・高齢期に注意することの一つに生活不活発病(廃用症候群)があります。「生活不活発病とは、その名の通り、生活が不活発になったことが原因となり、あらゆる体や頭のはたらき(機能)が低下する病気」で、「特に高齢者に起こりやすいもので、(中略)うっかりしていると寝たきりにまでなってしまいかねない、怖い病気」です。(出典:「動かない」と人は病む(大川弥生著 講談社現代新書)
・たとえば1週間程度ベッドに横たわっていた場合、若いうちは回復力が強いのでリハビリをすれば直ぐに元のように歩けますが、高齢になると回復力が弱く、歩きにくいからといって歩かないとさらに歩きにくくなるという悪循環に陥ります。
・生活が不活発になるキッカケは様々ですが、「することがない」もキッカケの一つとして挙げられています(出典:前述に同じ)。たとえば定年後に家でごろごろするとか、転居して子供と同居して日課としていた家事や庭の手入れをしなくなるといった事例です。
・その他、「やりにくくなりやらない」、たとえば膝の痛みなどために動きにくくなり家の段差があることで動きがさらに制約を受け動かなくなる、「やろうと思えばできるのにやらない」、たとえば介護施設などに住み替えたとき車いすの使用などで歩かなくなるなどのキッカケが挙げられています(出典:前述に同じ)。
・この生活不活発病のキッカケの一つである「することがない」状態を避けるためには「生活の中ですることがある」状態が必要であると考えます。
・過日、とある研修で「高齢期には『きょういく』と『きょうよう』が大切」と習いました。『きょういく』は『今日行く』ところがある、『きょうよう』は『今日用』がある、ということだそうです。
・「生活の中ですることがある」という状態を投稿者は「生活の張り」という言葉で置き換えています。高齢期にも生活の張りを維持できるように現役時代から布石を打っておく必要があります。