金曜の午後、シネスイッチ銀座でマキノ雅彦初監督作品『寝ずの番』を観ました。R-15指定です。
マキノ雅彦は津川雅彦サンのことで、マキノ姓を名乗った初監督作品です。その初監督作に選んだのが、2004年に亡くなった中島らも原作の『寝ずの番』。
上方落語界重鎮の笑満亭橋鶴は今まさに臨終のとき。弟子が師匠に「最期に、これやっておきたかったということはありませんか?」と聞いて、師匠が答えた言葉を弟子が勘違いしたことから起こる騒動から始まります。
瀕死の状態である師匠のベッドに上り、自分に近づく弟子の妻を見つめる師匠の目は「な、なにが始まるんやろ・・・」と言っています。実は「外が見たい」だけなのに~(笑)。
師匠の通夜の席でも、落語「駱駝」にある“死人のカンカン踊り”を実際にやってみようという、まったくもってバチアタリな提案が・・・。噺家さんたち、玄人だから許されることなんでしょうねぇ。根底にあるのは師匠への愛です。
師匠が亡くなり、一番弟子が亡くなり、終いには師匠のおかみさんまでが亡くなり、寝ずの番は続きます。通夜の席で出てくるのは、たくさんの思い出話。そのひとつひとつが悲しいのに面白くておかしい。
葬儀に出る人たちという役で、中村勘三郎、米倉涼子、浅丘ルリ子、桂三枝、笑福亭鶴瓶が実名でカメオ出演。津川雅彦サンの一人娘である真由子サンも末弟子の妻という役で出ています。
でもこの映画、テレビでは放送できないだろうなぁ。放送禁止用語や春歌がたくさん出てくるんです。
時々、セリフとセリフの間(ま)が気になるところがあったけど、初監督作品としては大成功じゃないでしょうか。津川雅彦、いやマキノ雅彦の映画センスって結構いいかもしれない。
◆公式サイト ⇒ バチが当たるほど面白い! 『寝ずの番』