雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

ムラムラする

2010-06-30 | 雑記
市の広報紙を眺めていたら、あるお知らせに目がいった。

『中学生と遊ぼう』

残念ながらこれは、児童会館の催しものであって、参加対象は小学生なのである。が、なんだかとてもムラムラしてしまう企画名である。
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受賞の意義

2010-06-29 | 雑記
 貫井徳郎の『乱反射』という小説が、このほど第63回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門を受賞した。
 この小説を読んだときの衝撃は未だに忘れられない、なんとも心根を抉る問題作であった。にもかかわらず、世間の評価は芳しくなかった。「こんなのはミステリじゃない」とまで言われたりした。(作者本人もミステリではない、と言っていたが)
 しかしその度肝を抜かれるプロットとスリルに満ちたストーリー展開、これがミステリではなくてなんだと言う! 私からすれば貫井作品ベスト3には入る傑作である。
 この貫井徳郎という作家。一般世間ではあまり正当な評価を受けられていないように見受けられる。マニアの間では絶賛されているのだが……。
 しかしようやく、正当な見識を持たれたかのように『後悔と真実の色』で直木賞は逃したものの第23回山本周五郎賞を受賞した。が、それは私としてはいまいち喜べない。それは「乱反射」のほうが作品としては確実に上質なのに、という想いがあるからだ。できれば「乱反射」にこそ正当な評価が与えられるべきだ、そんなことをぐじぐじ思っていたら、このたびの受賞だ。やっぱり、プロの目から見れば「乱反射」は格別なのだよ。早速私は今回の日本推理作家協会賞の選評が載せられているオール讀物7月号を読んだ。選者は日本を代表する推理作家たちそうそうたる顔ぶれであった。そのいちいちは記さないが、やはり同業者というか、同じ方向を志す者であるからだろう、その評価はどれも厳しい。特に貫井徳郎の「乱反射」だけが絶賛されているということではない。むしろ批判も目立つ。が、それでも五つの候補作(自分が読んでいたのは「乱反射」と湊かなえの「贖罪」であった)の中から見事受賞と相成ったことは、まことに嬉しいかぎりである。
 とかく推理小説というジャンルは険しく厳しいものである。にもかかわらず、頑なに驚愕のミステリーに挑み続けている貫井徳郎の姿勢に対しての今回の受賞は、たいへん意義のあるもののように思えた。
 
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世界音痴/穂村 弘

2010-06-29 | 小説
 歌人、穂村弘の被害妄想的エッセイ。
 それにしても、さすが歌人なだけあって、なんとも卓越したタイトルではなかろうか。
『世界音痴』。
 みんなが自然に世の中を生きている姿を見ながら、自分はなんとぎこちなく生きているのであろうか……そんなしょうもない想いがありありとうかがえる。しかしそんなしょうもなさも、徹底していると哀れを通り越して可笑しみが出てくるのだから、たとえ○○音痴であったとしても、気に病むことはない。と、そういうことを教え諭している本ではないのだが。
 要するに作者のただならぬ世界への戸惑いぶりが描かれているといったところだ。それがいやはやなんとも愉快でたまらない。
 歌人としての穂村氏はどうだか知らないが、エッセイを読む限りでは非常に好感の持てる人物である。
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夜明け

2010-06-28 | 雑記
 ハローワークへ行って、いい仕事(やりたい仕事)が見つかったなら、まず職業相談というものを受ける。相談といってもまあ、一言二言喋って紹介状を貰うだけなのだが……ただ、それだけのことで他所はもっとかかるのかも知れないが、自分の地区では職業相談窓口に呼ばれるまでに30~40分くらい待たされる。そりゃ、早い時もあるのだけれど、概ねそんな具合だ。
 今日もずいぶん待たされたのだが、その間ヒマだったので職員の女性を視姦してお茶を濁すことにした。あわよくば濁ったものが出せればいいな、などと思いつつ。
 割合、女性の方が多いので徐々にレベルアップを図っていきたい。そしてイキたい。とはいえ、そうそう上手い具合に好みの女性は見つからないのである。それもそのはず、女子高生好きのロリコン野郎のハートを熱くさせるような女性などハローワークの職員でお目にかかれることなど少なかろうて。
 しかしそこは、生命の神秘とでも言おうか、種の保存本能とでも言おうか、はたまたこれが進化というものだろうか。いや、ただ単に、人間というものは己に負い目を感じたりしてしまうと、とかく卑屈になってしまうのだろうか。自分でも思いがけないくらい許容範囲がゆるくなる。
 その人は、綺麗であった。身のこなしやスタイルもキレがあり、他の女性よりも輝いて見えた。ただ、推定50代であろうと思われる、間違いなく「熟女」の部類である。もちろん私は熟女も好きだ。AVだって女子高生ものに飽きたらたまに人妻ものに走る。が、しかし、いまだかつて40代の壁を越えたことがない。これは、チャレンジ、いや……新たな、夜明けである。
 私は全身全霊で、その夜明けを迎えねばならぬ。しかしいくらなんでもこんな公共の場で50代の女性を妄想とはいえ全裸にしてあんなことやこんなことをさせたり挿されたりというのは憚られるので、烈しく熱いフェラチオをさせるくらいにとどめておいた。
 流石に濁ったものが込み上げてくるようなことはなかったが、新たなステージへの予感といい暇潰しにはなった。
 ほどなく名前が呼ばれ相談窓口に腰をおろすと、今さっきまで私のチンポを熱くねぶっていたその女性が前にいた。かなり焦った。しかもその女性の声が殊の外セクシーで、どうにもどぎまぎしてしまって、相談どころではない。またその女性、他のいつものおざなりな態度の職員と違って懇切丁寧なのだ。

 私は家に帰るとパンツを下ろし、躊躇うことなく夜明けを迎えた。
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死ねばいいのに/京極 夏彦

2010-06-28 | 小説
 京極夏彦の小説は、これまで一度も読んだことがなかった。大体においてあのぶ厚い本は手に取るのも躊躇われる。よしんば手にできたとして、中をパラパラやってみるとその漢字の多さについつい挫かれる。そんなこんなを繰り返していたため、よくも知らないのに勝手なイメージとして「妖怪」や「怪談」「時代物」の人だと思っていた。
 ところが今回、そのなんともインパクトのあるタイトルに加え、中身をパラパラやってみると案外読みやすそうであったので一読してみたのだが、「妖怪」も「幽霊」も出ない。完全に現代が舞台の社会派サスペンスであった。
 ストーリーは、ある死んだ女の知り合いという男が、その女のことを知りたくて女の関係者たちに話を聞きにいくという、いたってシンプルな話。一話ごとに話を聞く相手が変わり、取り立てて絡み合うこともなく複雑さはない。だが、そこで語られる登場人物たちの話が凄まじい。いや、特別物凄い話なのではなくて、はっきりいってどこにでもあるだろう、どこにでもいるだろうと思われる、ふつうではないが、現実に必ずある、と確信できるその気味悪さ。それが、凄まじい。話を訊きにいく若い男のキャラも甚だイラつくのだが、訊きにこられた相手たちもまた、非常にイラつく。言い訳がましく欺瞞に満ちたその者たちのくどくどしい話を聞いているうちに、思わずこう言いたくなるのだ。

 だったら---死ねばいいのに

 なるほど、これが作者の狙いなのだろうか? ミステリとしては、トリックもへったくれもなく犯人どうのこうのといったカタルシスもないのでそこは評価外になるが、社会派サスペンスとしては一級品だと思える。決して気持ちのいい作品ではないし、読後感も悪い。だがそれこそが社会派的な読み物であると私は思っている。
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時期とかぢゃねーだろ

2010-06-27 | 雑記
 別のスーパーで刺身用するめいかが一杯100円で売られていた。
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するめいかあかいか

2010-06-26 | 雑記
 新鮮するめいかが安かった。三杯で225円。
 その隣に、刺身用あかいかがいた。するめいかよりも二回りほど大きいのだが、一杯980円。迷わずするめいか。
 三杯いる。一杯は刺身で、あとは焼いて……そんな思惑を抱いて魚屋のおっさんに「おなかだしてー」とするめいかを渡す。
 おっさんは瞬時に目玉やらはらわたやらを取り除いてくれた。
 受け取るときに、ちょっと気になっていることを訊いてみた。その気になっていることというのは、あかいかには「刺身用」と明記されているのだが、するめいかは「新鮮」と謳ってはいるものの「刺身用」とは明記されておらず、「煮物、焼き物なんでもOK」と陳列の横に殊更大きく示されている。果たしてこの「なんでも」の中に「刺身」は入らないのか、と。おっさんに渡したあとに気になったのだ。それまでは、「新鮮」なんだし考えるまでもなく生でいける、と信じていた。
 でも一応訊いておこう。
「これ、刺身でいけます?」
「いやあ、無理だわ。鮮度はいいんだけどね、この時期のいかは『虫』がヤバイんよー」
 そう、いかにはけっこうな割合で寄生虫がいるのだ。それは知っていたので、ああ、そうか、やっぱり梅雨時期とかは危ないんだなあ……。
 私は刺身用あかいかに視線をやりながら、にこやかに礼を述べて辞去した。
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うちのかあちゃん

2010-06-25 | 雑記
 去年の秋頃、友人の小説がある雑誌に載ったのだが、それをうちの母が読んで大層感動していた。
 一人称で書かれたその小説。主人公の親は実の親ではないという設定。

 さて先日、用事があって母のところへ行ったのだが、なんやかやと話をしているうちに、その友人の話になった。

「でもたいへんやねー、あの人。親御さんが他人やもんねー」


 いやいやいや!

 めっちゃ血繋がってるって! もう、並んだら誰がどう見ても親子に見えるし!

「え? だってあの小説……」

 
 いやいやいや!

 ありゃ『小説』やん! まるっきりの嘘話やて! ってか、誰が小説にホントのこと書くかい!

「でも、渡辺淳一はね……」


 知るかー!

「なーんや、お母さんあれ読んで涙ぼろぼろ流したんに……」 

 いや、別に、いいやん。なんか嘘やったら価値下がったみたいな言い方すんなや……。


 ピュアなのかバカなのか……そんなうちのかあちゃん。
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かあちゃん/重松 清

2010-06-25 | 小説
 ある、ひとりのかあちゃんの償いの人生が、若い世代の者たちの心を打って、しっかりとそれが伝わっていく……。
 果たして、こういう展開になろうとはまったく予期していなかった。
「母の話」だろう、ということはタイトルから確実に判る。そこになにやら「いじめ」の問題が加わるという。と、すれば、早計に考えれば「母と子の、いじめになんて負やしない」的な、つまるところ母子愛でいじめに打ち勝ってこれからも負けないぞー、みたいな陳腐な物語を想像してしまう。いや、しかし、あの重松清が、まさか……。
 
 そう、やっぱり重松清は凄かった。序章、いや第一章なんだけど、この連作短編だか長編だか曖昧な本の中で、この最初の章はやはり特別。この凄まじい「かあちゃん」があったからこそ、後々のストーリーが効いてくる。しかしいったい、この序章から誰がここまでいじめ問題を掘り下げて考えられただろうか。これはもう、重松清でしかありえないストーリー展開ではなかろうか。また、そこから派生してくる様々な「母」たちの姿。あまりにも巧みすぎる。もはや国宝級だ。

 しばらく重松小説から遠ざかっていたから尚更なのかも知れないが、久方ぶりの重松節はなんとも心地好く、それでいて問題の重さを鋭く刺し込んできて、読む者の心と感情を揺さぶりあたためる。どうにもこうにも、泣かずにはいられない。
 人それぞれ、泣きどころは違うだろうけど、自分の今作でのいちばんの泣きどころは、アスパラとグリーンピースでつくった「ガンバレ」の文字。こーれはズルい(笑
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うどんそば処

2010-06-24 | 雑記
 うどんそば処なのに、ラーメンが旨いと評判の店に行った。
 なるほど、評判なだけあって客の半数以上がラーメンを啜っている。そしてラーメン以外の人間はカレーライスかチャーハンを食っている。うどんかそばを食っている人間は、いない。
 自分は暑かったのでざるそばでも頼もうと思っていたのだが、とても頼める雰囲気ではない。うどんそば処なのに……。
 なんか、ここで「いなりうどん」とか頼もうものなら、みんなからいっせいに奇異な眼差しを向けられそうな勢いである。うどんそば処なのに……。
 とにかくもう、これだけ圧倒的にラーメンを食われていると、どうしようもないではないか。

 評判のラーメンはあっさり和風味で確かに旨かった。
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北村薫の創作表現講義 -あなたを読む、わたしを書く- /北村 薫

2010-06-24 | 小説
 作家北村薫が早稲田大学で二年間、小説に限らず、ドラマ、映画、落語、朗読、短歌、音楽……等々、さまざまなジャンルによって≪表現≫についてのあれこれを講義した記録をまとめあげた、謂わば創作の極意書。
 とにかくこれは、たいへん為になったのはもちろんなのであるが、なにより非常に興味深く、そして楽しく面白く読めた。
 氏の本業が高校の先生であるというのだから、教えることに関してはそりゃプロなんだろうけど、実際の教師たちの授業なんぞ、なんとツマランものであろうか。それはきっと教師自体が死んでるから、死んだ授業しかできないのであろう。と、氏の生きた授業内容を読むとつくづく判る。
 氏自身、授業内容にあれこれ策を弄するのは大変ながらも実に楽しいと言っておられる。まずは教える側が楽しまないでどうする、そういうことだ。
 
 さて、そんな教師論はまあいいとして、その授業の様々がなんとも魅力的でとても解り易いのだ。ときにはゲストを呼んだり、そして学生たちにその人についてのコラムを書かせたり、また上質な掌編を教材にしたり。とにかく、そのどれもが押し付けがましくないというか、流暢に頭の中に浸透していくような感じだろうか。(実際はすでに重要なことすら抜け出てしまっているかもしれない、わたしの頭)
 中でも一番興味深く読めたのは、書籍編集者のお話。そして雑誌編集者のお話であった。新人賞のあれこれなどはとても興味深かった。

 ともあれ、それもこれも、北村薫先生の人徳、そして≪表現≫する意欲によって魅力溢れる講義となり、それがまた良質な一冊の本に仕上がるというのは、なんとも素晴らしいことであると思う。

≪表現すること≫=≪伝えること≫ それはなんとも難しく面倒くさいことではあるが、一度そこに中毒(ハマ)ると、もうそこから抜け出すことは困難な世界でもある。日々精進。
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+2年の法則

2010-06-23 | 雑記
 転職のために履歴書を書いていたときに気がついた。

 最初に働きはじめたところは4年勤めた。
 次に働いたところでは6年。
 そんで今の会社が8年だ。
 しかしこの会社、どうも先行きがよろしくないので、次の就職先が見つかれば辞める、と先日申し出た。

 どうやら2年づつ勤務年数が増えていくような具合であるので、次の仕事は10年で辞めてしまうのだろうか? いや、まだ、いくとこ決まってもいないのだけれど……。
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あなた明日の朝お話があります/中場 利一

2010-06-23 | 小説
 笑いと人情味あふれる物語。それにしても、中場さんの本を読むと俄か関西弁になってまうねん。(←無理やり)
 その作風もさることながら、舞台に描かれる人々の大らかさにとても親しみと羨望を持ってしまう。
 悪い風に言おうと思えばどれだけでも悪く言えるし、また、良く言おうと思えばいくらだって良く言える。実際、人間ってそういうものだから、とことんまで人間を描いたこの小説には良いところも悪いところもいっぱい見受けられる。それがひじょうに人間臭くて、とてもあたたかい作品であった。
 なにより笑えたのがこの表紙。最初見たとき、中場利一のイメージじゃねぇ! って思わずツッコミ入れたのだけれど、読んで「ああ、なるほどな」と笑顔がこぼれた。
 ニクい演出やねん。(←無理やり)
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影武者

2010-06-22 | 雑記
 金沢に、ダライラマ14世が訪れて何やら仏教のあれこれを喋っていったらしい。
 その映像を見て思ったのだが、そこら辺で鮎釣りでもしているオッサンの中に、ダライラマ顔しているのが2、3人必ず見つかる。
 影武者にもってこいではあるまいか?

 また、逆もしかり。
 ダライラマが鮎釣りしていてもなんの違和感もない。
「おっちゃん釣れたー?」
 とか、普通にコミュニケーション。
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盤上の敵/北村 薫

2010-06-22 | 小説
 今まで、北村薫と高村薫と栗本薫の区別がなかなかつかず、ごっちゃになっていた。それはひとえに、このお三方の作品をひとつも読んだことがなかったからであろうと思われる。ともすれば「マークスの山」は誰が書いたのか判らないといった始末だったりする。
 だが、このたび「盤上の敵」を読んだことによって、まずはお一人様クリアーになった、と思う……。少なくとも去年お亡くなりになったのは栗本薫さんであるということはしっかりと覚えておいたほうがいい。

 さて「盤上の敵」。タイトルからも推察されるようにチェスゲームをモチーフにしたミステリー小説。なのだが、実は自分が想像していたような内容とはいささか趣向が違っていた。別にここで自分の想像を披露することはしないが、ともかくそれは、いい意味での裏切りであってすこぶる物語を愉しめた。どんでん返しにはもちろん、手放しで悦びを甘受したのだけれど、それよりも凄いな、と思ったのが所謂、ストーリーの配置。一体これはどういった具合に進んでいくのか? その謎にぐいぐい引っ張られていく。そして事件の全容が見えたと思った、そののち、どーん! とくるどんでん返し。まさに絶品とはこのことではなかろうか。
 すなわち、序盤からの絶妙なストーリーの配置、そして中盤での攻防から終盤に至って、逃げ場の無いチェックメイト。読者にとっての「盤上の敵」とは他ならぬ作者北村薫であり、そしてものの見事に惨敗させられるのだ。とても気持ち好く。
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