西のマキャベリ
東の韓非子と言われるくらい
『韓非子』という書は
徹底した人間不信の上に立って、リーダーの在り方を追求している
人間を動かしている動機は何か
愛情でもない
思いやりでもない
義理でもない
人情でもない
ただ一つ利益である
人間は利益によって動く動物であると『韓非子』は言っている
人間関係が利益によって動かされているならば、トップと部下の関係も決して例外ではないとも
部下は、常に自分の利益を優先して考える
折あらばトップに取り入って自分の利益を拡大し、隙あらばトップを蹴落として自分がその座に取って替わろうとする
油断も隙も許されないのがトップの地位だと
ある意味
とても現実的であると僕は思いました。
確かに、理想はそうはありたくないと思いますが、トップとしてはそれを踏まえた上でどうすればいいのか?
それを説いたのが『韓非子』だと感じました。
更に、経営者には、上、中、下の三つのランクがあると言います。
「三流の経営者は自分の能力を使い、二流の経営者は他人の力を使い、一流の経営者は他人の能力を使う」
「一人の力は大勢の力にかなわない。一人の知恵ではすべてのことに目が届かない。
一人の知恵と力を使うよりも、国中の知恵と力を使う方がよい。一人の考えだけで事を処理すれば、たまたま成功するにしても、ひどく疲れる。
うまくいかなかったら、目もあてられない」
トップが自滅する原因は五つあると言います。
こんな例を
ある夫婦がお祈りをした時、妻の方はこう祈った。
「どうか神さま、百束の布をお恵み下さい」
「ばかに少ないな」
夫が言うと、妻はこう答えた。
「それより多いと、あなたは妾を持つようになるでしょう」
夫婦でさえ利害関係が相反する。まして、使う者と使われる者とでは利害関係が異なってくる。
第一、権力を握りしめて手放さないこと
第二、小さな利益にとらわれないこと
第三、遊びに溺れないこと
第四、本拠を留守にばかりしてはいけない
第五、忠臣の意見に耳を傾けなさい
参考 新潮社「中国古典の人間学」守屋 洋 著