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ポップ・アート 1960's→2000's

2015-09-15 | アート
シルバーウィーク前に行っておこう、と思いまして
熊本市現代美術館で9月27日まで開催の
「ポップ・アート 1960's→2000's From Misumi Collection」に14日に行ってきました。

1950年代イギリスで生まれた、大衆文化を取り込んだ芸術活動の総称が「ポップ・アート」です。
(1956年のリチャード・ハミルトンの広告をコラージュした作品
一体なにが今日の家庭をこれほどまでに変化させ、魅力的にしているか」で
ボディビルダーが持っているキャンディに書かれた「POP」が語源という説がありますが
大衆文化と芸術の関係についての研究の中で生まれた言葉というのが正解のようです)
この展覧会では、株式会社ミスミが保有するコレクションを中心に
いくつかのテーマに沿ってこのアートの現代までの流れを追っていく
そんな展覧会になっております。

まず入ってすぐに展開されているのはロイ・リキテンスタインの作品たち。
コミックの1場面をモチーフに、印刷の網点(ベンデイドット)まで手書きしたものを
リトグラフやシルクスクリーンといった版画の手法で作品化していく
(コミックのコマをそのまま拡大したものと誤解されがちですが、実際はそういう行程を経ています)
そんな作品たち(「ズドン!」や「いい夢でも見てな!」などの教科書でも見る作品も)に
「筆触」やどんどん抽象化されていく「雄牛I」「II」「III」の連作といった抽象作、
立体作品(ブロンズ)である「化学による平和」などが並びます。
この夏に見に行った佐世保での「アメリカン・ポップアート」でも展示されていた
「積みわら」も1枚展示されていましたが、これは連作展示がよかったかな・・・

次はディヴィッド・ホックニー作品を中心にしたイギリスのポップ。
ホックニー作品はエッチング→リトグラフ→フォトコラージュと手法は変化していきますが
「世界をどう知覚していくのか」という感覚が底に流れているように感じました。
ジュリアン・オビーの作品はマンガ的なシンプルなディフォルメ表現や
レンチキュラーを用いた立体感などが面白かったなぁ。

続いてポップアートで中心となっている技法である、
さまざまな版画の技法を作品とともに解説するコーナー。
できれば実際に制作する映像とかをつけてくれないと
文字だけの解説だとうまく伝わらないかなぁ・・・感。
子どもの鑑賞まで考えるような展覧会でもあるのなら、そこまでやってほしかった。

そしてこのジャンルのスーパースターである、アンディ・ウォーホル。
展示の大半は「キャンベル・スープ」のシリーズであり、
他は肖像画、マリリン、ミッキーマウスなど。
ポップアート全体の中の一部分、としての展示という印象が強かったです。

続いてはポップアートの手法を使いながらも
抽象絵画としての色合いの強い線と面のコーナー。
ポップアートの技法や色彩はこのジャンルとも相性がいいことがわかります。

続いてはキース・へリングとジャン=ミシェル・バスキアという2大スターを擁する
グラフィティアートのコーナー。
キース・へリングに関しては立体物も展示されています。
元は体制や商業主義に対する批判的色合いが強いグラフィティアートが
商売に食い込んでいくのは迎合なのか戦い方を変えたのか、というのは
見る人によって評価が分かれるところだとは思うのですが、
とりあえず俺はキース・へリングの絵ハガキを買いました。

そして2000年代の作品を集めた現代のポップコーナー。
現代美術の最前線として展示されているのは
デイヴィッド・ラシャペルのゴム風船シリーズと、
ヴィック・ムニーズの異素材を使って古典美術や肖像などを表現した作品たち。
(ムニーズ作品に関しては撮影も可能)
「現代美術の現在進行形」をもっといろんな作家で紹介してほしかったのですが
スペースや所有作品の関係で難しいのかなぁ・・・

最後にもう一度リキテンスタインの「泣く少女」を展示し、
最初と最後で同じ絵の見方がどう変わったか?を訴えるような締めくくり。
子どもたちに向けたスタンプなどで作品が作れるコーナーもありました。

けっこう期待値の高い状態で見たためか
「・・・えっ、これだけ?」と思ってしまった側面は否めないのですが
(展示とかに関しては前述の佐世保の展覧会のほうがよかったよね・・・)
ポップアート史を俯瞰する、ということに関しては面白い展覧会だった、と思います。

10月は長崎でのミナ ペルホネン展や福岡でのリサ・ラーソン展など
デザイン系の展覧会が楽しめそうな模様。
おもしろい展覧会に一つでも多く出会いたいものです。

コメント
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