雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

やればできる子

2008-09-28 | 雑記
 よく、「やればできる子」とか「やればできる人」などと耳にするが、実際問題、その「やる」ということが大変な事なのである。


 中学一年の時、国語の教師に感想文だかなんだかを書かされて、

「あなた、ちゃんと真面目にやればできるんじゃない」

 などと言われたのだが、その「真面目にやる」ってのがオイラにとってはとてつもなくムツカシイことなんです、先生。
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気をつけ、礼。/重松 清

2008-09-27 | 小説
 先生のお話。

 オイラにとって先生とのいい思い出話といえば、中学ん時の小柄だがやたら巨乳が目立ったS先生との思い出くらいだろうか・・・いや、それはさておき、六つの短編からなる、『気をつけ、礼。』について、一編ずつ簡単な感想を書いてみよう。

『白髪のニール』・・・いきなりニール・ヤングネタできたか!(笑)そんなカンジでしたが、なんだか読んでいくうちにロックする熱さ、ロールする真っ直ぐさが身に沁みてきて、胸が熱くなってきたけれど、実際こんな先生はいないだろー、というほうが強く、尚且つ、ラストが痛いくらい爽やかで、これぞ小説の成せる業だなぁ・・・と思いました。

『ドロップスは神さまの涙』・・・いじめ問題は、やっぱ読んでて痛いですね。それも、主観がその子供の場合は、とくに・・・でも、その痛さを知りつつ、「自分のことは自分で決める」と言い放つ保健の先生に、奥深い優しさとあたたかさが見えるんです。だから、鼻の奥が「ツン」ってきちゃう。

『マティスのビンタ』・・・ここら辺から、徐々に「泣かせ」に入っていきますね。こういうあやふやな終わり方、結構好きなんです。

『にんじん』・・・コレ、今回の中でいちばん好きだなぁ。先生だって人間なんだ、っていう、当たり前のことを、これだけダイレクトに描ける人ってなかなかいないと思う。読んでる途中、本当に嫌になった。だからこそ、ラストの同窓会のシーンがたまらなく良かった。

『泣くな赤鬼』・・・また、「やっちまったなー」重松。いやはや、「泣くな」言われても、これで泣かない奴はいねーだろ?重松清「泣きの王道」ですな。

『気をつけ、礼。』・・・これは、作者の実話なのだろうか?要所要所はエッセイなどと合致する部分も見受けられるが、やはりそこはそれ、創り物のお話であろうけど、この本の最後を締めくくるイイお話でした。

 たぶん、全てのお話は教師(先生)にまつわるエトセトラなんだけど、その根幹には「許す」という人間にとってとても大切な行動を描き出しているんじゃないかなぁ、と思います。勉強とか、世間の要領いい渡り方とかではなく、人間として生きていく上で、いちばん大切なことを教えてくれる、そういう人が本当の「先生」なんだと思います。
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指先の媚薬

2008-09-25 | 雑記
 先日、床屋へ行った。

 髪を切って、お顔を剃って、シャンプーしてもらって(いずれも男性スタッフ)、さぁて、あとは髪を乾かしてもらうだけだねー、というところで、おもむろに若い女性スタッフ(平山あや 似)登場!

 うひょう!トキメク胸のうちで感嘆の声を洩らしていると、おねぇさん「お顔にクリーム塗らせていただきますねー」

 うひゃおう!高鳴る鼓動に震えながら「は、はいー」とあどけないお返事をする三十過ぎのおっさん。

「椅子、倒しますねー」

 どひゃおう!童貞男子の如き期待を抱きつつ、おねぇさんの為すがままにされるオナニー大好きのおっさん。

 なんだか照れ臭くって、そっと瞳を閉じて、君を描いたりなんかしちゃったりなんかしてたら、おねぇさんのちっさくてちょっとひんやりした指先がおでこやほっぺた、あごの辺りにクリームを「ちょこん、ちょこん」とつけはじめた。

「あ・・・・」

 思わず吐息が洩れそうなのを理性で抑える。しかし、すぐにおねぇさんの柔らかく小さな指先が滑らかに顔全体を撫で回し始めると、理性もヘッタクレも吹っ飛んでしまう。口元が自然に微笑する。たぶん、気持ち悪いおっさん。

 しかしこのところ、若い女性との接触などトンとご無沙汰なので、どうあがいてもよからぬ妄想は膨らんでしまう。


 ほわんほわんほわん・・・・(以下、妄想)

「ハーイ、それじゃあ、おチンチンにもクリーム塗らせていただきますねー」

「えっ!あ、あ、はい!」

「あー、なんだかもう、はち切れんばかりですねー。それじゃあ、ズボンとパンツ、脱がしちゃいますねー」

「あ、い、いえ、じ、自分で脱ぎ・・あ、やっぱ、お願いします・・・」

びよょょ~ん♪

「ちょこん、ちょこん、ちょこん」

「はうぅぅぅん・・・・・・・・・・・・・・」


 ほわんほわんほわん・・・・・(妄想終了)

 

「はーい、椅子起こしますねー」

 はい、チンコも起っきしそうです。


 そんなイ・ケ・ナ・イ妄想をしていたので、いざ髪を乾かす段になるとおねぇさんの顔をまともに見られませんでした。
 それでも鏡にうつるおねぇさんを純情童貞少年ヨロシク、チラチラと見ていたので、さぞかし気持ち悪いおっさんだなぁ・・・と思われたことでしょう。


 いやでもボクは、とっても気持ち良かったです☆

 あの指先で手コキされたら、即!です。。。



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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ/本谷 有希子

2008-09-25 | 小説
≪「お姉ちゃんは最高におもしろいよ」と叫んで14歳の妹がしでかした恐怖の事件。妹を信じてはいけないし許してもいけない。「劇団、本谷有希子」の第1回公演の演目を大幅に改稿した小説。第18回三島由紀夫賞最終候補作。≫

 やっぱり、映画を観てから原作ではなく、原作を読んでから映画が鉄則だな・・・。

 いや、それよりこれは、まずは演劇ありきの作品だし、ちくしょう!とっても観たいぜ!『劇団、本谷有希子』

 と、それはともかく、やはりこれは、本谷有希子女史の代表作だけあって完成度が高いですね。キャラクター設定にしろ、緻密な情景描写にしろ、ぐんぐんと流れ出すストーリーにラストのオチ(?)にしろ、映画を先に観ていなければ、かなりハマれたんだろうなぁ・・・やっぱ、どうしても映画のキャスティングを頭に描いてしまうわ、ストーリーが分かっててドキドキ感が薄れるわ、で・・・まぁ、微妙に映画とは異なる箇所がいくつかあって、「ほほう」とか「あー、これは映画のほうがいいなぁ」とか、そういうとこで楽しみながら読んでたけど。

 でも完成度が高い分、いつもの本谷さん描く『キレキャラ』のキレ具合が抑えられてて、ちょっと物足りなさを感じてしまった。きっと、ストーリー重視なのであんまり派手にキレられては収集がつかなくなるのであろう、そういう風に作品を仕上げられる本谷さんは、やっぱスゲーや、と思いました。

 カバーイラストが山本直樹というのも、また、いい☆
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妻の夢、私の夢

2008-09-22 | 雑記
 妻はここ数年、独学でヨガなんぞをやらかしている。これがまぁ、毎朝早くから起きてシコシコとやっている。ホント、ここ数年、毎朝かかさず。その勤勉さというか几帳面さというか神経質さには、感心されられもし、また鬱陶しくもある。身勝手な夫である。

 そんな妻が最近、こんなことを言い出した。

「あぁ、インドに行って本場のヨガを習いたいなぁ・・・」

「は?オマエは『レインボーマン』にでもなるつもりか?(笑)」

「なに?レインボーマンって?」

「いや、まぁ、知らないんならいいや。っていうかさ、行けばいいじゃん」

「そんな簡単に・・・だって、言葉もわからないし、第一そんなお金どこにあんのよ?」

「バカもんっ!(イキオイよく)」

「な、なに!?」

「言葉なんてどうとでもなるもんだ。ボディランゲージ、アイコンタクト、要は気持ちだ!魂だ!スピリッツだ!オーケー?」

「無茶な・・・」

「なにが無茶だ!ヨガとはいわば精神の鍛錬。ヨガを極めたものは魂で会話ができるのだ。そう、いわばニュータイプのように宇宙空間の戦闘においてもだな・・・・」

「もういいし。そんで、お金は?」

「そんなの、僅かながら貯えがあるだろ。それで行け。もろもろの生活費は毎月オレが送ってやる、給料の半分くらいあれば大丈夫だろ?一年くらいみっちり修行してこいよ!(イキオイこんで)」

「なんか、すごい協力的ですけど、それは私がいなくなるのを望んでるのか?」

「バババ、バカ言ってんじゃないよ!オオオ、オレはオマエのそのひたむきさに胸打たれ、夢を夢で終わらせて欲しくないからであって・・・(目が泳ぐ)」

「そう・・・ありがと。でも現実問題、色々とムツカシイよねぇ・・・」

「簡単に諦めんなよっ!なんだったら給料の三分の二送ってもいいし!」

「アンタ、確実に、厄介払いしたいだけだよね?」


 その後、へどもどと言い訳めいた説得をほどこしたが、インドは遠く、現実は厳しいということである。


 妻の夢の実現、それは私の夢の実現でもあるのだ。なので、なんとか頑張ってもらいたいものなのである。ホント、切実に。
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戸村飯店 青春100連発/瀬尾まいこ

2008-09-22 | 小説
≪大阪の下町にある中華料理店・戸村飯店。この店の息子たちは、性格も外見も正反対で仲が悪い。高3の長男・ヘイスケは、昔から要領が良く、頭もいいイケメン。しかし地元の空気が苦手で、高校卒業後は東京の専門学校に通う準備をしていた。一方、高2の次男・コウスケは勉強が苦手。単純でやや短気だが、誰からも愛される明朗快活な野球部員。近所に住む同級生・岡野に思いを寄せながら、卒業後は店を継ぐつもりでいた。
春になり、東京に出てきたヘイスケは、カフェでバイトをしながら新生活をはじめる。一方コウスケは、最後の高校生活を謳歌するため、部活引退後も合唱祭の指揮者に立候補したり、岡野のことを考えたり、忙しい日々を送っていた。ところが冬のある日、コウスケの人生を左右する大問題が現れて……。≫


 あり得ないくらいに清々しい兄弟のお話。実際、瀬尾まいこさんには妹さんがいて、これまでの作品にも姉弟や兄妹、姉妹の設定が多かったけれど、今回は直球ど真ん中で兄弟の青春物語。
 相変わらず瀬尾さんの文体はのんびり?というか、ほんわか?していて安心して読めるんだけれど、今回はイマイチ、のめり込めなかったなぁ・・・・と。きっと、実際に兄弟のいる人は「う~ん」と唸ってしまうと思う。
 まぁそんなのは関係なしに、瀬尾さんの新刊を楽しむという分には文句なしで、やたらと関西のノリでの会話文も多くてサクサク読み進められます。

 たぶん兄弟のいない人なんかはこれを読むと「ええな、兄弟って」と思うでしょうが、そんなに甘いもんではありません(い、いや、私は兄がいて本当によかったなぁ、と常々思ってますが・・・

 そんなこんなですが、良いことも悪いこともひっくるめて、やっぱ兄弟っていいよね。そう思える一冊です。
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『美女』より『美少女』が好き

2008-09-18 | 雑記
 初めて入った喫茶店でコーヒーを頼んだら、

 お茶のお伴にお菓子が出された。


 

 ブルボンの ロリータ


 なんで?

 オレ様がロリコンだってバレたんだ?
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檸檬のころ/豊島 ミホ

2008-09-17 | 小説
≪いっそ痛いと思った、その痛みだけは思い出せた。かっこ悪くて、情けなくて、でも忘れられない瞬間がある。田んぼと山に囲まれた、コンビニの一軒もない田舎の県立高校を舞台に綴る、青春の物語。 ≫


 三十過ぎのオッサンが持ち歩くには少々キュートすぎる装丁でした。尚且つ内容はすこぶる青くてすっぱい高校生たちの物語。オジサン思わずドギマギしながらも「んふぅ~」とか甘く切ないタメ息をついちゃった☆

 なんか、やっぱ、いいっすね。青春って(遠い目で・・・

 そんなに派手な青春とかではなくって、しいて言えば地味目な青春を描いているのですが、要するにそれが淡い郷愁をかきたてる、というか、地味には地味なりの青春ってもんがあるのさ、って、ともかく誰もが謳歌したであろう青春を思い出す一冊でした。
 ホント、これ読んでる間はボクの心はセヴンティーン☆でした。

 一冊の本でこれほどまでに人の心をフワフワさせたりシクシクさせたり出来るって、やっぱりすごいことだと思います。
 
 他人から見れば、オッサンが妙にキュートな表紙の本読んでニヤニヤしてやがるなぁ、気色悪っ!くらいでしょうが、胸の中はトキメキでいっぱいです☆キャハ!
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掃除機

2008-09-15 | 雑記
 うちの残念な愚妻が長年使っていた掃除機を二日前、オシャカにした。

 なんだか大きめの布を吸い込んでしまい、それがホースの中間にぴっちり詰まって取れなくなったのだ。以前から靴下やらなんやらを吸い込んでは大騒ぎして、私に「取ってくれ」と命令していたのだが、今回のはかなりの大物でウンともスンともその場から動いてくれない。
「ギュモー!ギュモー!」と嫌な音をさせるばかりだ。

「だから、前から気をつけろ気をつけろって言ってただろ!」

 普段なかなか優位にたてない私はここぞとばかりに妻を罵る。

「ごめんなさい・・・」

 めずらしく殊勝な言葉を吐く妻。

 私の口許は自然と微笑を浮かべてしまう。

 それをどうやら許しのサインと受け取った模様の妻は「ねぇ、新しいの買ってもいい?」と気持ち悪くねだる。

 すでに十年近く使っていた掃除機だ。しかも五千円かそこらの品、もとは充分とったであろう、なにより、布が抜ける見込みはない。

「しょうがなかろう・・・新しいの買うしか」


 そう決めた私たちは次の日に家電量販店に足を運ぼうと言っていたのだが、いや、待て、ネットで探したほうが種類も豊富で安いんじゃないか?と妻が提案した。

 それも、そうだな。わざわざ店まで買いに行くのも面倒臭いし、という訳で妻はせっせと掃除機検索をしだした。

 そしたら、あるわあるわ、安いのから高いのまで。最新式のは、なんだかロボットみたいなのや、武器か?ってカンジのものまで多種多様。

 これだけ多くあると選ぶのも大変だ。私はとりあえず「一万円以内な」と絞り込みを要求した。すると妻は「えー、ケチ」などとぬかす。

 オイ、ちょっと待て!レトルトカレーを温めるのに湯を沸かしていたら「ガス代モッタイナイから電子レンジであっためてよ!」などとほざくオマエに「ケチ」とか言われたくない!

 早くもいつものペースに持っていかれそうな私はそれでも頑なに「現代の進化した掃除機なら一万円以内でもかなりいいものが買えるだろ。それにこんな狭い家でそんな大そうな掃除機はいらん!」とキッパリ亭主の威厳を見せつけた。

 妻はしぶしぶといった感じでどうやら目ぼしい品をいくつか見つけたようだった。

「どれにしようか?」

「うーん、まあ、コレならどれも似たり寄ったりだろ。オマエが選べ」

「じゃあコレにしようか」

 と、一万円ジャストの品を選びやがった。送料を含めると一万円を少しオーバーするが、太っ腹な私は「よかろう」と頷いてやった。


 翌朝、配送の確認をするためにメールを開いた妻は、「あっれぇ?メールきてないよぉ?」と呟く。

「日曜日だから、休みなんだろ」と私がもっともなことを言うと、「なんで電器屋が日曜休みなんだよ!」と理不尽なような、さりとてもっとものような愚痴を妻がこぼす。

「しょうがないだろ、明日来るって」

 そう宥め透かすものの、イマイチ煮え切らない表情を見せる妻。まったく、鬱陶しい。

 そして翌朝、つまり今朝、さっそくメールの確認をしたが、やはり音沙汰なし。

「なんでよっ!」

 マズイ、なにやら不穏な空気が澱みつつある。

「あぁ、まぁ、祝日だしな」

 目を合わせないように呟く私。

「ちょっと!それじゃあ二日も三日も掃除機かけられないじゃない!埃が溜まるよ!どうすんのよっ!」

 大らかな私は別に二日や三日掃除なんぞしなくとも特に気にはならないのだが、病的なまでに神経質な妻は、どうやら狂いだしそうなイキオイである。

 恐ろしさをこらえながら私は、禍々しき者に変容しそうな妻の説得にあたる。

「しょうがないじゃないか。元はといえばオマエが掃除機詰まらしたのが原因なんだし。それに、昔は掃除機なんてなくてもみんな箒(ほうき)や雑巾で掃除してたんだから、なんとかなるって」

 すると、妻の変容はしだいに解かれ、何故だかみるみる笑顔にさえなっていった。そしてその不気味な笑顔で、

「それじゃあ、お掃除お願いね♪」

 そう言い切って、妻は仕事に出かけた。


 こういうの、なんて言うんだっけ?身から出たサビ?自分で自分の首を絞める?


 そんなワケで、私の貴重な休日の予定に『古風な掃除』という項目が加えられたのであった。 
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江利子と絶対【本谷有希子文学大全集】/本谷 有希子

2008-09-15 | 小説
 なんとまぁ、面白い(というか、オカシイ?)人なんだ、この本谷さんという人は!

 こんなに小説で笑えたのは久しぶりだった。とにかく内容が凄まじい、というか、キレまくってる(笑)

 一話目の『江利子と絶対』はニュースで電車の脱線事故を見て前向きに生きようと決意する引き籠りの妹、江利子。だからといって引き籠りから脱する訳でもなく、「前向きに引き籠る」と意味不明なことをぬかす。さらには自分勝手わがまま放題の自論はそのとんでもなさに呆然を越え笑ってしまう。
 終いには電車内のカップルに尋常ではないキレかたを見せる。かなり短い話だが、その内容の濃さは120%濃縮ジュース並み。

 二話目の『生垣の女』は、もう、ただただ、笑いが止まらない。初っ端から完全にイッてしまっている女、アキ子。それと社会から見放され気味の毛髪ズル剥け、家で飼ってる猫「菊正宗」が唯一の話し相手という四十二歳いまだチェリーボーイのおっさん多田。
 これはもう、ノンストップでサディスティック全開です。私の長い読書人生でこんなに笑った小説は今までありません、最高です☆

 三話目はガラリと赴きを変えたホラーちっくなお話『暗狩』。こういうのも意外にイケるんだなぁ、と本谷有希子さんの才能に感嘆いたしました。

 しかしどれをとっても凄まじく、キレまくりの展開ですが、なんだか妙に胸の奥底にある己の(人間の)本質を掻き出されるような気分になります。


 将来の夢は『綾波レイ』と豪語する本谷さん、そのぶちキレた才能に私は惚れました♪
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みぞれ/重松 清

2008-09-12 | 小説
≪思春期の悩みを抱える十代。社会に出てはじめての挫折を味わう二十代。仕事や家族の悩みも複雑になってくる三十代。そして、生きる苦みを味わう四十代――。人生折々の機微を描いた短編小説集。≫

 1999年から2007年までというかなり永いスパンで書かれた短編を集めたものとあって、なんとなく重松氏の文体の変化などを実感できて、そういうところは貴重な本だなぁと思いました。
 それぞれの内容的には、「こんな話、他にもなかったっけか?」と多少のデジャヴを感じつつも、身近な息遣いを描き続ける作者の信念に身を委ねとけ、という気持ちにさせられます。

 11の物語の中、誰もがきっと心の琴線に触れるお話が入っているはず。派手さはないけど、そのぶん優しさやあたたかさ、切なさ、やり切れなさが存分に詰まっております。

 私は表題作『みぞれ』がいちばん心の奥に沈みました。
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幸福論

2008-09-11 | 雑記
 図書館で、小学四、五年生くらいの女児二人がこんな会話をしていた。

A子「ハァァ、毎日1回幸せなことがあればいいのになぁ・・・」

B子「えぇ、でもさ、一年に365回も幸せがあったらイヤにならないかなぁ?」

A子「えー、幸せならいいじゃん?」

B子「やっぱさぁ、幸せって、たまぁにあるから幸せなんじゃないの?」


 どうだろう。A子ちゃんの年齢相応のあどけない考え、B子ちゃんの小学生には似つかわしくない、妙に人生の機微を読み取ってるような発言。

 本を探すフリをしてそばで聞き耳をたてていた私は、心の中で「大丈夫。未来ある君たちにはこれから多くの試練があり、そしてそれに伴う幸せがたくさん待っているから(にっこり)」と、微笑みながら独り不気味に頷いていた。
 が、その後の彼女らの会話は、

A子「でもさぁ、わたし○○くんを毎日見られたらチョー幸せー!」

B子「キャー!わたしもー△△くん毎日見たーい!」

A、B子「キャーん!!」


 って、オイっ!まだ毛の生え揃ってもいないようなガキどもの幸せ原動力は男かよっ!!

 その後も彼女らはそのナントカくんやらナンタラくんについて色めき立ってお喋りしてました・・・。

 それにしてもオマエら、図書館ではお静かに、な。ったく、最近の若いもんときたら、ブツクサブツクサ・・・・(おっさんモード全開
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アブノーマルへの道 その三

2008-09-10 | 雑記
妻 「美人のパートさん、アソコに黴菌が入って緑色のおりものがダランダラン出てくるんだって」

私 「そ、それは・・・・聞きたくなかった・・・・な」


 さすがの私もコレには欲情できませんでした。

 アブノーマルへの道、断念!!
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神田川デイズ/豊島 ミホ

2008-09-10 | 小説
 過剰な自意識に明け暮れ、「才能」や「夢」、そして「やりがい」などを模索する、青春時代。そして「ふと」気付けば途方に暮れている自分がいる、青春時代。

 そんな彼ら彼女らの内なる想いを巧みな描写で綴ってゆく、可笑しくも愛おしい青春群像小説。

 六つの話の分かれていますが、すべてが同じキャンパス内のお話なので、各話ごとに前回登場の人物などがちらほら出てきて、それもまた一興です。

 みんなが夢見る素敵なキャンパスライフとは程遠いんだけれど、これぞ青春ど真ん中!ってカンジの忘れがたい一冊です。

 豊島ミホさん。なんだかいい感じです☆
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大根おろし

2008-09-08 | 雑記
 風呂からあがると、妻が「大根、おろして」と頼んできた。

 ガッテン承知ノスケ!

 シャカシャカシャカシャカシャカシャカ・・・・・・・・

 ぶらんぶらんぶらんぶらんぶらん・・・・・・


「パンツくらい穿け!」
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