Rimshot!!!!

映画観たり、アメコミ読んだり、占いしたり。

基礎からのアメコミ映画講座:はじめに(その1)

2011-12-05 | 映画
2011年も残すところ1ヶ月弱。
今年もアメコミ原作映画が公開されましたが、
来年はいよいよ大作「Dark Knight Rises」と「The Avengers
Amazing Spider-Man」が公開、
その後もまだまださまざまなアメコミ原作映画が控えているようです。

ということで、これから数回にわたって
アメコミ映画を楽しむための基礎知識的なもの・・・
これまでの映画シリーズの流れや原作についての基礎知識などを
発信していければ、と思っております。

まず、今回はプレリュード(前奏曲)ということで
「アメコミ」というものの成り立ちの歴史についてざっとおさらいを。

まず、アメリカンコミックの歴史は新聞掲載の漫画「イエローキッド」から始まりました。
今の日本でいえば「あたしンち」や「毎日かあさん」のような形で
新聞に漫画が掲載され、それを毎週全米で楽しく読まれていたわけです。
(ちなみに、アメリカの「普通の大人」が読む漫画は基本的に新聞漫画だけです)
この新聞漫画を「コミックストリップ」と呼びます。
新聞漫画は読者の求めに従う形で、ジャンルも少しずつ広がっていきます。

さて、「漫画だけまとめて読みたいよー」という需要が出てまいりまして
新聞漫画を一冊にまとめた単行本的な本が出るようになりました。
これが「コミックブック」の始まりになります。
で、コミックブックの需要が高まることで、新聞再録だけでは漫画が足りなくなり
コミックブックオリジナルの漫画を始める必要が生じてきます。

そして1938年、コミックブック界に大事件が起こります。
今まで探偵ものや怪奇物というジャンルはすでにありましたが、
SF小説などをヒントに、人間を越える超人の英雄が初めて
コミックの主役として登場したのです。
この「スーパーマン」から、「スーパーヒーローコミック」としての
アメリカンコミックの歴史が始まります。
そして翌年、探偵コミックの一つとして怪奇路線をプラスし、
不気味な衣装に身を包んだ、卓越した頭脳と鍛え抜かれた肉体、
そして両親が遺した財産を除けば普通の人間によるヒーロー・・・
「バットマン」の登場で、「スーパーヒーロー」の軸が決まることになるのです。
(「ワンダーウーマン」の登場で、あとここに「性別」の軸が加わります)

第2次大戦は、コミックブックとスーパーヒーローに最初の黄金期をもたらします。
「キャプテン・アメリカ」に代表される多くのヒーローが生まれ、人気になり、
ヒーローたちの中には戦地に赴き、枢軸側と戦うものも現れ始めます。
しかしこの最初の黄金期は戦争が終わるとともに終わっていきます。

50年代は少女向けなどさまざまな路線を各社が実験することになりましたが
その中で怪奇コミック(とくにECコミックスという会社のもの)が
人気になっていき、どんどん過激な描写を競うようになってきました。
その中で規制論がどんどん大きくなっていき、コミックスコードという規制ができ、
コミックは日陰の存在となっていきます。
そして表に出るジャンルとしては、ほとんどヒーローコミックのみという
状態になっていくのです。

61年、マーベルコミックスはヒーローコミックに一つの革命をもたらします。
今までの完全無欠のヒーローとは違う
「最初からチームだけど、時には喧嘩もし、チーム内で恋愛もし、悩みを抱える」ヒーロー、
ファンタスティック・フォーの誕生です。
この「等身大の悩めるヒーロー」路線は沈滞していたコミックシーンに光を与え、
ここに第2の黄金期が始まります。
(この路線の代表が63年に生まれたスパイダーマンでしょう)
そして時は冷戦真っ只中、ベトナム戦争の時代を迎え、
ドラッグカルチャーやヒッピームーブメントなどの中で
日本でたとえるなら「ガロ」的なアンダーグラウンドコミックもこの時代に生まれます。

そしてヒーローコミックも、ドラッグや反戦運動、人種差別などの問題を
コミックの中に織り交ぜていくようになります。
世間がTVドラマ版「バットマン」などでアメコミに能天気なイメージを持っている裏で
アメコミはどんどん複雑化していったわけです。

80年代、DCコミックスは戦前から続いてきたタイトルなどを一端整理するために
「スーパーマン」「バットマン」を一端終わらせることにします。
また、この年代にはイギリスで独自のコミックを書いてきた原作者たちが
アメリカに渡って活躍するという時期にもなっておりました。
ここからアメコミの歴史に残る大傑作が生まれることになるのですが
そこはまた次回の講釈で。
(映画の話にはいつ入れるのだろう・・・)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする