SPEはアポロと組み、5月上旬までにパラマウント側に買収提案を提示していた
ソニーグループが米メディア大手パラマウント・グローバルを巡る買収合戦から撤退したことが分かった。
パラマウントは7月上旬、米映画製作大手スカイダンス・メディアによる買収を承認したが、45日間を猶予期間として他社の買収提案を受け付けている。
ソニーGは条件面で折り合えなかったとみられ、再提案を見送った。
ソニーGの映画事業会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)は米投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントと組み、5月上旬までにパラマウント側に買収提案を提示していた。
パラマウント傘下で名門映画スタジオのパラマウント・ピクチャーズは往年の名作「ゴッドファーザー」などの有力なコンテンツを抱える。
ソニーGは映画について、音楽やゲームとの間の相乗効果を生む「コンテンツ事業のハブ」と位置づけており、同社のコンテンツや人材を取り込むことでグループ全体の成長につなげる狙いがあった。
パラマウントは事実上のオーナーであるレッドストーン家が非上場企業の「ナショナル・アミューズメント(NAI)」を通じて議決権の約8割を握っている。
レッドストーン家は映画スタジオ、放送、配信といった各事業のばら売りには後ろ向きだったとされ、主に映画スタジオの買収に関心を示していたSPEは条件面で折り合えなかったようだ。
ソニーGは今後3年間でM&A(合併・買収)など成長投資を1兆8000億円実施する計画を掲げており、今後もエンターテインメント事業の強化につながる会社買収に取り組む。
十時裕樹社長は5月の経営方針説明会で「有力な知的財産(IP)やライブラリー、音楽カタログの買収には関心がある」と述べていた。
ソニーGは今年度に入り、アポロと連携を重ねている。米ソニーミュージックグループは同社から7億ドル(約1000億円)を調達した。
調達した資金は楽曲が映画やテレビ番組などで使われるたびに使用料を得られる音楽版権の買収に充てるとみられる。アポロが7月26日に発表し、「この投資によりソニーの事業計画を支援できる」とコメントした。
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日経記事2024.08.07より引用