ウチは汚い。この「汚い」には、「不潔」「整頓されてない」のダブルの意味がある。にもかかわらず、あるいは、だからこそと言うべきか、ホントはキレイな家で暮らしたいという本能の赴くままお掃除用の家電を次々と買ってはお金をどぶに捨ててきた。例えば、スチームクリーナーを同時期に二台買い、いずれもほとん使わないまま役割を終えた。これがわが家を覆う掃除機の呪縛である。もう、いい加減懲りた……はずなのに、通販で掃除機の新製品を見るとどうしても食指が動いてしまう。理由は二匹の猫だ。こやつらが家中に猫砂をばらまくのだ(正確に言うと、トイレの際に猫の手足についた猫砂が家中に落ちるのである)。
今、家にはコード式が二台(キャニスター型とハンディ型が一台ずつ)あるが、家中に散らばった砂を吸い取り回るのにコードが邪魔である(狭い家のくせに、縦に長い)。だったら、コードレスのスティック型が良さそうなものだが、悪い想い出がある。20年くらい前に、外国製のスティック型のコードレスを買ったことがある。重くて音はでかくて唖然とする程、笑っちゃう程吸わなかった(お金をどぶに捨てたの最たる例だった)。それがトラウマになっているのである(なお、その当時はまだ「ポチる」という表現はなかった)。
だが、最近の通販番組を見ると、コードレスでも「吸う、吸う」と言っている。もう一度、もう一度だけ騙されてみようか、と思い決心した。HiKOKIという聞き慣れないメーカーの製品を、掃除のプロが屋外で使っている、砂とかを吸っていると聞いて、特に「砂」に反応してポチってみた。
製品が来た。外箱と中箱の大きさの違いにまず驚いた。
まあ、それは性能とは関係ない。組み立てて、充電して、いよいよ試してみた。
20年の歳月は伊達ではなかった。確かに進歩していた。コードレスなうえに軽くて持ち運びは楽。音はさほど大きくないのに砂をちゃんと吸う。ただ、私自身がコードレスに慣れておらず、体の動きにどうしてもコードがあるヤツを使うときのぎこちなさが残ってしまう。慣れたらもっとスイスイできるものと期待している。「掃除機の呪縛」からようやく抜け出せそうである。
ところで、HiKOKIを聞き慣れないと書いたが、この会社、電動工具のメーカーとしては有名で、しかも日立工機の流れを受け継いだ会社であった。HiKOKIの「Hi」は「日立」の「ひ」であった。なーんだ、だったら使えて当然である。