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トーマス・グラバー 第四章 グラバー長崎での活躍  船舶を一隻受注

2024-08-04 19:52:01 | 秘密結社 フリーメーソン、イルミナティ、秘密結社など、

トーマス・グラバー 第四章 グラバー長崎での活躍  琉球王国の危うい歴史https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5204c5043191bb6155d8066f23d1b037
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船舶を一隻受注

さて、脇道へ大きくそれてしまったが、グラバーと五代の商売へ話を戻そう。 グラバーは五代が薩摩藩で取り扱っている数々の商品手帳を眺めながら、「五代さん、これらの商品の中からどれを輸出するか検討して欲しいということですね」。  「いや、そうじゃない。 薩摩藩にはこれだけの誇るべき商品がる。 だから薩摩藩はとても裕福で安心して取引できるということを、先ずはグラバーさんに知ってもらいたかったのです」。

「ええー? そうすると五代さんの私への話は何なのですか」。

「グrラバーさん、私はあなたをとても信頼しています。だから今から私が話すことを絶対に多言しないでいただきたい。 実はわが藩がいち早く手に入れたいのは蒸気船なのです」。

 

グラバーは驚きの目で五代を見つめながら「蒸気船は幕府のご禁制でしょう」。  「いや、ご禁制になっているのは戦艦だけです。 私たちが求めているのは一般の商船なのです」。  「しかし蒸気船ですよね。 これも将軍の許可が必要なはずでしょう」。

「ええ、でもそれは心配いりません。 幕府を仲介に立てて買い取る方法があります。 事実長崎のとなりの佐賀藩は昨年、蒸気船「電流丸」を買っています。 これは幕府の仲介によるものですよ」。

 

グラバーが「その船はどこで建造されましたか。 売った仲介人は誰ですか」。

「オランダ領事の商会ときいております。」

「幕府がもしそれを許すと言うなら、わたしはあなたの依頼に応えたい。 ただしイギリス本国の新造船が現在どういう状況にあるのか、よく調べてみないとわかりません。 新造船がない場合は、中古船を探してみなければなりません。 今日、明日すぐにでもというわけにいきませんが、JM商会の上海店にすぐにでも問い合わせてみましょう」。

 

グラバーの顔に緊張と同時に喜びの顔が走った。 しかし、価格の張る船舶の注文には「これはとてもラッキーだ。 よし、先ずはこの船舶を確保しよう」。 グラバーは自信家なのか、楽観的なのか、五代が「何卒よろしく」と言い、帰っていくと、船舶代金は未だ一両も入金されていないというのに、もう何万両という大判、小判がグラバーの頭の中を駆け巡っていた。

 

二、三日して再び五代が訪ねて来た。 「グラバーさん、船舶は茶葉の何十倍という大金が動きます。 くれぐれも慎重を期して下さいね」。

「五代さん、大丈夫です。 未経験の私としては重荷ですが、この商談はマッケンジーさんが請け負います」。 グラバーは取り合えず、横浜在住のマッケンジーに、できるだけ早く長崎に戻ってくるようにとの手紙を出した。

 

この頃はまだ電話は普及しておらず、遠方への連絡は手紙しかない。グラバーはJM商会の上海支店にも手紙を出した。 何しろ大金の商談だ。グラバーのペンを持つ手が震え「落ち着け、落ち着け、こんなことで震えているようでは大商人にはなれないぞ」 そう自分に言い聞かせた。

 

 

 

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この本には、歴史的に貴重な写真、図、文献なども数多く掲載されている秀逸な作品ですが、それらをPDF化して皆さんに紹介することもできますが、著者と発行所の『長崎文献社』に敬意を払って、全てを紹介するのは、控えたいと考えております。

 

 

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