高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

高齢者向け住まい・施設 その4 認知症高齢者グループホーム(1:法律・運営)

2015年06月14日 | 老後と住まい
認知症高齢者グループホームは、ホーム所在地の市町村に住んでいる要介護の認知症高齢者が5~9人で一つのグループを作り、家庭的で小規模な生活の場において、食事、入浴、排せつなどの介護サービス(認知症対応型共同生活介護)を受けながら共同生活する住居です。
法律では認知症高齢者グループホームという用語は使われておらず、老人福祉法と介護保険法の「認知症対応型老人共同生活援助事業」の定義の中で「(認知症についての介護サービスを支給される方が)共同生活を営むべき住居」と規定されています(老人福祉法第5条の2の第6項、介護保険法第8条第19項)。また、法律上、認知症は「脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の器質的な変化により日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能及びその他の認知機能が低下した状態をいう」と規定されています(介護保険法第5条の2)。
認知症高齢者グループホームは基本的に民営で、運営者の内訳は、営利法人(51.5%)、社会福祉法人(21.9%)、医療法人(19.0%)、NPO法人(6%)などとなっています。
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高齢者向け住まい・施設 その3 有料老人ホーム(10:退去)

2015年06月13日 | 老後と住まい
有料老人ホームへの入居は多くは利用権方式です。5月21日付の記事で書いたように利用権の場合、契約で住まう権利が保護されます。シルバーマンションンの場合の所有権やサービス付き高齢者向け住宅のような賃借権に比べると住まう権利の保護は弱いといえます。契約書では「契約の解除に関する条項」があって、月額の利用料の支払いが遅れたりする場合の他、他の入居者などへの生命の危害の防止が通常の介護方法や接遇方法では対処できない場合には施設者側から契約が解除することができ退去しなければならないことが規定されていることが多いのです。また医療的な対応が大変になってきても退所しなければならないケースもあります。国民生活センターによると、全国の同センターに寄せられる有料老人ホームの相談件数の約8割を「契約・解約」が占めています。有料老人ホームへの住み替えを考える場合には解約のことも考えておく必要があります。
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高齢者向け住まい・施設 その3 有料老人ホーム(9:入居一時金の続き)

2015年06月13日 | 老後と住まい
有料老人ホームで家賃などの前払金として入居一時金を支払う場合、契約書で確認しておきたいのは、その算定の基礎を「書面」で明示しているかどうかと「保全措置」講じられているかどうかです。これは老人福祉法の29条の第7項に決められた大切なことです。
算定の基礎はこれまでの投稿で書きましたが、ここでは「保全措置」について記述します。この措置の具体的な方法については厚生労働省告示第266号(平成18年3月31日)に規定されています。
この保全措置は、有料老人ホームが倒産した場合であって本来返還すべきお金が払えなくなった場合には銀行、保険事業者、有料老人ホーム協会などが、500万円を上限として返還すべき額を支払うものです。そのため有料老人ホームが銀行などと連帯保証契約しているのですが、これを契約書で確認しておくことがリスクの低減につながります。
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高齢者向け住まい・施設 その3 有料老人ホーム(8:入居一時金の続き)

2015年06月12日 | 老後と住まい
有料老人ホームの事業者は「初期償却」といい、厚生労働省は「想定居住期間を超えて契約が継続する場合に備えて有料老人ホームの設置者が受領する額」といっている「金銭」について厚生労働省が示す「有料老人ホームの家賃等の前払の算定の基礎」(前々回の記事参照)に沿って計算してみます。
先ず家賃など月額10万円分を前払する場合の場合、前払金の総額を上記の算定の基礎に沿って計算すると以下のようになります。
入居時年齢が65歳の場合、男性2,560万円、女性3,037万円
入居時年齢が75歳の場合、男性1,668万円、女性2,100万円
入居時年齢が85歳の場合、男性912万円、女性1,179万円
この前払金の総額から想定居住期間に支払う総額(この場合、月額10万円×居住想定期間)を引いたものを「想定居住期間を超えて契約が継続する場合に備えて有料老人ホームの設置者が受領する額」とすると、前払金に占める割合は次のようになります。
入居時年齢が65歳の場合、男性6%、女性1%
入居時年齢が75歳の場合、男性14%、女性9%
入居時年齢が85歳の場合、男性21%、女性19%
この割合は「初期償却率」に相当するもので、本来、入居時の年齢によって異なるのですが、全国有料老人ホーム協会の調査によると「初期償却率」の多くはは20%台半ばで、入居年齢にかかわらず一律の割合であったり、100%償却であったりするホームもあります。入居者の平均的な年齢が80歳代半ばであることを考えると20%台というのはおかしくない数字だと思います。
もし、有料老人ホームに入居をお考えで、そのホームが一括前払いの場合には、そのホームの契約書の償却期間が妥当かどうかを判断する際には、入居年齢が60歳代や70歳代であるにもかかわらず初期償却率が20%を超えるようであれば、償却率の算定根拠を納得のいくまで確認するか、場合によっては入居について熟慮されることをお勧めします。
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高齢者向け住まい・施設 その3 有料老人ホーム(7:入居一時金の続き)

2015年06月11日 | 老後と住まい
有料老人ホームの事業者は「償却期間」といい、厚生労働省は「想定居住期間」といっている期間を厚生労働省が示す「有料老人ホームの家賃等の前払の算定の基礎」(前回参照)に沿って「想定居住期間」を計算すると入居時の年齢と男女によって違いますが、代表的な年齢でみてみると次のようになります。
入居時年齢が65歳の場合、男性20年、女性26年
入居時年齢が75歳の場合、男性12年、女性16年
入居時年齢が85歳の場合、男性6年、女性8年
この期間は平均余命と一致します。本来、入居時の年齢によって異なる償却期間ですが実際の有料老人ホームの契約では70歳代といった荒い区分で決めているところが多いようです。有料老人ホームの類型、支払方法(一括払いや部分払い)、入居時の状態(自立や要介護)で異なりますが、全国有料老人ホーム協会の調査によると、たとえば介護付で一括払いの場合、償却期間は一般居室で平均10年、介護居室で平均5.3年となっています。
もし、有料老人ホームに入居をお考えで、そのホームが一括前払いの場合には、そのホームの契約書の償却期間が妥当かどうかを判断する際には、平均余命との比較が一つの目安となると思います。
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