道や峠に出かけていきたいなあ。

リアディレーラーもMTB用の新品に交換したよ。とても調子がいいねえ。

この頃、少しずつ日がのびているねえ。窓越しのほの暖かい日差しを浴びていると、何となくそわそわしてくるんだ。こたつの上に地図を広げて、日がな一日眺めている。ああ、ここも行きたい、こっちも走ってみたい。峠道や林道を地図の上でたどっていると、いつの間にか空想が広がり、その地を走っているような気持ちがしてくるよ。早く暖かくならないものかねえ。春が待ち遠しいねえ。みみ爺は寒がりだからね。
死ぬまでに行きたいところをいくつかあげてみたよ。
房総半島林道旅
盆堀林道
有間峠
厳道峠
鋸山林道
柳沢峠
クリスタルライン
木賊峠
坤六峠
三国峠 中津川林道
大弛峠
せめてこのくらいは走っておきたいなあ。大弛峠はなんとしても走っておきたいが…みみ爺、このうちいくつ走りきれるかねえ…

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