『エクソシスト』以来の悪魔祓い映画。あの映画も衝撃的だったけど、『エミリー・ローズ』の何がすごいかって、主人公のエミリーを演じるジェニファー・カーペンターの存在です。特撮(視覚効果)に頼らない実際の肉体で表現した悪魔憑きの演技。
身体がねじれて固まっているシーンなど、本当に悪魔が憑いているんじゃないかと思うほど不気味でした。
ベースになった実話というのは、1968年旧西ドイツで起こった事件です。16歳のとき奇妙な発作に見舞われるようになったアネリーズ・ミヘルは当初、精神科の治療を受けていましたが、一向に改善せず悪化するばかり。本人や両親の希望で、信頼を寄せるアーネスト・アルト神父に悪魔祓いを依頼するが、司教区の司祭からは許可が下りない。悪魔祓いが行われるまで実に7年の月日を費やします。10カ月にわたって繰り返された悪魔祓いは成功せず、1976年7月にアネリーズは衰弱死してしまうのです。
神父は逮捕され、裁判で、アネリーズを入院させるか、強引にでも食事を摂らせれば死にいたることはなかったと有罪判決を受けます。
映画の中で、ある医師は「精神的疾患の症状をたくさん診てきたが、患者が発作を起こしたときでも、その患者を恐ろしいと思ったことはない。しかしエミリーの症状を見ることは怖かった」と証言します。
拘置所に入っている神父、自宅にいる弁護士に不思議なことが起こります。夜中の3時になると「123456」と数える声が聞こえたり、時計が止まってしまったり停電したり。
悪魔祓いで神父は執拗に「お前は誰だ、名乗れ」と言うんですけど、「123456・・123456・・」とエミリーの口から聞こえる。6つの悪魔がとり憑いているんです。
弁護士のエリンは不可知論者(神はいるかもしれないが、経験したこと以上のことを知ることはできないという思想を持つ人=私はこのタイプに近いが神を肯定するところまでは行っていない)で、最初は悪魔祓いに懐疑的ですが、身の回りに起こる不思議な出来事と、神父の信念に触れ、彼の無実を心から信じるようになります。
信仰か科学かの狭間で揺れ動いた陪審員は、結局有罪の審判を下しますが、異例の提案をします。「刑期を本日で終了するというのはどうでしょう」と。裁判長もそれに同意し、実質無罪の扱いになるのです。
一番すごかったのは、やはり悪魔祓いのシーンです。
しかし、なぜエミリーは選ばれたのでしょう。欧米に悪魔憑きはあっても日本にない(知られてない?)のはなぜでしょう。
悪魔が活動を始めるのは午前3時で、その時、必ず物が燃えているような臭いを感じるそうです。
もし、この時間に目が覚めて、キナ臭い、焦げ臭いと感じたらご用心!ですよ。今度悪魔に狙われるのはアナタかもしれません。
◆公式サイト ⇒ 『エミリー・ローズ』