高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

高齢期の備え43:高齢期の健康(5)認知症

2019年10月18日 | 高齢期の備え
・高齢になると記憶力などは誰でも穏やかにではありますが低下します。しかし、認知症は記憶力の低下とは異なり、若い頃に得られた記憶、認識、判断などが衰え生活に支障がでる病気です。

・認知症の軽重の尺度は普段の生活への支障から判定し、日常生活自立度(Ⅰ~ⅣとM)として判定されます。これは介護度とは別の尺度ですが、日常生活自立度がⅠからⅣになるにつれて介護度も重度になるという大まかな相関はあります。

・認知症はアルツハイマー病が最も多く、次いで脳血管性認知症と続きます。一人ひとり進行の速さは異なりますが、アルツハイマー型では、日常生活自立度Ⅰ~Ⅱの期間が5年程度続いた後、数年でⅢ、Ⅳと進行し介護困難になるというパターンもあります(出典:「認知症施策の現状」 平成26年12月19日 厚生労働省)。

・認知症を有する人の割合を推算すると、70歳代から増えはじめ、同年代であれば男性より女性の方が認知症を有する人の割合が高く、たとえば80歳代後半の女性10人のうち4~5人がランクⅠ以下の生活自立度になると推計されます。またランクⅡとランクⅢの方の割合が多く、ランクⅣとランクMは相対的に少ないといえます。

・現在のところ、認知症は脳血管性認知症を除き、薬で進行を遅らせることはできますが治すことはできません。

・認知症の前段階として、正常と認知症の中間で「軽度認知障害」と呼ばれる物忘れが以前よりも強くなった状態があります。この段階で認知症の予防のための対策をとれば進行を遅らせたり認知症に至らなかったりする可能性もあります。

・どのようにして認知症になるかは完全に解明されていませんが、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、タバコ、頭部外傷、高齢になってからのストレスなどにより認知症になる可能性が高くなることがわかっています。認知症の割合は現在のところ7人に1人ですが、糖尿病患者が増えることにより将来は5人に1人となるという見込みとなっています。