雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

健康診断

2009-06-27 | 雑記
 先日、会社で健康診断を受けさせられた。今までは検尿、肺のレントゲン、視力、聴力、血圧くらいのごく簡素な診断だったのが、今年はなにやら三十五歳という節目の年なので、いつもよりディープな診断を受けてくれと言われた。
「いいよ、そんなもん」と言いたいところだが、そんな我儘は通らないようだ。
 諦めて検便の容器を受け取る。それにしても、検便なんていつ以来だろう? 少なくとも十年以上はかたい。なので、その様変わりした容器に少しおののいた。昔は蓋の付いたちっこい緑色の容器で、必ず溢れてしまう奴などがいたものだが、今では細長い容器のキャップに棒状のものが付いていて、その先端がなんかクルクルしてて、そこにウンコをなすりつけるように出来ている。なるほど、これならわざわざ割り箸でつまんで入れるという食欲減退必至の思いをしなくてもすむわけだ。
 でも、やっぱり、棒でウンコをつんつんするのも、やや躊躇われる行為だ。アラレちゃんじゃないんだし……。
 しかもそれが二日分ときたもんだ。一日でいいぢゃねーか! などと便所で文句たらたら、ウンコたれたれして、先端に付けたのはいいが、それを容器に収める際、慎重になりすぎて手がプルプル震えてしまい、危うく容器入り口に付着するところであった。

 当日は胃のレントゲン検査もあるので朝食は抜きである。腹がグーグー鳴っている私を尻目に、妻は朝食をモリモリ食っていやがる。腹は減るわ腹は立つわで、どうしようもないので、とりあえず食事中の妻の前に先程採取したての検便の容器を投げつける軽いスカトロ行為を試みた。マジギレされた。

 会社に行って他の従業員たちと一緒に健康診断の行なわれる施設へと向かう。この健康診断はこの界隈一帯の会社が一斉に集うので早めに行った者勝ちなのである。わりと早めに到着した私たちは次々と名前を呼ばれ、検尿のコップを渡される。しかし朝から飲まず食わずでションベンなんて出ねーだろ! とか思ったのだが、一応チョロチョロとは出たのでよし。
 それにしてもその小便の入ったコップを指定の場所に置くのだが、そこには前の人の尿も置かれていて、様々な色や量の尿を垣間見ることが出来る。見たくないけど。でもこれ、女性の分も同じところに置かれているので、マニアの人には堪らないかも知れない。そんなことを思いつつ、肺のレントゲンを撮りに行き、お次は身長体重を量る。去年より二キロ減っていたのは朝食を抜いたせいだろうか? それとも前夜二発抜いたせいであろうか? ともあれそのあと聴力検査。なんかヘンなヘッドホンみたいのを両耳にあてがい、聞こえたほうを言ってください、って言われたんだけど「あー、右」「あー、左」って言ってたら、検査員のおばさんに「もっと大きい声で言って」って叱られた。まずはテメーの耳の検査しやがれ! ババァ! と心の中で毒づきながらもなんとか終了。お次は視力。これも余裕の両目とも1.5。毎年思うのだが、まだまだイケる。2.0の壁を越えれる。
 次は血圧。私の前に計っていた同僚のおっさんが上188を叩き出した。ちなみに去年の私は上90。おっさんは高過ぎだが、私は低すぎだ、と他の同僚に笑われた。いや、おっさんにしたら笑いごとではないのだが……。
 今回は上110の下……忘れたけど、「ちょうどいいですね」と言われたのでよし。
 次は軽い触診。ほんと軽い。目とか脈を診るだけで「はい。いいでよー」そりゃそうだろ。
 次、採血。注射はちょっぴり嫌だったけれど、採血してくれたオネェサンがちょっと可愛かったのでがんばった。えへ。
 んで、次は腹部周りを測りに。これが噂に聞くメタボ診断か……。65cmだし、全然OK。
 次、心電図。これのオネェサンもわりとキレイで、服をまくって乳首を晒すのがちょっぴり恥ずかしかった。えへへ。

 さぁ、そして、本日のメインイベント、胃のレントゲン検査である。正直、これが嫌で嫌でたまらなかった。そう、あの、バリウムというヤツが、私はすこぶる苦手なのである。確か初めて飲んだのは小学校高学年くらいのときだったか? 胃腸の芳しくない私に一計を案じた両親が病院で検査を受けさせたのだが、飲めない。とにかくバリウムが飲めない。あんなドロッとしたもの、どうやっても飲み下せない。だってネクターすら苦手なのだもの。ましてやあんな、白くてドロッとした……ねぇ、あんなもの口の中に発射された日にゃあ……。
 とにかくそれから一切、バリウムとは縁がなかったのに、二十数年の時を経て、再びめぐり合うことになろうとは! しかし私も、もういい大人だ。我儘ばかりは言っちゃいられない。意を決して(胃を決して)検査バスの中へ。するとスキンヘッドのおじさんが来て、「バリウム、大丈夫ですか?」と訊いてきたので、「いや、大丈夫では、ないです…」と心許ない返事をすると、おじさんは嬉しそうに「初めて?」などとエロそうな顔で訊いてきた。まぁ、そんなもんです、と私が言うと、おじさんは一応、気を宥めてくれようと何かと喋ってくれたのだが、最後に「まぁ、いいもんぢゃないですわー」と、どんでん返しをお見舞いしてくれた。
 それでも私はがんばった。炭酸を飲み、ゲップを我慢し、小さい紙カップに入れられたバリウムをグッ! と飲み下した。よし、飲めた。
 そしてレントゲン台へ。そこに寝て、右向いて、左向いて、だのポーズの要求をされ、もうすぐだ、もうすぐ終わるんだ、と思っていたら、「はーい、じゃあ、正面向いて、そこにあるバリウム一気に飲んじゃってくださーい」
 気付くと目の前に500mlくらいのボトルに三分の二ほど入ったバリウムが……無理です……。本当に、泣きたい気分だったが、子供ならいざしらず、いい大人が泣き喚くわけにもいかない。恐る恐る手に取り口をつける。
「ぐむ」とか「ぼへ」とか妙な音を吐きながら飲もうとするが、一向に進まない。検査員の人も「そんな味わって飲んでたら無理ですよー。ほら、一気に」などと声をかけてくれるのだが、もう、どうしたって無理。
 結局はかなりの量を残しての撮影となった。ダメな大人だ。
 それでもなんとか検査を終え、スキンヘッドのおじさんに下剤を渡された。「バリウム出してねー」

 みんなは終わった後、パンやらなんやら食っていたが、私はバリウムで腹が膨れ、尚且つ胸くそ悪かったので水だけ飲んでた。
 それでも昼には腹も空いてきて、ちゃんと昼食をとれた。なんだか腹の中がニゴニゴする。何度か便所にいくがなかなか出ない。
 しかし夕方になると、なにやら白いものがプリプリと出てきたので、よし。

 いやしかし、健康診断は定期的に受けるに越したことはないが、バリウムだけは本当に勘弁してほしい。こんなの毎年飲まされてはかなわない。
 来年からはまた元の簡素な検査になるらしいが、それも四十まで。四十歳になったら毎年バリウム検査をしなければいけないそうだ。その頃にはもうちょっと大人になっているだろうか? ってか、その頃にはもうちょっと楽に検査できる体制作りを医療関係の方々にお願いしたい。
 こちらもこれからネクターやザーメンで練習する努力をするから……いや、やっぱ無理。
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イニシエーション・ラブ/乾 くるみ

2009-06-22 | 小説
 一体いつミステリーが始まるんだろう? と、焦らしに焦らされ、色々あれこれ考え読み進め、最後の最後になって一発逆転のどんでん返しをくらった。

 うはー、やられたー。
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隣の芝生は青く見えるものだ

2009-06-21 | 雑記
 最近は、『女子高生』よりも『露出』や『人妻』に心動かされる。

 だから『人妻の露出』なんかは最強だ。

 堂々としているヤツより、とても恥ずかしそうに露出しているヤツのほうがいい。

 そんで、通行人とかに見られて「いやぁー」とか言うの。そん時がMAX。

 そういうのは、なんか、女子高生より人妻とかのほうが、いい。(でもパンチラは女子高生のがいい)

 自分の妻には一向にそそられないが、人妻だと俄然そそられる。

 たぶんみんなそんなもんだと思うが、ちがったらゴメン。
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おんぶにだっこ/さくら ももこ

2009-06-21 | 小説
 さくらももこの幼年期エッセイ。

 自分は幼年期の記憶が乏しい。強いて思い出そうとすれば大抵、嫌なことばかりなので特に思い出す必要もない。

 とにかく陰気な子供であったのは確かだ。今でもその名残りはあるけれどさ、今まで生きてきた中で培った知識と知恵で、なんとかやっていってる。

 さくらももこも、なんかそんなカンジらしい。
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龍神の雨/道尾 秀介

2009-06-18 | 小説
『少女』を読んだ後だからかもしれないが、すこぶる良かった。

 いや、それじゃなくても、やっぱり道尾秀介はイイ。

 これだよ、これが正統派ミステリだよ、ってつくづく胸を打たれる。登場人物たちの想いがひしひしと伝わってくる、切なさと哀しさを伴った「文芸ミステリ」は、貫井徳郎に通ずるものがある。

 人それぞれの好みもあるけど、やっぱオイラはこういうのが、読んでよかったなぁ、読めてよかったなぁ、って思えるんだ。
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少女/湊 かなえ

2009-06-18 | 小説
 あんまり、他人様の書いたものを批判するのもどうかと思うのだが……これは、ヒドイな。

 なんか、ものすごく素人臭い。これで金とるのはどうかと思う。

 素人が「どう、うまくまとめたでしょ?」って自信満々で言っているような鼻持ちならなさを感じる。

 いくらデビュー二作目とはいえ、これならまだ『告白』のほうがいくらかマシ。

 もし次の作品もこんなふうなら、ちょっと、アレだろ……とか思ってたら、三作目、出てた。

 その名も『贖罪』。

 あー、なんか、無理に漢字二文字とかにしないほうがいいのに。しかもなにやら、また同じ文体らしい。もうこのスタイルを押してゆく気、満々なのか? それはそれで、まぁ、アリかもだけど。


 でもね、おもしろいことはおもしろいんだ。話の展開もサクサクと澱みなく進んでいくし、わりとイイ伏線も張ってあるし。暇つぶしにはもってこいなんだよ。

 ただ、前作と同様、いや前作以上に、心に打つものがない。しかもなんだか素人臭くなってるし。

 きっと「売るなら今のうち」っていう出版社の思惑で、あまり質にはこだわっていないんだろうな。なんか、最近の使い捨て若手芸人みたいな具合にされてるな。

 絶対に、センスと力はあるんだから、もっと期間を経て、腰をすえた長編を書いたほうがよいと思われる。

 
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らっきょう

2009-06-14 | 雑記
 山に野菜を買いに行ったら、土付きらっきょうがお目見えしていたので買ってきた。

   

 これ、一束100円という破格に気を良くして七束買った。っていうか、買い占めてきた。

 
   

 なんか、束のときはそうでもないと思ってたけど、バラすとかなりの量になった。


 この後、土を洗って、尚且つ薄皮を取って、塩水に一晩浸けてアク抜きするのだが……正直、しんどい。


 昼過ぎから作業を始めて、今(午後10時半)ようやく終わった。



 
 来年からはせいぜい三束くらいにしておこうと、心に決めた。
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造花の蜜/連城 三紀彦

2009-06-13 | 小説
≪造花の蜜はどんな妖しい香りを放つのだろうか…その二月末日に発生した誘拐事件で、香奈子が一番大きな恐怖に駆られたのは、それより数十分前、八王子に向かう車の中で事件を察知した瞬間でもなければ、二時間後犯人からの最初の連絡を家の電話で受けとった時でもなく、幼稚園の玄関前で担任の高橋がこう言いだした瞬間だった。高橋は開き直ったような落ち着いた声で、「だって、私、お母さんに…あなたにちゃんと圭太クン渡したじゃないですか」。それは、この誘拐事件のほんの序幕にすぎなかった―。≫

 中盤までの誘拐事件の描写にはスリルを感じ、その後の事件の真相が明らかになるところではカタルシスを覚え、もうこれで充分だと思えるのに、さらにラストでどんでん返しの事件を用意している。生半可な誘拐ミステリではない。
 一応、ツッコミどころが無きにしも非ず、だが、そういうことをものともしないスリルとスピードが凄まじい。

 ぐいぐい惹き込まれるてゆく感覚は、作中登場人物の青年と思わずリンクしてしまう。
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ニート/絲山 秋子

2009-06-09 | 小説
『ニート』より、『ヒモ』になりたい今日この頃。
 や、ようするに女に世話してもらうニートをヒモって言うのか?
 どっちにしろ、ろくでなし、か。

 さて、とりあえず、これは昔の知り合いがニートになっちゃって、なんやかんやってお話。その他、遠恋とか、死んじゃった婚約者とか、一定の距離を持った男女間のお話を集めた短編集。ってとこ。

 いっとう印象に残ってるのは、最後の『愛なんていらねー』というお話のスカトロ描写の凄まじさ。
 女性が「いや、汚いから」みたいなこと言うと、男性が「愛なんていらねー」って。
 なんか、その距離がすごくよかった。

 よく誤解されるので言っておくが、決してスカトロが好きとかそういうのではなくて、だ。

 文学の一表現としてのスカトロが、すごくよかったのだ。



 でも、自分をヒモにしてくれる女性がスカトロマニアだったなら、それもやぶさかではない! (あぁまた、誤解されるな、こりゃ…
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坊主頭

2009-06-05 | 雑記
 会社によく出入りしている、自分と似た年齢の業者さんが丸坊主になってやってきた。夏になるといつもこうなるので別段驚いたわけでもないが、とりあえず挨拶代わりに話題をふってみた。

「ずいぶんスッキリしたね」

「いやー、もうぼさぼさだったもんですから」

 彼は坊主頭を撫でながら気恥ずかしそうに言う。

 年がら年中ぼさぼさの私は、ただ笑顔で応えるしかない。

 自分は今まで坊主にしたことなどないから多少の憧れがある。楽だろうなー、って。でも、そんな潔さというか、根性は、ない。だって、明らかに似合わないだろうし。もし自分が坊主頭になるとしたら、出家するか、刑務所で暮らすかしたときくらいだろう。

 そんなことを考えていたら、彼はクルリと後頭部を見せて「ほら、ここ。十円ハゲができちゃって」と、見事なハゲを指差す。

「あ、ホントだ」

 私は笑うわけにもいかず、対処に窮したが、すかさず彼が

「仕事のストレスっすよー」

 と笑い飛ばしたので、一緒に笑ってその場を凌いだ。だが後になって、そこは笑ってもいいところだったのか? と、考えてしまった。

 しかし、ハゲのことを考えすぎてハゲができてしまってはシャレにもならないので、やはり笑い飛ばすのが最善の策なのだろうなぁ、と結論した。

 やはり、躊躇なく坊主頭にできる潔い人は、性格も潔いのだろうなー。と思ったのも束の間、そんな潔い性格の人はストレスハゲなんてできないかぁ、とも。

 いずれにせよ彼は、いつも明るく礼儀正しいので、そのちっちゃいハゲも愛嬌のひとつになって、ますます好感度がアップしたというものだ。
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一瞬の風になれ/佐藤 多佳子

2009-06-05 | 小説
 もーう、これは、とびっきりの青春だね。

 この本読んでるときは、オレの気持ちは高校の陸上部だもん。走り出したい気持ちに駆られるけど、現実は三十過ぎたオッサンだからどうしようもなくて切なくなるけど……。

 部活っていいね! 仲間っていいね! 恋っていいね!

 0.1秒でも速く走りたいというひたむきさ、好きだからこそ告白できない純粋さ。自分の青春時代とはまるっきり真逆だけれど、だからこそ、こんな真っ直ぐで爽やかすぎる青春が、穢れた胸をキュンキュン突いてくるのかな? だな。

 知り合いの息子さんが中学の陸上部。是非ともこういう青春を送ってもらいたいものだ、と、本人からしてみるととても鬱陶しいだろうことを思ってしまった。

 まぁ、いろんな青春があるさ。
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ひとりずもう/さくら ももこ

2009-06-05 | 小説
 初潮の話から、漫画家デビューまでの、自身の青春期を描いたのほほんエッセイ。

 オシャレに目覚めたり、片想いしたり、そりゃもう青春にはつきものの話なんだけど、やはりさくらももこは一味ちがう!いや、二味くらいちがうかな…。なんか、リアルなまる子が青春体験しようとしてるなー、って感じで(いや、実際にそういうことだから)ほとほと呆れつつも無性に親しみが湧いてしまう。

 とにかく、いちいち笑えるのだが、高三の春休みから真剣に漫画家への挑戦をはじめた頃からは、読んでるこちらも思わず「ぐいっ!」と力んでしまう。

 勇気が湧いてくるとか、夢に向かう希望がもらえる、なんてことは特にないんだけれど、何事も「やらないよりはやったほうがいいんだ」ってことを再認識させてくれた。そして、「ダメなら方向転換も『アリ』だから」。

 人生の全てに身構えつつも、どこか楽観している作者の性格が実によくあらわれている一冊。
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