ケイ・ランゲージ・ラボ ことば工房NEO

広報&執筆・教材制作 ケイ・ランゲージ・ラボ公式ブログ!
東京都世田谷区上用賀6-27-5-303(事務局)

法律知識はとっても大事~著作権問題~

2007-02-23 23:42:45 | 広報・マーケティンググループ
(※以下にある内容は、すべて解決に至っているものです。ただ起業・SOHOを目指す皆様に役にたつ面があると考え、配慮をした上で掲載しております)

ベランダは、無農薬のベランダ菜園になっていまして、こまつな、だいこん、しその葉など、葉物野菜をたくさん植えています。世田谷区聴覚障害者協会・たましろの郷プロジェクトから頂いて栽培しているチューリップの球根も、根を張っていて、花は別のプランターにはいっています。

さらに家の菜園には、今話題の”ルッコラ”がたくさん植えてあります。ゴマの風味がする葉で、サラダにしてもとっても
美味!ご飯と一緒にそのまま食べてもゴマの味が引き出されて、どう食べてもおいしい便利な葉っぱです。
ラボで中国語を習う方に頂いたのですが、食べた後そのままにしておいたら、ルッコラの花畑!
ほかにも、小松菜の白い大きな花をはじめ、野菜を食べるつもりで栽培したものが、みんな花畑になってしまいました!

お花をてんぷらにして食べるのもいいんですけどね。野菜を作ったつもりなのに花畑って何をやっているんだか・・・
来年は、とった種からまた野菜を栽培しようと思っています!

今回はラボの業務が年度末に停止してしまうほどの騒ぎになった”著作権問題”について語りたく思います。

ある広告代理店から、Webに掲載する専門用語辞典に載せるための用語の選定と用語解説を書いてほしいという話がきました。
私は塾の教材を作るような話でないので、仲介人としてその分野を専門にする専門家に執筆を依頼しました。

その専門家の方は、自分でも仕事のためにその分野の用語集を作っているそうですが、その執筆のために他の仕事を断って、
たくさんの書籍を買って、インターネットでも調べながら書いたそうです。

それで出来上がりを納品したら、なんと「百科事典の2次使用だ」「盗用だ」と言い出したのです!

基本的にその分野を専門にして何十年従事して退職した方でしたが、これには本人も怒りだしてしまいました!著作権違反を言い出した
相手が争って決着をつけてもいいようなことまで言い出したので、それではそうしようか!ということで訴訟の準備をはじめました。

著作権侵害になっているような瑕疵・欠陥があるかないか、という話ですが、法律家の意見がまた何通りにもわかれてしまいました。
基本的に納品したものに対して、不払・支払拒否をすれば、代金支払請求ができるのですが、その請求の方法を訴訟がいいのか、
著作権なので、それに詳しい人を交えて専門調停にしたほうがいいのか、弁護士を入れて話し合い(ADR)にしたほうがいいのか、
・・・さらに、そもそも欠陥があるのかないのか、請求ができるのかどうか、というところにも意見が実に6~7とおり分かれて
しまっていました。テレビで「行列ができる法律相談所」というのがありますが、そこでも4人の先生の意見が4分されることがあります。
どういう選択をするのかは自分なので、考えを明確にしておく必要性を痛感しました。・・・

法律相談に行く際には、相談内容を整理しながら自分はまずどうしたくて、どういった方向性で進めたいのか、、問題の争点はどこにあって、
どう戦略をたてればいいのか、それに関する法律の基礎知識ももっていかないと、わけがわからなくなってきます。

幸い、友人で法律専門学校の講師がいたりして、基礎的な解説をしてくれてあったので、その点本当に助かりました。
特に、顧問弁護士でもないかぎり、話をしていて「相手の弁護士か!?」というような応対の回答をされる場合もありましたので、
何も知らない状態でそうなると完全にノックアウトになってしまいます。「持つべきものは友」というのも実感しました・・・

最終的には専門機関に文書鑑定へ持ち込むことになりました。結果は・・・著作権に触れるという結論でした。

不思議でした。・・・そもそも用語辞典は"辞典”なのだから、間違った記述があればそれは瑕疵があって、欠陥品だとわかるものの、
間違いが何かあったわけでもないし、どうしてそれが「著作権に触れることになるのか!?」と思ったわけです。

完全に納得しているわけではないのですが、著作権の難しさについてはわかってきました。

著作権には、個々の用語解説に関する著作権と辞典として編集されている編集物ですので編集著作権と2分されます。

新聞記事、雑誌記事、又は百科事典の記事や解説は、著作物にあたると考えられています。
著作権法10条2項は「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は著作物にあたらないことを規定していますが、
これは新聞や雑誌の記事全般を指すのではなく、催し物の案内や死亡広告記事のような「単なる日々の社会事象そのままの報道記事」
(東京地裁昭和47年10月11日判決)を指しており、通常の記事は、客観的な事実を素材とするものであっても、一定の観点と判断基準に
基づいて、記事に盛り込む事項を選択し、構成、表現するものであり、著作者の思想又は感情が表現されている著作物であるとする考え方
(東京地裁平成6年2月18日判決など)が一般的です。また、百科事典の解説も個々の事項に対する解説がそれぞれ著作物にあたる場合が
多いと考えられているそうです。

新聞や雑誌の記事、百科事典の解説を利用したといっても、記事や解説で説明されている事実、理論、思想を利用するだけの場合には
それ自体は著作物ではありませんので、著作物とはあくまでも思想・感情の表現されたもののことですから、既存の著作物から事実、
理論、思想を理解し、それ自体を既存のものとは違う方法で表現した場合には、既存の著作物を利用したことにはなりませんから、そ
の著作権との関係は生じません。

つまり、事典・辞典類でも、誰が書いても用語解説なぞは同じ記述になりうるもので、”著作物性のないもの”と私は思うのですが、
そうでもない、ということがうかがえます。

それとは別に新聞、雑誌、百科事典は編集物として編集著作権もあります。編集著作物とは、素材の選択又は配列に創作性のある著作物です(12条)。
新聞でいえば、記事が素材で、どの記事を掲載するかという選択、その記事をどのような順序、位置に掲載するかという配列、
それらの点で創作性があれば編集物が著作物として保護を受けるのです。この編集著作権は、個々の記事や解説の著作権とは別個のものです。
ある編集物から記事などを利用する場合でも、編集物全体やその主要な部分を利用していない場合には編集著作権は働きません。その場合に
は、個々の記事や解説の著作権だけ注意すればよいということです。

つまり、用語解説の文の中で、書き出しや、文体表現、語彙の選択・配列などが編集著作権に関係してくるということでした。

・・・ということであっても、疑問が残ります。日本語として自然な文章を作るときに、語彙の配列を入れ替えたりしたら、意味を成さなくなってしまったり
する危険性もあるのではないか?と思ってしまったりします。用語解説であれば、使うキーワードは限定されているので、世に出ている
用語集に何らかの形で似るのは普通ではないか、と思うのですが、確かに厳密にいえば、法律を見る限り、著作権法違反で争うならば、
違反になりうる、ということのようです。

結局、この長く続いたお話は、決着した過去の話ではあるものの、何かを創作する時の”著作権知識”という必要性については非常に痛感しました!
今回、私は仲介をした立場で書いた本人ではありませんでしたが、もっと学校や会社などでも、多くの方が知っておくべき知識のような気がします。
みんなが周知のルールならいざ知らず、ルールをわからずにいきなりこのような話が出たら、知らないうちに落とし穴にはまった気分になってしまいます。
何かビジネスをするときにも、作品を作るときにも、社会のルールの法律を一通り知っておくことの大切さを痛感しました。

また自分がよく学べなくても、法律のブレーンになる方が身近にいたり、そういった方に効率的に相談できるような”相談スキル”の
向上も大切なんだとしみじみと感じ入りました。・・・

【参考】著作権情報センター・Q&A
http://www.cric.or.jp/qa/sodan/soda

最新の画像もっと見る