金曜の午後はシネスイッチで映画。
『アメリカ、家族のいる風景』(原題 Don't Come Knocking)は思ったほどのめり込む映画ではありませんでした。
主人公のハワード(サム・シェパード)は落ち目の俳優。突然、撮影中のロケ地から馬に乗って逃亡します。故郷へ戻り30年ぶりに母の顔を見る。(男って結局、最後はお母さんなのかしら)
母親から「ずっと昔、妊娠した女性から、あなたの行方を知らないかという電話があった」と言われ、ハワードは心当たりのあるモンタナへ向かいます。もしかしたら自分の子供がそこにいるのか、いや突然、子供がいると聞かされたけど、本当はその女性ドリーンに逢いたくて行くのか。
ドリーンは昔働いていた同じ店でまだウェイトレスをしていました。店内にはハワードのポスターが張られています。ドリーンには息子アールがいて、やはりハワードの子であるという。
ドリーンの働く店に、壷を抱いた奇妙な女の客がいて、ハワードを追いかけ始める。スカイというその女の子も別の女性との間にできたハワードの娘で、壷の中身は亡くなった彼女の母の灰でした。
息子は猛烈に反発、娘はひたすら父を求める。
ハワードは失ったものを取り返そうとドリーンに結婚を申し込むのですが、彼の弱さ、いい加減さを知っている彼女はただ去って行くのです。
(左・スカイ 右:ドリーン)
撮影に連れ戻されることになったハワードは「ジイさんの車だ」と言って、キーをアールに投げて寄こします。
この“家族”の今後はどうなるんでしょう。スカイ、アール、アールのガールフレンドの3人が、オジイちゃんの車で仲良くドライブするラストは、新しい絆を素直に喜んでいるような、そんな気がしたんですけど。
酒と女に溺れた若い日々。ふと立ち止まり、振り返ったとき、そこに何の意味もないと気付いてしまった時の耐え難い孤独。しかし、息子がいた。娘もいた。失われたものと新たに生まれる愛を描いた映画です。
ドリーンを演じたジェシカ・ラングは、私生活上でもサム・シェパードの長年のパートナーです。サム・シェパードは『ライト・スタッフ』という映画で、音速に挑戦し人類初の有人超音速飛行に成功した、空軍パイロット、チャック・イェーガー役が初見(サムの本職は劇作家)。背が高くてハンサムだったけど、『アメリカ、家族のいる風景』ではシワシワになっていた。
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