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徹底した現場主義

2009-04-09 07:41:01 | りんどう・エッセイ
りんどうです。

学部での卒業は慶応義塾大学文学部ですが、実際最終学歴は、東京都立大学社会人類学研究生でした。

現在の首都大学東京大学院人文科学研究科社会行動学専攻社会人類学分野になります。指導教官は今年の3月に退官になりました。

当時、社会学専攻の中で、社会人類学(Social Anthropology)研究室がある形でした。先生に教えられたことは、徹底した現場主義の大切さでした。

社会人類学は、アメリカでは文化人類学になっていますが、社会学の方は、文学部系統では実学に近いこともあり最も人気分野で、今でも個別で見ていて小論文対策に入ってくる中では多い部類です。

社会人類学は”人類学”が主なわけですが、人類学は民族・社会間の文化や社会構造の比較研究としても理解されておりまして、数ヶ月から数年に渡って研究対象となる社会に滞在し、その集団の構成員の一員として生活する参与観察の手法を用いることが一般的とされています。

社会人類学は主にフィールドワークでの研究手法で行っていきます。参与観察とは狭義のフィールドワークで、現地社会での生活やその社会での活動に参加しながら行う密着・体験取材的な社会調査法です。インタビューをし記録を取りながら、フィールドワークの成果をまとめた民族誌(ethnography)という報告書にまとめていきます。

フィールドワークは、いわゆる参与観察・密度の高いインタビューといったものだけでなく、広義では調査としての聞き取り、質問票調査、心理テスト、文書資料検討、統計資料分析、文物収集があります。

対象に関する政府調査資料などというのは、あってしかるべきという前提はなく、
参与観察をはじめとするあらゆる調査手法を組み合わせて研究していきます。

フィールドワークでは、現場調査の密度が対象者によってバラツキのあるものになりがちであるのを考慮に入れて、作業時に配慮することも肝要になります。

参与観察者には調査者役割として4つのタイプがあると言われています。

・完全なる観察者
・参加者としての観察者
・観察者としての参加者
・完全なる参加者

どの部分では「参加」で、どの部分では「観察」の構えをとるのかによっても、最終的な民族誌に影響してくるでしょう。

また当事者・局外者という二つの視点を併せ持つ「第三の視点」が大切で、作業において見方が一面的になってしまう危険性に配慮することが肝要ともいわれます。

・・・以上は日本での学部教養課程で初めに習う教科書を参考に記しましたが、教授が背中で教えてくれたことは民族誌的調査であり「徹底した現場主義」でした。

有難うございました。
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