高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

高齢者向け住まい・施設 その3 有料老人ホーム(6:入居一時金の続き)

2015年06月10日 | 老後と住まい
(前回よりの続き)厚生労働省は、前払金について「償却期間」や「初期償却」といった表現ではなく、「想定居住期間」、「想定居住期間を超えて契約が継続する場合に備えて有料老人ホームの設置者が受領する額」といった表現をとっています。また、同省は利用料の算定方法の拠り所として、「有料老人ホームにおける家賃等の前払金の算定の基礎及び返還債務の金額の算定方法の明示について」 (厚生労働省老健局高齢者支援課 平成24年3月16日)を各自治体に示しています。前払金の算定の基礎の概要は次のようになっています。
1.想定居住期間(入居者の終身にわたる居住が平均的な余命等を勘案して想定される期間)は、簡易生命表等による平均的な余命等を勘案するなどして居住継続率が概ね50%となる期間を考慮して設定する。
2.想定居住期間を超えて契約が継続する場合に備えて受領する金額の算定の基本は、 居住継続率が0になる年度における家賃等の前払金の残高が0となるように設定する。
3.想定居住期間は、前払金の償却期間と同じ期間とする。
少し難しいので、次回に試算例を投稿します。
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高齢者向け住まい・施設 その3 有料老人ホーム(5:入居一時金の続き)

2015年06月09日 | 老後と住まい
前払金(入居一時金)が必要な有料老人ホームでは初期償却と償却期間と呼ばれるものを決めています。その取り扱いは図のようになっていますが、初期償却の割合や償却期間の長さについては事業者ごとに異なります。前払金は、入居後3ヶ月の間は入居から退去までにかかった費用を除き前払金は基本的に全額返還されることになっています。3ヶ月の時点で「初期償却」と呼ばれる分が差し引かれ、残った金額については「償却期間」と呼ばれる間であれば退所した時期に応じて返還されます。初期償却が大きい場合は返還される額が小さくなります。償却期間を超えれば返還されません。(続く)

高齢者向け住まい・施設 その3 有料老人ホーム(4:入居一時金)

2015年06月09日 | 老後と住まい
費用の支払いは、大きく「入居時に前払金を支払う(入居一時金)」と「入居一時金はなく月毎に支払う(月払い)」方式の2つに分類でき、全国有料老人ホーム協会の調査によると介護付では6割が、また住宅型では2割が入居一時金方式(月払い方式との併用を含む)をとっています。ただし、支払い方式の詳細な部分については有料老人ホーム毎に違いがありますので確認が必要です。過去には「終身利用権」を得るために入居時に「権利金」を支払うことになっていましたが、2012年の老人福祉法の改正で権利金を受け取ることは禁止されました。しかし、入居時に家賃などの全部又は一部を「前払金」として受け取ることは認められています。また、月払い方式を採用している有料老人ホームでは敷金を受領する場合もありますが、この場合敷金は6カ月分を超えないこと、退去時には居室の原状回復費用を除き全額返金されることになっています。前払金の額は、全国有料老人ホーム協会の調査によると「介護付」で、一括して支払う場合は1,000万円から3,000万円までが半分を占め、一部を前払いする場合では1,000万円未満が大半です。「住宅型」では入居費用として家賃相当額の一部を前払し残りを月毎に支払うケースが多く、一括払いの場合平均1,912万円、一部前払いの場合は平均468万円となっています。
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余談 介護度

2015年06月08日 | 老後と住まい
前回「介護度」に触れました。介護度は1~5ですが、それぞれの介護度がどのような状態であるのか厚生労働省の資料をもとに少し書き加えます。

介護度1 片足立ちや買物が難しい
介護度2 歩行、洗体、服薬、金銭管理、簡単な調理、意思決定などが難しい。
介護度3 寝返り、排尿・排便、歯磨き、上着やズボンの着脱などが難しい。
介護度4 座ること、両足で立っていること、移動、ベッドなどへの移乗、洗顔・整髪などが難しい。
介護度5 体の麻痺があったりする。食事をすることや、住まいから外に出ることが難しい。短期の記憶が低下し、日課を理解することが難しい。

介護が必要となる原因としては脳卒中が一番多く約2割です。次いで認知症、高齢による衰弱と続きます。
介護保険の受給者は75歳を過ぎたころから急に増え始め80歳代後半には男性で4割、女性で5割の方が受けています。
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高齢者向け住まい・施設 その3 有料老人ホーム(3)

2015年06月07日 | 老後と住まい
有料老人ホームの設備は、「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」(厚生労働省)に基づいて各都道府県で基準が定められていますが、基本的には、一般居室、介護居室、食堂、浴室、トイレ、医務室、談話室などからなっています。居室については個室とし、入居者一人あたりの床面積は13㎡以上とされています。全国有料老人ホーム協会の調査によると居室の広さの全国平均は、「介護付」で平均22.2㎡、「住宅型」では16.0㎡となっています。
2013年度時点の有料老人ホームの運営主体は、株式会社が6割と最も多く、有限会社、医療法人、社会福祉法人と続きます。このように基本的に民間事業です。なお、医療法人は2007年度から参入が認められています。
入居者は、有料老人ホーム毎に決められていますが、入居者(夫婦の場合はどちらか一方)が「60歳以上」または「65歳以上」としている場合が多いようです。全国有料老人ホーム協会の調査によると、入居者の平均年齢は、「介護付」が85.7歳、「住宅型」が83.3歳であり、平均要介護度は、「介護付」2.16、住宅型で2.25となっています。
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