2024年7月にゼレンスキー大統領が米国を訪問した際にジョンソン下院議長(共和党)と会談した=ロイター
【ワシントン=飛田臨太郎】
米共和党が11月の米大統領選を前にウクライナが民主党寄りの行動をして、選挙に介入していると批判を強めている。
ジョンソン下院議長(共和党)は25日、ゼレンスキー大統領が22日に11月の大統領選の激戦州を訪ねた際に、民主党議員のみが同行したと問題視し、企画した駐米ウクライナ大使の解任を求めた。
ゼレンスキー氏は国連総会に合わせて米国を訪問中だ。22日は東部ペンシルベニア州の砲弾生産工場を視察した。ジョンソン氏は、米メディアにも取りあげられたなかで共和党議員が「意図的に排除された」と訴えた。
ゼレンスキー氏に書簡を出し「このツアーは明らかに民主党を助けるために設計された党派的なキャンペーンであり、明らかな選挙干渉だ」と記した。
共和党が多数を占める連邦議会下院では、監視委員会のジェームズ・コマー委員長がゼレンスキー氏のペンシルベニア訪問を調査すると発表した。関連する米政府機関に、訪問を調整した時の内容を提出するよう要求した。
もともと共和党はバイデン政権によるウクライナへの支援に慎重な議員が多い。下院・共和党の反対で、ウクライナ支援のお金は途絶えつつあったが、4月に議長のジョンソン氏が動いて、超党派で追加支援の法案をまとめた経緯がある。
ジョンソン氏とゼレンスキー氏の間で対立が生まれれば、米議会のウクライナ政策に影響を与える可能性がある。
大統領選まで残り1カ月強となる中、共和党はゼレンスキー氏の最近の発言が民主党寄りと感じている。
ゼレンスキー氏は米誌ニューヨーカーのインタビューで「トランプ前大統領は戦争を止める方法を知っていると思っているかもしれないが、本当は知らないと思う」と触れた。
共和党の副大統領候補のバンス上院議員の対ウクライナ政策は「過激すぎる」と非難した。
バンス氏はトランプ氏が再選した場合、ウクライナとロシアの戦争を交渉で早期に終結させると主張。ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)に加盟せず、中立国とし、非武装地帯を設けるなどと唱えている。
ゼレンスキー氏は26日に民主党のバイデン大統領やハリス副大統領と会談する。トランプ氏とも直接会って話す可能性がある。
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日経記事2024.09.27より引用