高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

高齢期の備え41:高齢期の健康(3)高血圧

2019年10月16日 | 高齢期の備え
・主要な介護原因である脳血管疾患の発症リスクを高める主要な因子の一つが高血圧です。

・介護原因だけでなく、高血圧は高齢期の通院理由の中でも群を抜いています。高血圧で継続して医療を受けている方の割合を同年齢100人中の人数でみると、男性の場合、70歳代前半20人、80歳代前半25人、女性の場合、70歳代前半21人、80歳代前半で28人になります(出典:平成29年患者調査の総患者数と平成29年人口推計より投稿者計算)

・高血圧(最高血圧140㎜Hg以上/最低血圧90㎜Hg以上)の大部分は、原因のはっきりしない本態性高血圧と呼ばれるものです。

・高血圧の場合、介護の主要な原因である脳卒中や認知症(血管性認知症)になる危険性が120mmHg/80mの方に比べて、たとえば140~150mmHg/90~99mmHgの方では2.4倍に高まります(出典:久山町研究ホームページ 九州大学)。

・備えの観点だけでなく現役時代の健康の点でも注意が必要です。現役世代では高齢世代と比べて、同じ血圧レベルの上昇で脳梗塞や心筋梗塞などによって亡くなる可能性が高くなっています(出典:高血圧治療ガイドライン2014 のデータを基に記述)。

・高血圧は、遺伝的体質に塩分の過剰摂取・肥満・飲酒・その他の生活習慣要因などが複合的に重なっていると考えられています。

・高血圧は特に塩分と深い関係にあります。塩分を体に取り込むと血液中の塩分の濃さを一定に保とうとして血液中の水分が増え血管により多くの血液が流がれますが、血管の太さは変わりませんから圧力が上がらないと流れない、つまり血圧が上がることになります。これに対して体には塩分を排出する仕組みがあり、塩分を取りすぎたときは塩分を排出し血圧が上がらないようにします。

・塩分を取り込んだとき血圧が上がりやすい方とそうでない方がおられます。これは塩分を排出しにくく取り過ぎると血圧が目にみえて上がる(塩分の影響を受けやすい)方がいる一方で、塩分を排出しやすく取り過ぎても血圧があまり変わらない(塩分の影響を受けにくい)方がおられるからです。

・塩分の影響を受けやすい場合は、遺伝的な要因に肥満やストレスなどが加わって塩分の排出する仕組みに障害が起き、塩分が排出しにくくなると考えられています(出典:塩分の過剰摂取と高血圧の関係 化学と生物 V0l.50 N0,4 2012 をもとに記述)。