奥田英朗 著
中学二年生の名倉祐一が部室の屋上から転落し、死亡した。屋上には五人の足跡が残されていた。事故か?自殺か?それとも…。やがて祐一がいじめを受けていたことが明らかになり、同級生二人が逮捕、二人が補導される。閑静な地方都市で起きた一人の中学生の死をめぐり、静かな波紋がひろがっていく。被害者家族や加害者とされる少年とその親、学校、警察などさまざまな視点から描き出される傑作長篇サスペンス。
奥田氏は普段、軽いコメディータッチの物が多いように思うけど、時々こういった本格的なミステリを書いちゃうから凄いよね。
今回は中学生の死をきっかけに露呈したいじめ問題を題材にあたっているが、まあこんないじめはまだまだ優しい方じゃないかと思うよね。
そもそも亡くなった本人が自分からいじめられに行ってるようなもんだから、亡くなったのは結果でしかなくて正直あまりかわいそうには思えない。
ただ面白いのは、子ども達に翻弄される大人達。
自分の子はとても優しい子で、絶対にいじめになんて荷担しているはずがないと思い込んでる親、我が子が学校ではそれなりに友達と仲良くしていると思っている親、それぞれが全く違うイメージを持ちながら、とにかく我が子を守りたい一心でなりふりなんて構っていられないのだろう。
そんな心情がとても上手く描かれていて、奥田氏の筆力の凄さを感じる。
そして子供絡みの事件の捜査の難しさも、なるほどと思わせる。
自分が中学生だった頃を思えばとても納得がいく言動、なんともあの頃を懐かしくも思わせてくれる一冊だったかな。
ちょっと分厚い本ですが、ステイホームに読書でもいかがでしょうか?
オススメの一冊です。
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