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基礎からのアメコミ映画講座:Road to「Avengers」#1

2012-08-15 | 映画
(しまった、バットマン編終わらせて終わったつもりになってた・・・)

はい、帰ってきたアメコミ映画講座でございます。
うっかり終わったつもりになっていたら
「アベンジャーズ」が公開されてしまいましたよ(汗)

というわけでこれからは、「アベンジャーズ」が公開されている間に
この大作に登場するヒーローたちを紹介していきたいな、と
思っておりますので、今しばらくおつきあいください。

まずは「アベンジャーズ」までの道のり、として
「キャプテン・アメリカ」というキャラについて、から
スタートしていきたいと思います。

1939年、「スーパーマン」という衝撃・・・
『スーパーヒーロー』という概念の発明に影響されて
新興出版社であったタイムリィコミックス社(後のマーベルコミックス社)は
「MARVEL COMICS」でコミック業界に参入するとともに
最初のヒーローである、全身を炎に包んだ人造人間
「ヒューマン・トーチ」を生み出します。
(同名・同能力の「ファンタスティック・フォー」のメンバーとは別人)
続いて人類とアトランティス人のハーフである
海の皇子「サブマリナ―」の誕生、そしてこの2者の共演による
初の「クロスオーバー」から、
無限に広がる「マーベル・ユニバース」が誕生したのです。

ヨーロッパに、アジアに、戦火が広がりつつも
アメリカにとってはまだ「対岸の火事」であった41年春。
ナチのスパイをぶっとばし、アメリカを守る正義のヒーローが誕生します。
星条旗をモデルにしたコスチュームに、武器にもなるシールドを持った
アメリカの守護者「キャプテン・アメリカ」の誕生です。

強い愛国心を持ち、兵士として戦いたいと思いながらも
その虚弱体質ゆえに徴兵検査も不合格となったスティーブ・ロジャース。
その強い心に感銘を受けたアメリカ軍は、
彼を「超人血清」の実験台に選びます。
危険な実験を成功させ、人類最高の肉体を手に入れた彼は
アメリカのシンボルである星条旗をあしらったコスチュームを身にまとい
「キャプテン・アメリカ」として枢軸側や犯罪者と戦うことになるのです。
彼の正体をひょんなことから知り、過酷な訓練の末、
彼の相棒として戦うことになる少年兵士バッキーとともに。

一人で、バッキーと二人で、
時には同時代の多くのヒーロー(All-Winners Squad)とともに
ナチスを始めとした枢軸国(当時の日本もこちら側だったわけですが)と
戦ってきた超人兵士であるキャップ。
しかし、終戦間際に北大西洋でのナチスとの戦いでバッキーとともに
飛行機の爆発に巻き込まれ冷たい海の中へと消えました。

数十年の時が流れ、結成されたばかりのアベンジャーズに
氷漬けになったキャップが発見され、蘇生。
現代に蘇った「生ける伝説」は、アメリカという国の変化や
新しい文化や文明に戸惑いながらも
ヒーローたちのリーダーとして宇宙からの脅威や邪悪な神、
世界征服を企むネオナチ組織や犯罪者と戦っていくのです。

・・・というのが大まかなキャプテン・アメリカの物語なのですが
実は終戦からアベンジャーズでの復活(64年)の間の約20年の間の期間
(ゴールデンエイジ後のアメコミ冬の時代)にも
キャプテン・アメリカのコミックは発売されておりました(だいたい1950年まで)。
しかしアベンジャーズでの復活設定と合わせるため
「1945年以降、復活までのキャップは別人」という設定となり
中には「キャップにあこがれる人種差別主義者の狂人」というキャラ付けで
キャップの敵となる存在まで現れるようになりました。

さらにキャップを生んだ「超人血清」や「超人兵士計画」についても
「アメリカ政府」に対する読者のスタンスの変化が反映されていき、
『キャップ誕生前に黒人で人体実験され、多くの死者や廃人を生んだ』という
設定などが付加されていったり、冷戦下で続いた超人兵士計画が
ウルヴァリン(ウェポンXの「X」はアルファベットではなくローマ数字の「10」)
に代表される多くのキャラを生んでいくことになります。

また、キャップ自身もアメリカの変化に対し、
時にそのアイデンティティを揺さぶられたりもいたします。
日本で誤解されがちな点として「アメリカ政府の犬」的な見られ方を
されているキャラではあるのですが、
彼が信奉するのは「アメリカンスピリット」・・・
理想としての自由と平等の国・アメリカであり、
実際の(作中の)アメリカ政府がそれに反することを行えば
『キャプテン・アメリカ』という名やコスチュームを捨ててでも
それに立ち向かう、という側面も持っています。

2000年代に入り、同時多発テロ→イラク戦争という現実世界の流れの中で
そのキャラクターに改めて注目が集まったキャップ。
その中でのかつての相棒・バッキーのまさかの生存展開や
ヒーロー登録法を巡るヒーローを2分する「シビル・ウォー」、
その末の「死」と「復活」・・・と
ある意味どのマーベルヒーローよりも大きな変化を体験した
そんなキャラクターなのかもしれません。
(スパイダーマンの「ワン・モア・デイ」展開も相当なものでしたが)

そんな「アメリカの理想」を体現する「ヒーローの中のヒーロー」である
キャプテン・アメリカですが、映像化にはなかなか恵まれませんでした。
70年代に超低予算のテレビムービー「爆走ライダー!超人キャプテン・アメリカ」が
作られたほか(こちらは日本未公開の続編あり)、90年にイギリス映画として
「キャプテン・アメリカ 卐帝国の野望」が作られ
アメリカ・日本ではビデオスルーされたくらいでした。
そんなキャップがついに真っ当に映画化されたのが
今回の「アベンジャーズ」の序章となる
「キャプテン・アメリカ:ザ・ファースト・アベンジャー」でした。

第2次大戦を舞台に、スティーブ・ロジャース役を演じるのは、
「ファンタスティック・フォー」シリーズで
ヒューマントーチを演じたクリス・エヴァンス。
FFでのチャラさを感じさせない誠実なヒーローっぷりを見せています。
宿敵・レッドスカルを演じるのはヒューゴ・ウィービング。
「マトリックス」のエージェント・スミス、
「LotR」のエルロンド、そして「V・フォー・ヴェンデッタ」の仮面の男・Vと
人外的な役が多めな役者さんですね。
この映画で登場する「コズミック・キューブ」が「アベンジャーズ」でも
ストーリーに大きく関わってくることになりますが
そこは実際に作品を見てお楽しみくださいませ。

そして、「アベンジャーズ」での現代での復活後も
すでに「キャプテン・アメリカ2」が決定、
(原作は邦訳もされている「ウィンター・ソルジャー」!)
さらにその先には「アベンジャーズ2」も待っていると
まだまだスクリーンでこの「アメリカの理想」の物語が楽しめそうです。
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